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ゼクシオUX-AEROは究極の飛ぶウレタンボールなのか?/ゴルフの最前線から情報発信!

3/4にダンロップスポーツから発売された「ゼクシオUX-AERO」は、ゼクシオであってゼクシオではないボールだという。

“ディスタンス系ウレタンボール”という新しい分類のボール市場にゼクシオブランドが参入することは、メーカーとしての自信の表れだと期待する声は大きい。

もちろん、飛んで止まるボールなら興味がないわけがないので、その実態を体験してみた。

ゼクシオブランドの本気を感じさせる証拠

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ダンロップは1910年に世界で最初に糸巻きボールを発売したメーカーで、日本とアジア圏では住友ゴムがその名称を使用する権利を得て展開している。よって、欧米のダンロップと日本のダンロップは現在では全く別のメーカーである。

日本におけるダンロップのボールのブランドイメージは、昭和の時代から最高級で最高品質だ。そのイメージはゴルファーから認知されてきた。社用族ゴルファーは贈答品としてダンロップのボールを重宝したという背景もあった。

21世紀になった今、「ゼクシオ」は日本のダンロップが誇るフラッグシップブランドだ。「スリクソン」はプロやアスリート系のゴルファー向けのブランドで、一般の多くのゴルファー向けには「ゼクシオ」というのは、使用していない日本人ゴルファーでも知っている。

“飛びのゼクシオ”なんていうイメージでとらえている人も多い。宣伝量だけでも、メーカーやブランドの信頼度だけでもなく、実際に使用者を裏切らない機能があったからゼクシオは現在の地位を確保してしてきたことは疑いようがない。

3/4に発売された「ゼクシオUX-AERO」は、飛ぶウレタンボールとして、スリクソンとゼクシオの隙間を埋める狙いがあるようだ。

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左が普通のゼクシオ、右はUX-AERO

その証拠といえる最大の特徴が、ブランドのボールプリントの大きさに出ている。

ゼクシオを使っていることはステータスという部分もあるのだと、「XXIO」というロゴは他のメーカーのボールと比較してかなり大きいことは有名だった。「UX-AERO」は、強いてロゴを小さくしているのだ。

大きすぎるロゴは目立ちすぎて、ショット時の集中力を削ぐことがあるということへの配慮のようだ。こういうことを気にするのは、かなり腕前があると推測できるわけで、「UX-AERO」を使用するターゲットが見えてくるような気がする。

「ゼクシオは上手い人は使わない」というネガティブなイメージを持っている人たちを引き込むためには、機能はもちろんだけど見た目で納得させることも大事なのかもしれない。

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左がボルドー、右はホワイト

カラーは4種類ある。ホワイト、ロイヤルブルー、ボルドー、プレミアムパッションイエロー。

いずれも発色は美しい。日本で作られるボールは元々世界で類を見ないほど発色がきれいで美しいのだが、近年のグローバルモデル化が進んでいく中で、その特徴は消えつつある。しかしゼクシオは、その伝統を継承している。

今回、ホワイトとボルドーを使ったが、ホワイトはどこまでも白く、ボルドーは白をベースにワイン色に輝く面白いボールだった。他にないという意味で差別化した用具を使いたいゴルファーが増えていることを考えると、このカラーバリエーションも市場を刺激すると感じた。

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パッティングの際、マークしたボールを戻すときにボールにつけた線をラインに合わせる人は少なくない。そのために、ボールに自らサインペンで線を引く人もいる。

「UX-AERO」はポール部分(ロゴのプリントとは別の赤道にあるプリント)に、ラインに合わせやすい直線を意識したと思われる機種名ロゴが入っている。ブランドロゴは小さくなったのに、機種を示すロゴは大きいというのは矛盾ではなく理に適っている。

見た目で感じるのは、数々の工夫である。それも通な空気を漂わせてなかなかやるなぁ、と思わせる。使用者の目線で演出された工夫は、ある意味で機能なのである。自然と期待が膨らんでいった。

コースで打ってみて次々に判明するゼクシオらしさ

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僕のドライバーのヘッドスピードは41m/秒程度、やや高めの弾道で、スピン量は多めだ。当日はスタート時の気温は7℃、終了時の気温は14℃。始めは無風で、最後のほうは風速2m程度の南風が時折吹くという感じだった。

ドライバーで打ってみて最初に感じたのは、「初速感が凄い」ということだった。打感は柔らかい。そして、芯をあまり感じない。これは、別の表現でいうと軽い打ち応えだ。初速感が速く感じるのは、柔らかく軽いインパクト感なのに、ボールは高速度で打ち出されるからだ。

重いインパクト感があるボールに比べると、フェースのどこにボールが当たったのかがわかりづらい軽いインパクト感は完全に好みの問題であるが、初速感が速い感触が好きな人は、この部分だけで飛ばした気になれるのかもしれない。

ドライバーに関して、僕の場合は特別に飛んでいることはなかった。向かい風に打っていく場合には、明らかに風に負けるという結果も出た。使用しているブリヂストンの「B330RXS」とほぼ同じか、風の中だとやや劣ると感じた。

ボールの曲がりに関しては、ディスタンス系のボールとしては敏感に曲がる。曲げて狙う人には、安心感があるボールになると思われる。フェアウェイウッド、ユーティリティーも、距離はディスタンス系のボールとして普通である。

柔らかいインパクト感のせいだと思うが、ボールの打ち出しが少し低くなる傾向を感じた。トップ目に当たったほうがスピン量が増えてちょうど良くなるようで、真芯に当たったよりも、トップ目のほうが飛距離が出ていることもあった。アイアンに関しても、飛距離はディスタンス系のボールとして普通で、打ち応えがないインパクト感は増していく。

僕はある程度インパクト感が欲しいので、かなりの不満を持ったが、これは多くの場合、マイナス評価ではなくプラスになるのだと断言しておく。インパクト感はボールの芯とクラブの芯が合ったかがわかる感触なので、ミスに寛大なクラブを使えば使うほど無用になるからだ。

今までのゼクシオのボールにもいえるが、“当たった通りに素直に飛ぶ”というオートマチックなボールは、それだけで十分な魅力があるのだ。素振りしている感覚でボールが飛んでいくのを想像すればわかる。

残念ながら長年オートマチックな感覚でゴルフをしていない僕は、当たりが弱いと感じるとミスショットだと無意識に判断して反応するようで、フィニッシュが上手くとれなくて苦笑いを繰り返した。ボールがどっちに飛んでいったかもわからないこともあった。

「やばい」と感じるのにボールはちゃんと飛んでいるという奇妙なショットは、慣れることもできるのだろうけど、未知の世界だった。ゼクシオのボールの良さをベースにして、上級者が使いやすいように機能変更されたのだと強く感じた。

極限の飛びに期待は最高に膨らんでいたが、それは普通だなぁ、と思った。あくまでも僕の場合は、飛ばないわけではないが、特筆して飛ぶわけでもなかったのだ。

そもそも、ゴルフボール史上前例がないほどボールの性能は高いレベルで競っている現在に、飛び抜けたものを期待するほうが問題なのである。

強烈に感じたのは“止める”という仕事

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ショートアイアン、アプローチ全般でハッキリと感じたのは、スピンでボールを止める機能だ。これは、いわゆる“ツアー向けボールのスピン系”と呼ばれているボールよりも上だった。

風に少し弱い印象を持ったが、向かい風に放たれた9番アイアンやピッチングウェッジでは、ボールはバックスピンでボールマークより後ろに戻って止まった。追い風でも、パターの半分程度しか前に行かない。

グリーンは9フィートで、まあまあ硬めだった。僕の場合、使用球、今春に向けてテストしたボールの中で、「UX-AERO」が最もスピン性能が高い結果となった。

キャリーとランをトータルして飛距離だとすると、止まりすぎるボールは飛ばない要因になったりもするが、個人的には過剰なスピンに関して面白いと思った。それだけで上手くなった気持ちになるものだからだ。

アプローチでもスピン性能は高いと感じた。打ち応えが弱いので、かけている感覚がないのに、しっかりとスピンはかかる。グリーン上のパッティングでは、ディスタンス系のボールにありがちな、弾き感が強すぎるということは一切なかった。

打音に関しては好みだが、やや抑えめの打音は個人的には好感触だった。芯がない打感は、パッティングの時だけはしっかりと打ちやすくなるのでプラスだ。

まとめよう。

「UX-AERO」の見た目のことを最初に書いた。通な工夫に溢れている。これが実は大きなポイントなのだと思う。

上級者が使いたくなるボールは、ショートゲームでの使い勝手の良さが最優先される。多少飛ばなくとも、スコアを良くするためには止めることと入れることのほうが大きく影響するからだ。

「UX-AERO」は、そのセオリーを徹底して作られている。ゼクシオで培ってきた飛びのDNAを使って、ショートゲームではツアーボール並みの性能を発揮させるわけである。

全ての人を満足させるボールは夢であり、矛盾を埋める無い物ねだりに過ぎない。ボールは高性能になって、何を優先させるかを明確にデザインできるようになった。プロ用にはスリクソンがあるので、感覚的な部分は切り捨てて、実際に上級者が必要な機能だけを詰め込んだら、こういうボールになった、ということなのだ。

残念ながら、個人的には切り捨てられた感覚的な部分を求めてしまうので、使用ボールの選択肢に入れることはないと思う。

一つの仮説であるが、もしかすると、もう少しヘッドスピードが速い人、またはもう少し遅い人だと、飛距離についてもっと機能するのかもしれない。いずれにしても、以下のような人たちにはオススメできるので参考にして欲しい。

☆ダンロップファンの人、ゼクシオが大好きな人
☆使用クラブがアイアンが少なめで、ショートウッドやユーティリティーが多い人
☆アイアンも含め大きめで易しいヘッドのクラブを使っている人
☆寄せにおいてオートマチックにスピンをかけたい人

スペック

『ゼクシオ UX-AERO(ユーエックス エアロ)』

●カラーバリエーション
ホワイト / ロイヤルブルー / ボルドー / プレミアムパッションイエロー

●価格
1個700円+税(メーカー希望価格)

●発売日
2016年3月4日

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