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タイトリストVG3ボールは飛距離性能だけに特化している!

タイトリストが2018年3月9日に発売した“VG3ボール”をコースに持ち込んでテストしました。「飛ぶことはわかっている。」というコピーです。

同様のボールは数え切れないほどあります。特別に新しい素材やテクノロジーが搭載されたというわけではないようですが、内側のコアも、外側のカバーも新しく改良したということで、期待を込めて打ちました。

VG3ボールの飛距離性能に驚く!

 

“VG3ボール”で最初に印象に残るのは、表面の発色です。呼び名もホワイトではないのです。『レインボーパール』と呼んでいるようですが、確かに、虹色に発色しているように感じました。

外国ブランドのボールは、表面加工の発色性が国産ブランドに劣る傾向がありますが、“VG3ボール”は日本市場向けということもあって、遜色なく美しいボールです。この機能は遠くから見たときに威力を発揮します。他にも『イエローパール』と『オレンジパール』がラインアップされています。

 

もう一つ目を引くのが、サイドスタンプと呼ばれる“VG3ボール”だとわかるロゴです。矢印をデザインに取り込んでいて、わかりやすいのと、パットのときに目標に合わせやすいと感じました。

タイトリストのブランドロゴは、かなり大きめにプリントされています。こういう部分は、完全に個人の好き嫌いの範疇で良い悪いではありませんが、タイトリストのボールを使っているという満足感を刺激することは間違いありません。ボールは物理的な機能も大切ですが、それ以外の見た目に影響されることも現実に起こります。いわゆる相性とも言えるかもしれませんが、“VG3ボール”はそういう演出も上手にできていると感じました。

早速打ってみました。テスト当日は、少し寒い日でしたが、風はなくコンディションは良いほうでした。ヘッドスピードは40m/秒でした。ドライバーショットは、気持ちの良い音量と少し硬質な打音を響かせて飛んで行きました。ストレート、やや高めな中弾道、棒球の見本のような弾道でした。

打ち応えは、ボールの潰れる感触がありますが、重くは感じません。初速感が強いボールがトレンドなので、それを期待しましたが、初速が速いという感じはしませんでした。

2打目地点に行って、驚きました。235ヤード。普段より10ヤードは先に行っています。軽めに打ったこともあって、飛んだという実感があまりなかったのです。とはいえ、数字で出ていますので、飛んでいるわけです。

フェアウェイウッドで2打目を打ちました。芯に当たって、ストレートな弾道でボールは飛んで行きました。思ったよりボールは低めでしたが、棒球で落ちてからかなりのランが出ました。飛距離は215ヤード。そんなに強く振っていなかったので、不思議でした。飛びすぎています。

グリーンエッジまで行ったので、残りはパターでした。21ヤードで上って下るラインを狙い通りに打ちましたが、このときショートしたような気がしました。これは、“VG3ボール”のショートゲームでの打音が影響していると考えました。結果として、距離はピッタリでしたが、ショートゲームでの打音は高音で小気味良いのに、ボリュームが小さいことに少し戸惑いがありました。

2番ホール以降も、順調にテストを重ねました。冷静に検証を重ねて、わかってきたのです。“VG3ボール”は、ルール適合ボールとしてはトップレベルに飛びます。ドライバーやフェアウェイウッド、ユーティリティは10ヤードは普段より飛距離が出ます。落下地点が柔らなくなければ、転がります。いわゆる低スピンで飛ばすボールですが、初速感が強くないのに、ちゃんとキャリーも出ます。

慣れてくると、僕の場合は、強いてハイドローのボールを打つと飛距離性能を最大にできます。ドライバーではできませんでしたが、フェアウェイウッドやユーティリティでは何球も狙い通りに打てました。普通に打ったときとキャリーは変わりませんが、転がりは2倍ぐらいになります。

スプーンで打った最高のボールは、ランも含めて230ヤードも飛びました。弾道をコントロールできるか、そういうボールを打ち易い道具を使うかすれば、“VG3ボール”は長距離用ボールとして、未経験のゴルフをさせてくれます。

思い切って特化させた個性は使い道も特別になる

 

“VG3ボール”の飛距離性能は、アイアンショットでも発揮されます。普段の使用球より平均するとキャリーで5ヤードくらい飛びます。これは特別なものです。

飛ぶボールは市場にはいつくもあります。その大部分は、ドライバーなどの長距離を打つクラブで飛距離性能が最大になります。そして、クラブが短くなると、飛距離性能は落ちていくものなのです。低スピンで飛ばすのが基本なのですけど、ボールにかかる力が弱くなると逆にスピンのかかりを良くしてアイアンではボールを止めるように調整しているのです。

ボールが多層になっていたり、グラデーションで外を固く中を柔らかくしているのは、大きく潰れると低スピンになって、小さく潰れると高スピンにする工夫です。“VG3ボール”の最大の個性は、アイアンを打ったときに出ます。飛ぶのですが、ショートアイアン、ショートゲームでも低スピン性能をかなり維持しているのです。つまり、ボールにスピンがかからないので、ボールが上がりにくく、グリーンで止まりにくいのです。

9番アイアンで普通のベントグリーンの平らなところに打てば、僕の場合、ボールはほぼ落下した場所に止まりますが、“VG3ボール”は1ピンぐらいは転がってしまいます。状況が悪いと2ピンぐらい転がることもありました。9番アイアンで、そこまで止まらないと、自分のゲームプランを変えなければスコアメイクができません。ショートゲームでも、かなり気合を入れてスピンをかけにいっても、嘲笑うようにボールは転がりました。あまりにも止まらないので、自分のゴルフが狂ってしまったのかと不安になるほどでした。

思い切ったボールだなぁ、と考えさせられました。“VG3ボール”は徹底しています。昔のディスタンス系のボールには、とにかくアイアンまで飛ばすというボールがありました。転がりまで入れての飛距離ですから、止まらないボールは飛ぶボールなのです。しかし、この手のボールは逆にドライバーの飛距離が出なかったり、思わぬ欠点があるようなバランスの悪さを我慢する必要があったのです。

“VG3ボール”は、ドライバーからウェッジまで、同じ感覚で使えるという意味でバランスは整っています。ありそうで、実はあまりない飛距離最優先の高性能ボールに仕上がっています。

 

ショートゲームでの打音が小さいと書きました。これはほんの少しのことで、マイナスだと感じるゴルファーは一握りで、音量の小ささをプラスに感じる人もいると思います。音量には時間をかければ慣れますが、パットの距離感が良い人ほど、打音の音量には慣れるのに時間がかかりますので、それがわかっている人はボールを試すときに練習グリーンで打っただけで、テストを中止してしまうこともあるのです。

“VG3ボール”の飛距離性能を実感する前に、練習グリーンで打音を確認してみることをオススメします。問題ないと感じれば、第一関門突破です。“VG3ボール”は飛ぶけど、転がるボールです。飛び抜けた飛距離性能を一度は体験してみるべき素晴らしいボールです。徹底して手前から転がして寄せていくゴルフをしている人には、文句なくナンバー1のボールになると感じました。

テストのラウンド後も、キャディーバッグの中に“VG3ボール”を入れたままになっています。普段はテストが終われば、コースに対象のボールを持ち込むことはしません。
実は、スクランブル形式でゴルフをすることがあるので、そのときに使うために入れたままになっているのです。ドライバーなどのロングショットで飛距離性能をフルに使って、短い距離やショートゲームでは普段の使用球を使うのです。

こういう使用方法を想像したことは何度もありましたが、実際に実行するのは初めてのことです。スクランブル形式のゴルフをする機会は一般的にはほとんどないでしょうから、あまり参考にはならないと思いますが、“VG3ボール”の凄さを証明するエピソードです。

“VG3ボール”は、誰でも使いこなせるボールとは言えないかもしれません。多くのゴルファーはボールが止まる機能を使ってゴルフをしているものだからです。止まらない分も飛びにするという独特な性能をプラスにする使い方に徹すれば、専用ボールとして最高のゴルフができることは想像できます。“VG3ボール”には、ショックを受けました。しかし、個性という意味で、このくらい思い切ったゴルフボールが市場にあるのは良いことなのだとテストを通して考えるようになりました。

全てのゴルファーが使えることが正しいわけでないのです。“VG3ボール”の個性的な面白さを、一度体験してみて欲しいと思います。

スペック

VG3ボール

★発売日     2018年3月9日
★カラー     レインボーパール、イエローパール、オレンジパール
★ディンプル   312
★価格      オープンプライス

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