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ゴルフ界の偉大なスーパースター、アーノルド・パーマーがこの世に残した言葉で彼を偲ぶ

パーマーは2007年以来、毎年4月に開催されるマスターズのオープニングセレモニーで、名誉スターターを務めていました。ゴルフの祭典、マスターズは9年間パーマーのショットで幕を開けていたのです。

今年3月、パーマーはこのスターターからの引退を発表しました。この出来事に、ジャック・二クラウスは「アーノルドにとって、マスターズがどれほど特別なものだったか、(私は)一番よく知っている。だから、この決断はとても大変だったに違いない」とコメントしています。この頃からパーマーは体調を崩していたのでしょう。

パーマーはメジャーでマスターズ4勝を含む7勝を挙げ、通算62勝と歴代5位でした。何より、パーマーが人々の「記憶」に残ったのは、そのチャレンジングなプレーと、陽気な性格で愛されました。

個性的なスイングから常に攻撃的なコース戦略を繰り広げ、見ている人を魅了しました。当時、ツアーがテレビ放映され始めると、パーマー人気がゴルフ全体の繁栄につながっていったのです。

パーマーの残した心に残る言葉の数々

【パーマーの言葉:1】「絶対勝つと思ったら、勝つ。高く昇ろうと思ったら、高いところを狙え。勝つのは、たいがい、勝てると思っている人間だ」

ドッグレッグコースではドライバーでのショートカットを狙い、グリーンとの間に樹木があるとフック、あるいはスライスショットであくまでピンを狙う。まさに、チャレンジングなスタイルを貫きました。成功すると、パーマーの親衛隊「アーニーズ・アーミー」が狂気乱舞し、テレビ視聴者もグイグイ引き込まれたのです。

【パーマーの言葉:2】「人が詩や美術館に見出すものを、私は素晴らしいドライバーショットに見出す。白いボールが青い大空に舞い上がり、頂点に届き、やがては芝に落ちてくる。ちょうど私が狙ったとおりに」

まさしく、パーマーの美意識がこの言葉にあります。彼にとって、ゴルフはアートだったのでしょう。

 

【パーマーの言葉:3】「私は挑戦から逃げるという事ができなかった。どんなに厳しそうに見えても、勝てる見込みが少しでもあれば、それを奪い取ろうと頑張った。私は冒険の危ない部分よりも“甘美”な部分の味を覚えたんだ。勝つことに貪欲でなければいけないよ」

さらに、自らのゴルフスタイルについても、こんな言葉を残しています。

【パーマーの言葉:4】「自信ある自己流は、自信なき正統派に勝る」

パーマーのスイングはフィニッシュでグリップが頭の後ろに収まる形ではなく、頭の上方に逃げるハイフィニッシュと、個性的です。これは極端なフックとなる彼の癖を直すためですが、人のお手本となるスイングではありません。この変則スイングも、当時は「カッコいい」象徴でした。

こんなパーマーですが、実は次の言葉も残しています。

【パーマーの言葉:5】「ちょっとした見栄が、ゲームを台無しにする」

アグレッシブなパーマーにしては、ちょっと意外な言葉です。【パーマーの言葉:3】にあるように、「私は冒険の危ない部分よりも“甘美”な部分の味を覚えたんだ」と矛盾しているように聞こえます。

ゴルフは基本的に「守り」のスポーツです。ミスをしないで、パーを拾っていくことが、好スコアを生みやすいのです。守りのゴルフより、刻むことをしないで常に攻撃的にコースを責めていたパーマーらしからぬ言葉です。

メジャーでパーマーがグランドスラマーになれなかったのは、全米プロのタイトルだけが取れなかったからです。2位は3回もありますが、その中には刻めば、守りに入れば優勝できた、と思われる試合もありました。

そんなパーマーにとって、「刻めば勝てる」と思いながらも、攻めて失敗したこともあったのでしょう。それが、彼にとっての「見栄」だったのか、「自信」だったのか。パーマーは常にその二つの感情の間に揺れ動いていたのです。それがパーマーの人間性の魅力だったと言えるでしょう。

一見、矛盾する言葉は、我々一般ゴルファーにも大きな教訓となります。もちろん、パーマーの技術と我々ではレベルはあまりにもかけ離れていますが、気持ちは通じるものがあります。

「ここを2オンすればバーディーも」、あるいは「ここは確実にグリーン周りに寄せて、確実にボギー」。こんな気持ちになることは、良くあることです。これからは、そんな時は「パーマーおじさん」の言葉を思い浮かべましょう。

今の気持ちは「見栄」なのか「自信」なのか。心の中でパーマーおじさんに問いかければ、天から笑顔と共に「〇〇してみるんだ」との言葉が降りてくるかもしれません。

パーマーおじさんのご冥福を祈ります。

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