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ピンG700は新しい飛ばしのスタンダードアイアンになる!

ピンゴルフが2018年4月5日に発売した“G700”をコースに持ち込んで、4番から9番アイアンとPW、UW(ユーティリティウェッジ)、SWをテストしました。

ピンゴルフ史上最も飛びにこだわったアイアンである“G700”は、『飛んで、飛んで、止まる。』というコピーも背負っています。ハードルを上げるだけ上げたクラブは、残念な結果になることも少なくありません。ちょっとドキドキしながらテストを開始しました。

お借りしたスペックは、超軽量スチール『N.S.PRO ZELOS 6』が装着されていて、強振すると暴れてしまうので、少し軽めに振ることにしました。

高く、遠く、易しくの3拍子で踊れ!

 

ピンゴルフのアイアンが採用した機能は、その後のスタンダードになることが少なくありません。最初に“G700”を見たときに感じたのは、サテンのツヤ消しの仕上げが「新しさ」を演出しているということでした。

ピンゴルフによれば、サテン仕上げは、直射日光の反射でゴルファーが眩しく感じることを防ぐことと、キャディーバッグからアイアンを抜くとに手に伝わる冷たさを軽減すること、そして、高級感で所有欲を満足させることの効果があると言います。“G700”は、バックフェースがシンプルであることも加わって、最新のアイアンであることを主張しているように見えます。

見た目ではわかりにくいですが、中空構造のヘッドになっています。その効果を最大に活かすために、トウ側にウェイトが入っています。そして、フェース素材はアイアンでは初めて採用された『極薄マレージングC300フェース』になっています。初速を上げて、大きくたわむことでボールを高く打ち出す効果があるそうです。

 

構えてみて少し驚くのはヘッドが小さく見えることです。小さく見えることそのものは、大好きで、歓迎すべき個人的なプラスポイントですが、“G700”はスペック的にはフェース長は短くないのです。つまり、長く見えない工夫が発揮されているということです。中空ヘッドであることも、全くアドレス時のシェイプからは感じさせません。

構えた感じはとても良いです。繊細に作られたことがわかります。ボールを包み込むようなネック周りのラインがきれいで、トウ側の曲面が逃がしすぎない形になっています。一昔前までは、ピンゴルフがこういう視点でアイアンを仕上げるなんていうのは、夢物語でした。独自のハウツーと形状を頑なに守っていたからです。しかし、構えてみて打ちたくなるアイアンとして“G700”は機能しています。お見事だと感心しました。

最初に打ったのは4番アイアンです。パー5の2打目で使いました。ロフト18.5度は、ロングアイアンというよりユーティリティです。今までのロフトだと3番アイアンでも20度ならかなり立っているほうでした。とはいえ、構えたときに、不安はありません。18.5度よりロフトがあるように見えます。あまり何も考えずに、軽く打ってみました。

ユーティリティで打ったような手応えを残して、ボールは想像よりも少し高く上がりました。棒球で、ほぼストレート。打音は大人しめですが、しっかりはしています。芯に当たった感触はありました。飛距離は転がりを入れて200ヤード。飛ぶなぁ、というのが第一印象でした。

次のホールでは9番を使いました。ピンまで134ヤード。ほぼ平らで高低差なし。普段なら8番で打つところです。やや厚めに当たって、ショートするかと思ったらピンの横まで飛んで1ピン半ぐらい転がりました。少し噛んだ分、スピンが効かなかったわけです。

ボールの高さは9番アイアン並みに上がって、飛距離は8番か7番ぐらい行く感じです。少しフェードしました。フェースの長さがあるアイアンは、どうしても右にボールが逃げやすくなる傾向がありますが、“G700”も例外ではありません。

次々に“G700”を打ちました。総じて、ボールは飛びます。ショートアイアンで1番手から1番手半、ミドルアイアンになると2番手は飛んでいるという感じです。特筆すべきはボールの高さと初速感です。ぶっ飛び系アイアンにありがちな低めの弾道ではありません。それどころか、普通のアイアンより高い球が出ている感じです。

7番アイアンを例にすると、ボールの高さは今までの一般的なアイアンの8番アイアンぐらいの高さです。つまり、高いわけです。それでいて、飛距離は5番アイアンなのです。打ち応えは柔らかいのですが、打ち出しのボール速度はビュンという感じで速さを感じさせます。この部分がロフトだけではなく、飛びに寄与しているようです。

中空構造のアイアンは、ミスヒットに強い代わりにスピンがかかりにくいという弱点があるというのが通説です。“G700”は、その部分でも裏切ってきます。強烈ではないですが、ボールを止めるために必要なスピンはかかっています。高さもあるので、より止まるという結果になるのだと感じました。特に9番以下のショートアイアンは、きれいにインパクトすればしっかりと止まります。これは、想定をかなり上回る結果でした。

G700の使い道は一つではない

 

“G700”は、ミスヒットにも強いアイアンです。中空構造の機能はスイートエリアの左右にずれてボールヒットしてもミスショットになりにくいというものです。“G700”は左右に多少ずれて当たっても飛距離には影響しません。若干曲がりとして結果が出ますが、これはほんの少しです。

ダフリにも強いです。程度はありますが、少し噛み気味に打っても、本人以外にミスだとわからないぐらいです。ソールの面積が大きく、形状も美しい曲面を描いています。ソールには機能が詰まっています。

深いラフなどでは、小さなヘッドの抜けの良さには敵いませんが、ヘッドが長い他のアイアンに比べるとかなり抜けは良いほうです。普通に使うのであれば、トーナメントのような深いラフはないので十分だといえるでしょう。

 

ウェッジはフルショットで使う目的であれば、8番、9番、PWという流れを切らないように、形状やその他のスペックも合わせたほうが、距離差もきれいに出て、打ち易いのでオススメです。“G700”は、そういう意図で、作られたのだと感じました。ぶっ飛び系のアイアンで、困るのが『ウェッジ問題』です。PWが飛ぶので、その下の番手が必要になることが多いからです。

“G700”の場合は、PWのロフトが43度、UWのロフトが48.5度、SWのロフトが54度です。5.5度刻みは特別珍しくはありませんが、SWが54度だとすると、このクラブまでがフルショット用で、アプローチ用には別のウェッジが必要になるゴルファーが多いと思われます。試しに“G700”のSWで寄せもしてみました。好みの問題はあると思いますが、フルショット用だなぁ、と個人的には感じました。バウンスは13度とスペック表には書かれていますが、13度の威力は感じませんでした。

使用しながら戸惑ったのは、ソール表示です。『W』『U』『S』は、順番にPW、UW、SWなのですけど、通常はPWは『P』なので、何度かバッグの中を探してしまいました。慣れだと思いますが、個人的にはこういうこだわりは、キャディーを始めとした自分のクラブに携わる可能性がある人たちに迷惑がかかる可能性があるので疑問でした。

 

“G700”は、一般的なゴルファーの中でも飛距離で悩んでいるゴルファーに使って欲しいのだとピンゴルフは説明しています。確かに飛びますので、飛距離の悩みは解決するはずです。しかし、それだけで終わらないのがピンゴルフのクラブの真骨頂だと個人的には思っています。

“G700”は、かなり玄人好みな仕様になっています。その多くは、静的な状態、つまり、アドレスで感じさせるものです。本当に良く出来ているので、玄人的な使用にも耐えうるのだろうと信じ込んでしまいます。スイッチが勝手に入るテクニシャンなゴルファーは多くはないと思いますが、確実に存在はします。

ボールコントロールを意識して、ワザを使うゴルファーもいますが、上級ゴルファーの大半はフルショットでも距離感が出るように無意識で調整をしています。アイアンを打つ上で、テクニックが最も活きるのは距離感を作るボールコントロールなのです。『ゴルフはボールを飛ばすのではなく、止めるゲームである』という格言は、ピンに近づくほど有効で、その意味を知らしめます。アイアンに求められる機能は、狙い通りに止めることです。

いわゆる名器と崇められるアイアンは、大なり小なり、そういうテクニックが活かせる部分があります。“G700”は、残念なことに、名器にはなれないかもしれないと感じました。究極の易しさなのかもしれませんが、色々な球筋を打つのが“G700”は難しいのです。多少の曲がりの要素や高低差の打ち分けの細工は、クラブが飲み込んでしまうのです。

“G700”で放たれたフルショットは、基本的には同じ所まで飛んで行ってしまいます。テストをしていて、何度か番手と番手の間になってしまう残り距離がありました。普段通りに、いくつかの方法を試しましたが、思うような結果にはなりませんでした。それと同じベクトルにあるのですが、強風が吹いたときにも、今まで使っていたアイアンのテクニックは使えない可能性があります。

こう書くと、“G700”には致命的な欠点があると指摘しているように感じるかもしれませんが、そういうことではないのです。“G700”は、過去にはなかった新しいアイアンだと考えるべきなのです。オールドゴルファーである僕にはハウツーがなかっただけで、少し使えば新しい使い方がわかる可能性があるからです。それに、一般的には距離感を合わせるなんてことよりも、フルショットが常に同じ所に飛ぶということのほうが、何倍もスコアアップに繋がることは明白なのです。背中合わせではありますが、易しさをどう使うかは、ゴルファー次第ということなのです。

最後に、個人的に興味深かったのは“G700”の4番アイアンと5番アイアンです。18.5度と21.5度ののアイアンは、距離がロフトなりに出ますし、易しく打てるので快感でした。カーボンのシャフトを差して、ユーティリティーのように使うことを想定しました。これは武器になります。バラ売りで、番手を指定して購入することができるようなので、ロングレンジで使うクラブとして検討しようと思います。

“G700”は新しいアイアンとして、他のメーカーのお手本になるのかもしれません。そのくらい新しい感覚がありました。また、オールドゴルファーのことも考慮してくれているアイアンです。アイアンでも飛ばしたいというゴルファー、ミスに強いアイアンを求めているゴルファーには、“G700”を打ってみるべきだと強くオススメします。

スペック

G700 アイアン

★発売日     2018年4月5日
★番手とロフト  #4/18.5° #5/21.5 #6/24.5° #7/28° #8/32° #9/37.5° PW/43° UW/48.5° SW/54°
★シャフト    PING FUBUKI  1本 24,000円+税
 価格      ALTA J CB  1本 24,000円+税
         N.S.PRO ZELOS 6  1本 21,000円+税
         N.S.PRO 950GH  1本 21,000円+税

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