宮本勝昌は通算11勝目を挙げた44歳のベテランで王道スイングの持ち主
- 2018.02.11
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勝負カラーのオレンジ色のシャツに身を包んだ宮本勝昌がダンロップ・スリクソン福島オープン最終日に躍動しました。
最終組の一つ前で回り、9バーディー、63のコースレコードタイ。18番を終え2位のI・H・ホに2打差をつけて、最終組のホを待ち受けます。18番でホがイーグルパットを外し、宮本の通算11勝目が決まりました。
2014年12月のゴルフ日本シリーズ以来の優勝。宮本は「自分にとってあの日本シリーズが、人生最後の優勝だったのかなと思うこともあった」と、振り返りました。
40歳を越えても前向きに
今年4月のパナソニックオープンで、プレーオフに持ち込みながら1ホール目のドライバーショットが無念のOB。そのショックに打ちひしがれましたが、「このままでは終われない」と闘志に火がつきました。
ところが、腰のヘルニアが悪化。一時は痛みでフィニッシュが取れないほど悩みましたが、出場権のある大会は出続けました。やっと、3週間効く注射に巡り合い、今大会2週間前に腰の3箇所に注射しています。
決して好調で今大会を迎えたわけではありませんでした。痛みを感じながら、初日から3日目までラウンド後は練習場で納得の行くまで打ち込み、パッティンググリーンでも長時間パターを握っていました。調子が悪いなりにも、スコアメイクができるのは練習量に裏打ちされた実力のたまものです。
ゴルフ世界選手権で優勝した松山英樹のような知名度、派手さはないものの、地道な練習で44歳にして優勝した宮本の姿勢は、アマチュアゴルファーにとっても見習うべき存在です。
宮本勝昌のプロフィール
●生年月日:1972年8月28日、静岡県生まれ
●プロ入り:1995年
●体格:身長174cm、体重76kg
●通算勝利:国内メジャー5勝を含む11勝
●ゴルフ歴:中学1年から始め、日大ゴルフ部で片山晋呉、横尾要と同期で「三羽烏」と呼ばれた。プロ転向後のつるやオープンゴルフトーナメントでツアー初優勝。
この年、ゴルフ日本シリーズで国内メジャータイトルを手にすると、1999年度はアメリカツアーに挑戦したが、2000年に日本ツアー復帰。2001年に日本ゴルフツアー選手権とゴルフ日本シリーズの国内メジャー2大会で優勝。以来、トッププロとして活躍。
●芹沢塾:藤田寛之、上井邦裕らと共に、芹澤信雄の「チームSERIZAWA」のメンバー
お手本とも言えるスイング
持ち球がパワーフェードの宮本。そのスイングの特徴は、正面から見るとバックスイングとフォローでクラブが身体を中心に左右対称の軌道で振り抜けていることです。
アップライトで立てたクラブがフォローでもクラブが立って終了します。このためインパクトでヘッドの角度、フェースの開閉が安定するので、スライスやドローにならず、方向性の良い飛ばすフェードボールが生まれます。
宮本のスイングはアマチュアが参考にする基本とも言えます。スイングの動作中、余計な力が加わることもなく、アドレスからフィニッシュまでスムーズに連続する動きです。
ターンの回転、スライドのバランスが良く、アマチュア時代から飛ばし屋として知られる宮本は、広い肩幅から大きなパワーを生んでいます。
スイングを宮本自身で解析したレッスン記事を参考に紹介しましょう。
<スイング中の体重移動が飛ばす秘訣>
バックスイングで右サイドに乗せた体重を左サイドに移動することでスイングのパワーをすべて伝えることができます。正しく体重移動ができているかのチェックは、フィニッシュの両足の状態でチェックできます。
ボールに当てる意識が強すぎると、下半身がうまく使えず手打ちになります。腕だけでボールを打つと、体重が右足に残ってしまい、ダフリやトップなどのミスを生みます。
<ダウンスイングで右膝を送り込む>
ダウンスイングで右足に乗せた体重をしっかり左足に移動させるには、右膝を左膝にぐっと寄せる感覚を意識します。そうすると、身体を浮き上がらせることなく左サイドに体重を乗せて行けます。
<フィニッシュは右足がつま先立ちに>
インパクト時は右足が地面に付いたベタ足でも、フィニッシュでは必ず右足がつま先立ちになります。これが飛距離が出せるゴルファーです。
宮本勝昌クラブセッティング
宮本はこれまで、勝負カラーのオレンジ色のボールを使っていましたが、ダンロップ・スリクソン福島オープンでは秋から販売されるプロトタイプで色は白でした。
「キャリーが出て、若手の飛びに引けをとらなかった」(宮本)
クラブ契約はブリヂストンスポーツ。
<ドライバー>
BRIDGESTONE GOLF TOUR B XD-3 ロフト:9.5度 シャフト:Tour AD MJ-7X PROTO フレックス:X 長さ:44.5インチ
<3W>
キャロウェイXR16PRO ロフト:14度
<ユーティリティ>
2U ホンマ TW-U ロフト:18度
<アイアン>
BRIDGESTONE GOLF TOUR B X-CB 3番からPW シャフト:NS PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125 フレックス:X
<ウェッジ>
BRIDGESTONE GOLF TOUR B WEDGE 52度、58度 シャフト:NS PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125 フレックス:X
<パター>
スコッティキャメロン GoloN5
<ボール>
BRIDGESTONE GOLF TOUR BXプロトタイプ
(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。
まだまだ活躍が期待される宮本
3年ぶりの優勝で、宮本は「これで人生最後の優勝を飾ることができて非常にうれしい」とジョーク交じりで喜びを口にしました。48歳までのツアー出場権を手にした宮本は言葉とは裏腹に、まだまだ勝ち星を狙って意欲満々です。
これで賞金ランキングも5位(8月2日時点)に上げました。自らを練習場に向かわせる宮本の後ろ姿は、シニアのアマチュアでもまだまだ上達できることを証明しているようでした。