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伝統が辿り着いたマックテック NV301が見せる特別を体感した!

マグレガーといえばオールドゴルファーにとって多くの名器を市場に送り出してきた特別なゴルフメーカーです。しかし、現在では多くのゴルファーはマグレガーの栄光を知りません。“マックテック”というシリーズ名のほうが有名だという人もいます。

“マックテック”のイメージは『とにかく飛ぶ』という一言に尽きます。個人的なイメージでは、飛ばすことに特化しすぎて、奇妙なクラブになっているというものでした。マグレガーの伝統に相応しくないとも思っていました。

2016年の初夏に発売された“マックテック NV301”をコースで打って、色々と確認ができました。

美しいクラブはそれだけで十分に価値がある

2016年の初夏に発売された“マックテック NV301”はマックテックシリーズの最新のクラブです。ドライバーを構えて最初に感じたのは、ブルーのヘッドカラーが美しい、ということでした。

フェースはシルバーなので、その境目はラインのようにハッキリと目立ちます。フェースはやや薄めのシャローなのですが、クラウンの膨らみは高さがあります。

薄いヘッドはボールが上がりやすいイメージを産み、高さがあるヘッドは逆のイメージになります。その部分の戸惑いを感じる人はいるかもしれません。ややフックフェースなので、右が怖い人には打ちやすいイメージです。

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試打したクラブのロフトは10度。シャフトの硬さはR。“DJV48”という専用シャフトが入っていました。重いヘッドを始めとして総重量を前モデルより約20gも増やして、長さは44.5インチという短尺です。

『ヘビー&ショート』は速度を上げて飛ばすということではなく、ミート率を上げて飛ばすという意図があるようです。ソールを見る限り、調整機能はないものの最新の機能は詰め込まれている様子です。

いきなりコースで打ってみました。僕のヘッドスピードは43m/秒で、球筋はドローです。

1ホール目はフェースの少し下側に当たりました。ドローして狙い通りの所には行きましたが、飛距離は210ヤードぐらいでした。フェースの下側に当たったボールは浮力がありますけど、飛ばないようです。

次のホールではそれなりに芯を食いました。ドローの高弾道で230ヤードぐらいです。飛ぶ飛ばないでいえば飛ぶドライバーです。

構えたところに飛んでいくという部分とドローは打ちやすいという特徴は、この後のホールでも確認できました。Rというシャフトの硬さでも、“DJV48”というシャフト全体がしなって打ちやすかったです。ただ、シャフトそのものにはあまり高さを出す要素がないので、好き嫌いは分かれるところだと思います。

ヘッドは、かなり強目にボールを捉えにいこうという動きをします。個人的には、美しいクラブを使いたい人、安定した球を打ちたい人には合うと思いました。

シングルハンディでドロー打ちながら僕よりも少しヘッドスピードが速いゴルファーにも打ってもらいました。違和感が凄い、という感想で数ホール打ちましたが、全く当たりませんでした。『ヘビー&ショート』というスペック、美しいけど矛盾もあるヘッド形状などから、ある程度技術的に固まっているゴルファーには厳しいのかもしれません。

飛距離をミート率で上げるという発想は面白いですし、成功もしています。易しいという部分については、ちょっと考えさせられましたけど、安定することは実感できました。

でも、慣れが必要なのだとも思います。僕はいきなりでも打てましたし、その性能も堪能しました。それは元々重いクラブを使っていたことや短尺も打った経験があるからだと思います。

“マックテック NV301 ドライバー”は以下のような人に合っています。

★思い切ってドライバーを振りたい人
★スライスに悩んでいる人
★安定したボールを打ちたい人
★美しいクラブが好きな人

丁寧に作られたことがわかる機能性の高さ

フェアウェイウッドは、ロフト15度で、長さは42.5インチ、シャフトの硬さはSでした。ややフックフェースですけれど、上手くできていて、構えたときにフェースを右に向けてもソールが変な風に座ってしまうこともなく、また、フェースも塗装に工夫があって真っ直ぐに構えやすくなっています。

このクラブは浮力があります。ヘッドはドライバー同様に捉えていく動きをします。右には行きにくいフェアウェイウッドでした。

浮力があるフェアウェイウッドは飛ばないものが多いですが、“マックテック NV301”は十分に飛びました。左に行こうとするボールをコントロールできる人であれば、フェアウェイウッドとしてのポテンシャルは高く、魅力となるでしょう。

ユーティリティーは3番に当たる20度のロフトのもので、ヘッドはドライバーやフェアウェイウッドと同じブルーで、美しい仕上がりになっています。形状はかなり直線的なラインを意識させる丁寧な作りになっています。構えやすいクラブです。長さは40インチ、シャフトの硬さはSでした。

“マックテック NV301”のユーティリティーは非常に攻撃的です。まずハッキリとわかるのは20度のロフトのものとしては、しっかりと距離が出ることです。

多くのユーティリティーは球を上げやすくする機能を優先して、飛距離が物足りないものが多いですけれど、このクラブは条件が揃えば飛ばすことが可能です。ティーアップして使う場合には、飛距離を出すのが楽になります。注意したいのは、左にボールを曲げようとする動きもしますので、その辺りのコントロールに自信がある人向きだということです。

攻撃的と最初に書いたのは、飛距離性能が高いユーティリティーの副作用のようなもので、ちょっとの差で飛んだり飛ばなかったりするからなのです。飛ばすつもりで飛ばなかったりするのが、本当に少しの差で生まれます。そういう部分も、このクラブの個性だと受け止めることで、使いこなせるようになるでしょう。

フェアウェイウッドもユーティリティーも、好感触でした。ドロー打ちは少し工夫をして使うクラブですが、フェード打ちの人は振れば振るだけ安定したボールを供給してくれるクラブです。

恐ろしいまでの直進性と弱点

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“マックテック NV302 アイアン”は深いキャビティーバックが特徴ですが、最新の機能を詰め込んでいます。ボディーは重さのあるステンレスで中空のようにソールと外枠だけ真ん中は空洞なのです。

フェースの部分は高反発に作られたチタンの軽量カップフェースになっています。今までもそのような構造のアイアンはありましたが、穴が開いたような真ん中だけにはめ込む形が主流です。このアイアンは、蓋をする様な形状でフェースのほぼ全面が高反発の素材でできているのです。また、バックフェースの左右の下部にタングステンが入っています。

7番アイアンは硬度Sのカーボンシャフト、9番アイアンは硬度Sのい軽量スチールシャフトを打ちました。ロフトが7番で28度、9番で38度。かなりのストロングロフトですが、売り文句は高弾道ということでした。

構えて見るとフェースの長さを感じるのと同時に、思いの外構えやすい、と感じました。アイアンは構えやすいことがマストです。

僕はフェースの長いアイアンが苦手で、正直に書くとこのアイアンにも期待していませんでした。9番から打ちました。

8番アイアンと同じぐらいのロフトで、構えた雰囲気で左に行きそうだと思ったので、かなり抑えてやや右を狙って打ちました。ボールは真っ直ぐに右に飛んでグリーンの右サイドに止まりました。

「あれ? 今のであそこに行くんだ」

ちょっと驚きました。抑えすぎて届かない感じだったのに楽に届いていたことと、右に飛び出した球がドローせず、ストレートに飛んだからです。

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次に7番アイアンを打ちました。普通に振るとグリーンを越えてしまいそうだったので、ハーフスイングで打ちました。きれいなストレートボールで、ピンに向かって飛び、ほぼ狙い通りの距離にナイスオンでした。

ここまでにわかったことは、このアイアンはとんでもなく曲がらないということです。構えた方向に真っ直ぐに飛んでいきます。そして、多くのキャビティーバックが苦手としている抑えて打ったときに、ちゃんと距離が落ちるということに驚かされました。

この2本で170ヤードから110ヤードを何度も打ちましたが、ほぼ完璧でした。今まで打ったことがある深いキャビティーバックのアイアンでベスト3に入るコントロール性能でした。驚異的な直進性で、曲げようとしてもボールが曲がりませんでした。

フルスイングすると、とんでもなくボールが高く上がりますが、それでも距離はロフトなりに出ているのです。キツネにつままれたような感じでした。上手く行きすぎなのです。

ただ、フェースの長さが弱点になることもありました。ライが悪いときや深いラフでは、ヘッドに強い抵抗があり、アイアンの機能を引き出すことができませんでした。しかし、この弱点はフェースが短いアイアンならその状況からしっかりと打てるという前提があっての弱点で、多くのゴルファーには弱点とはいえないかもしれません。

ボールの高さを出すにはある程度のヘッドスピードが必要な感じはしましたが、このアイアンは想像しているより多くのレベルのゴルファーが使えるものだと確信しました。

怖いのは、このくらい特別な性能を持っているアイアンを使うと、クラブを変えるときに困るだろうと思いました。同じように作られたアイアンがない可能性があるからです。そういう意味では、一生このアイアンを使うという覚悟で使うアイアンかもしれません。

“マックテック NV301”シリーズのクラブは、予想通りだったこと予想以上だったことに溢れていました。自分が使うことを全く考えずに試打しましたが、それは間違いだったのだと思い知らされました。

改めて考えれば、ウッドの細部が丁寧に仕上げられていると感じたことや、アイアンの構えやすさなどは、マグレガーの名器を作ってきた伝統なのかもしれません。マグレガーは過去の伝統をベースにして進化をしているのだと理解しました。

スペック

マックテック NV301 ドライバー

★ロフト:10/11
★ヘッド体積:460cc
★長さ:44.5インチ
★シャフト:クワドラアクション DVJ48(R/S)

マックテック NV301 フェアウェイウッド

★ロフト:15/18/21
★長さ:42.5/42.0/41.5インチ

マックテック NV301 ユーティリティー

★ロフト:20/23/26/29
★長さ:40.0/39.5/39.0/38.5インチ

マックテック NV302 アイアン

★ロフト:#5/22、#6/25、#7/28、#8/33、#9/38、PW/43、AW/49、SW/56
★シャフト:カーボン NV-302IM(R/S)
★価格:スチールシャフト N.S.PRO ZELOS 8(R/S)
8本組(5I~PW AW SW) ¥160,000+税

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