新スリクソン Zシリーズの機能を検証してみた!/ゴルフの最前線から情報発信!
9月10日にダンロップスポーツが新たに発売する「スリクソン Zシリーズ」夏を過ぎて秋のシーズンに向けて発売される新しいスリクソンに、期待するゴルファーは多い。
ドライバー3機種、フェウェイウッド、ハイブリッド、アイアン型ユーティリティ、アイアン3機種。ドライバーを中心に飛びの技術を融合させて、プロやトップアマから始まって、波のように一般のゴルファーに広がっていくことを「Ripple Effect(波及効果)」とダンロップスポーツは銘打っている。クラブの機能に自信があるからだとも思える。
練習場でその時点で打てる市販モデルを試打させてもらった。130ヤードほどの大きさの練習場で、練習場で使用しているボールでの試打なので、全てがわかったとはいわないが、なかなか興味深いことがわかった。
3種類のドライバー
奥から「Z765Limited Model」「Z765」「Z565」
「Z565」は460ccで、ヘッド脱着調整機構がある。打ってみるとボールを捉えやすく、強い直進性をもったボールがでる。芯を外して打っても、ボールは弱くならない。棒球を打てるのに、それなりの高さの出球になる。
ヘッドスピードが多少遅くとも、また、左右にボールが曲がりやすくとも、ちゃんと飛ぶドライバーである。つまりは、あまり腕前に自信がなくとも、飛距離が出て曲がりにくいクラブに仕上がっている。
新しいZ シリーズの中で、一般の人でも打てるように調整されているラインアップがあるのは心強い。見た目はバリバリの上級者モデルなところが渋い。
「Z765」は445ccで、ヘッド脱着調整機構がある。前モデルがかなりのハードヒッター用という印象があったが、このモデルは構えたときにまず安心感がある。実際に打ってみると、Z565ほどではないがミスヒットに強い。そして、ボールはより強い棒球になる。
中弾道というほどではないが、自然にボールが上がっていくということはない。気持ちの良い高さでボールは飛んでいく。芯に当たった感触もしっかりしていて、操作する快感を得たいというゴルファーも満足するはずだ。
「Z765Limited Model」は440ccで、ヘッド脱着調整機構は搭載されていない。かなりのディープフェースで、好みがわかれると思った。重心もかなりフェース側にあるようで、ハードヒッター向けに作られたのだと主張している。
実際に打ってみると、狙い通りに打てるという前提で飛ぶ球が出るなぁ、というのが最初の印象だった。ハードヒッター向きといっても、求められるのは正確なヒットである。ヘッドスピードに加えて、ドライバーを操作できることが求められる。
最上位モデルとして使い手を選ぶドライバーは頼もしいし、調整機能がない分、良い感じにチューンナップされているようなバランスの良さを感じた。
ドライバーの機能
「Z765Limited Model」のソール
最新のドライバーに共通する機能を、Zシリーズも搭載している。
ソールに波状の段差を付けた「パワーウェーブソール」
有効な打点を広くするための「ストレッチフレックス・カップフェース」
低重心を確実なものにする「ライトウェイトクラウン」
機能は目に見えないし、打ってみても証明はできないが、ソールの形状が良いのではないかと思うことが何度もあった。3機種全てに、いわゆる低重心を強く感じたからである。
ソールは打つときには見えないが、だからこそ機能が詰まっていて欲しいし、スイングのフィニッシュ時にも目立つわけなので無視は出来ない。
新しいZ シリーズのドライバーのソールは、渋くてカッコイイ。
新しい Miyazaki シャフトは好感触
新しい Miyazaki シャフト
海外で先に認められた感がある「Miyazaki」シャフトも最新版がほぼ全てのモデルに装着される。「Miyasaki Kaula(カウラ)」がその名称だ。
このシャフトがすこぶる良い。前モデルの「Miyazaki Kosuma」に比べて、単純にいうとスッとしなって、サッと走る感じになった。つまり、軽く動くのに無駄に暴れないのだ。
モデルごとに設定されていて、「KORI(氷)」「MIZORE(霙)」「MIZU(水)」「KIRI(霧)」と特徴があり、フレックスと重量別で36通りのシャフトが用意されている。
通常の市販モデルには「MIZU(水)」が装着され、今回も基本的にはこのシャフトを打ったが、「Miyasaki Kaula mizu」恐るべしと思った。僕のヘッドスピードはドライバーで43m/秒程度であるが、気分良く使えた。
長距離を打つクラブ
H65のソール
フェウェイウッド、ハイブリッド、アイアン型ユーティリティもラインアップされているが、とりあえずは、「Z F65」がフェアウェイウッド、「Z H65」がハイブリッド、「Z U65」がアイアン型ユーティリティと、一つずつのブランド展開になる。
スプーンは製品化に向けて調整中ということで、「Z F65」は5番ウッドしか打つことができなかったが、なかなか面白かった。
僕はフェアウェイウッドはスプーンしか使用しない。理由は5番ウッドは縦の距離が不安定だからだ。トップ目に当たったときと芯に当たったときと、打ち込んだときに、著しく飛ぶ距離が変わってしまうものが多いところが信頼できない。
「Z F65」の5番ウッドは、それが安定していた。トップ目に当たってもそこそこの高さにボールが上がるし、芯の上部に上手く当てられれば、棒球で飛距離を稼げるボールも打てる。スプーンを打ってみたいと思った。
モデルが一つだけの場合、易しい味付けになっているフェアウェイウッドが多いが、「Z F65」は易しすぎなくて良い。ちゃんと打てれば、狙い通りに飛ぶというのは当たり前なのだけど、易しすぎるクラブは、どこに当たってもそこそこ飛ぶ代わりに、いくつかの弾道が上手く打てなかったりするので使いづらい。
ハイブリッドの「Z H65」は、今回試打した中で最もグッときたクラブだ。
フェアウェイウッドでも採用されているクラウンに溝が刻まれている「アークサポートチャネル」が特徴的であるが、まず、構えたときの座りが良い。
ピーナッツのような形状のヘッドは、ものによっては構えたときの向きが合わないのだが、スッと狙い通りに向けられるのである。そして、狙い通りのボールが打てて、かつ、飛距離が出る。
試打したのは、#3の19度で、練習場は狭いのでキャリーを確認できなかったが、とても気持ち良く打つことができた。シャフトもMiyazaki Kaula のハイブリッド用が装着されていたが、このマッチングも良いのだと思う。あまりに良いので、余計にボールを打ってしまった。
球が高いハイブリッドが好きな人には向かないが、色々な球を打ちたくて、かつ、飛距離性能に秀でているハイブリッドが欲しい人にはバッチリである。
フェアウェイウッドと同じように、ある程度ボールをコントロールできるゴルファーでなければ扱えないかもしれいが、このハイブリッドはMiyasakiシャフト装着モデルでも、28,000円+税ということでコストパフォーマンスも良い。注目したいと思う。
アイアン型ユーティリティ「Z U65」は、中空ヘッドで、バックフェースのデザインはマッスルバックのアイアンと同じラインになるようにできている。これも好感触だった。
中空ヘッドのクラブは、構えたときに余計な膨らみが見えたりすることが多々あるが、「Z U65」はそれがない。打ってみると思いの外、楽にボールが上がっていく。また、打感に独特の柔らかさがあって安心できる。
楽にボールが上がるアイアン型のユーティリティは、概して飛距離は残念なものだが、「Z U65」はちゃんとロフト通りに飛んでくれる。ハードなようで、打ってみるとそうでもないのである。2番から5番まで、18度、20度、23度、26度と用意されているのも心強い。
狙えるアイアンのラインアップ
左から「Z562」「Z765」「Z965」
アイアンもドライバーのように3機種がラインアップされる。キャビティーバックの「Z565」、セミキャビティーの「Z765」、マッスルバックの「Z965」
8番アイアンをそれぞれ打たせてもらった。フルキャビティーの「Z565」はロフトが35度、「Z765」は36度、「Z965」は37度なのだが……それぞれにあまり距離差はでない。
一つには、マッスルバックの「Z965」には使い慣れたダイナミックゴールドDSTが入っていたことがあり、振りやすかったことがあるが、アイアンは飛ばすものではないので、そんなに問題ではないと思う。
ボールの高さもあまり変わらず、上下左右共にミスヒットに関しても大きな差はない。これは、バックフェースの構造よりも、別の意味の機能が良いからだと推測される。
左から「Z965」「Z765」「Z562」
まず目をひくのは、新しい「Tour V.T. ソール」である。パッと見てわかるのが、ソールがしっかりと削られていることだ。V字のようになっている。これが抜けの良さを向上させる工夫である。
ソールの長さが以前より長くなったことから、その分の抜けが悪くなるのを嫌っての機能なのだろうが、見た目になかなかカッコイイ。
また、3機種とも#3~#6にはトウ側にタングステンがウェイトとして埋め込まれている。これが芯を左右に外したときに活かされるようだが、打ってみてその違和感は全くない。
3機種とも、奇をてらわずに王道のアイアンである。難しすぎず、楽に打てるが、ボールのコントロールもちゃんとできる。無駄にボールが高く上がることがない。
マッスルバックの「Z965」はカッコイイアイアンで、難しく見えるが驚くほど難易度が高いわけではない。マッスルバックのアイアンに挑戦したい人にはお勧めしたい。
一つの売りなんだろうけれど、個人的には少しフェースが長いと構えたときに感じた。これは好みの問題なので、良し悪しではない。同じく好みであるが、構えたときに見えるシェイプは、やや丸みがあってこれは好感が持てた。
実際に打ってみて、少し面白いことがあった。セミキャビティーの「Z765」だけ、ボールが急にキャリーしすぎることがあったのだ。何球が打ってみたけど、理由は解明できなかった。
ウェッジは「Z565」「Z765」の二つのセットにはラインアップされる。「Z765」の51度のウェッジを打ってみた。
まず、ラウンド型の丸いシェイプが大好きなので、細部にわたってよく出来ていると感心した。打ってみても球の高さや弾道なども打ち分けられるし、好感触だった。セッティングに組み込まれて売られるものであるが、バラで売って欲しいぐらい良かった。
まとめ
新しいスリクソン Zシリーズは、挑戦的なクラブだ。多くの人が使えるプロゴルファーのテイストを持ったクラブ、という感じだろうか。ドライバーのスリクソン史上最高飛距離という話は、機能的な意味で合うものを選べば多くの人が実感できると感じた。
ラインアップされているクラブは、それぞれに個性的なのに、オーソドックスでもある。攻めるところは攻めて、守るところは守る。バランスが良い。フェアウェイウッド、ハイブリッド、ユーティリティも、新しい機能を採用して、それがちゃんと弾道などに反映されている。
アイアンもソールを観察しても、トウ側から観察しても、構えて見ても、まずは目で満足できるクラブになっている。打ってみれば、まさに正統派であり、信頼を築いていく相棒として不足はない。
いずれにしても、以下のような人たちにはオススメできるので参考にして欲しい。
☆スリクソンファンの人
☆骨太の本格的なクラブを使いたい人
☆プロと同じブランドを使いたいけど、難しすぎるクラブは使えないと遠慮している人
☆現在使用しているクラブで、部分的に気に入らないクラブがある人
☆オーソドックスでありながら、最新の機能を搭載したクラブを使いたい中上級者
スペック
『スリクソン Z シリーズ』
発売2016年9月10日
●ドライバー
Miyasaki Kaula シャフト 68,000円+税
SRIXON RX シャフト 3,000円+税
カスタムシャフト 78,000円+税
「Z565」
ロフト 9.5/10.5 体積 460cc
長さ 45.0インチ シャフト S/SR
「Z765」
ロフト 9.5/10.5 体積 445cc
長さ 45.0インチ シャフト S
「Z765 Limited」
ロフト 8.5/9.5 体積 440cc
長さ 45.0インチ シャフト S
●フェアウェイウッド
Miyasaki Kaula シャフト 40,000円+税
SRIXON RX シャフト 35,000円+税
カスタムシャフト 50,000円+税
番手
#3+/#3/#4/#5/#7
ロフト
13.5/15.0/17.0/19.0/21.0
長さ
43.0/43.0/42.75/42.5/42.0
●ハイブリッド
Miyasaki Kaula 7 for HYBRID シャフト 28,000円+税
N.S.PRO 980GH DST シャフト 25,000円+税
番手
#2/#3/#4/#5/#6
ロフト
16.0/19.0/22.0/25.0/28.0
長さ
40.75/40.25/39.75/39.25/38.75
●アイアン型ユーティリティ
Miyasaki Kaula 7 for UTILITY シャフト 28,000円+税
N.S.PRO 980GH DST シャフト 25,000円+税
番手
U2/U3/U4/U5
ロフト
18.0/20.0/23.0/26.0
長さ
40.25/39.75/39.25/38.75 ※Miyazaki シャフト
●アイアン
Miyasaki Kaula 8 for IRON シャフト
6本セット(#5~9、PW)120,000円+税
1本(#3、#4、AW、SW)20,000円+税
N.S.PRO 980GH DST シャフト
Dynamic Gold DST シャフト
6本セット(#5~9、PW)102,000円+税
1本(#3、#4、AW、SW)17,000円+税
※ Z965 はAW、SW 無し
「Z565」N.S.PRO 980GH DST シャフト/Miyasaki Kaula 8 for IRON シャフト
「Z765」Dynamic Gold DST シャフト/N.S.PRO 980GH DST シャフト
「Z965」Dynamic Gold DST シャフト
※ 硬度は、S と S200のみ