細部まで調整されたヨネックスCB301に挑戦せよ!
ヨネックスのアイアンが過去にないほど注目されているのは、“N1-MBフォージドアイアン”が契約外の池田勇太プロの2016年から続く快進撃を支える一因だと噂されているからです。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は2018年1月に発売される新しいアイアンで、ヨネックスフィッティングスタジオのみで先行発売されています。出来上がった直後から女子プロを中心にツアーで使われていることが話題になっています。
新たに注目を集めるのは当然の流れというわけです。フルセットをお借りしてゴルフコースで打ってきました。
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美しいこともアイアンの機能
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”の第一印象は「美しいアイアン」でした。美しいと感じる場合、いくつかの種類がありますが、“EZONE CB 301 フォージドアイアン”で感じたのは機能美です。
仕上げが美しいアイアンは市場に溢れています。機能美を感じるアイアンはありそうでないものです。各番手の繋がりがきれいで無理や無駄を一切感じません。一つ一つの番手も丁寧に作られています。直線と曲線の調和は、構えたときに安心感を生みます。手にして構えるだけで、打ってみたくなります。
トッププロでもアイアンに求める感性は十人十色で、構えたとき感じる安心感を求めないプロゴルファーもいます。安心感は機能としてカウントすべきではないという考え方もありますが、こだわる人にとって、ここ一番で狙い通りに打てる確率を上げる心強いポイントになるのも事実なのです。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”だけでなく、アイアンは構えたときにフェースしか見えません。面白いことに、フェースにも傾向のようなものがあって、マッスルバックっぽいシェイプとキャビティっぽいシェイプは存在します。それぞれが安心感に繋がることもあります。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”のシェイプは、マッスルバックを感じさせます。面積が小さく、ヘッドが小さめだからです。小さいヘッドだと難しいと感じてしまうゴルファーも多いのですが、アイアンの場合、ヘッドが小さいことには難しさを撥ね除けるぐらい多くのメリットがあります。ラフからの抜けの良さ、ボールがスピンで上がりやすい、操作性の良さ、手応えの敏感さ等々。100%ではありませんが、イメージは、ゴルファーの経験の蓄積で生み出されるのです。
ヨネックスからお借りした試打用の“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は、3番アイアンからピッチングウェッジまでの8本セットで、シャフトは標準で付いている『N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125』の硬さはSでした。ドライバーのヘッドスピードが42m/秒程度の僕には、かなりハードなスペックです。
とはいえ、女子プロが使っているという情報を得ていましたので、心配はしていませんでした。最初はパー5の2打目で、3番アイアンを使いました。180ヤードぐらい飛べば良いなぁ、と思いながら軽めに振りました。芯に当たって、ボールは飛んでいきました。打音は高音で気持ちの良いものですが、音量は控え目です。打ち応えはやや重めでした。
3番アイアンで打ったボールは思ったより少し低めの弾道で、スーッとほとんどストレートに飛んでいきました。キャリーは170ヤード、フェアウェイで少し転がってトータルは180ヤードでした。ロフトが20度なので、シャフトが少しオーバースペックなのかもしれないと感じました。
次にピッチングウェッジを使いました。ロフトは46度です。110ヤードを狙って打ちました。きれいに芯に当たって、ボールは高い弾道でピンに向かって行きました。グリーンに乗ってみると、ほぼ平らなライなのに1ヤードぐらいスピンで戻っていました。理想的な弾道で、心強く思いました。
CB301は新時代のアイアン
打ちながらラウンドをして、最も気になったのは、打ち応えの重さです。好みの範囲なので正解があるわけではないのですが、個人的には芯に当たったときに軽い抜けるような打ち応えがするクラブが好きです。“EZONE CB 301 フォージドアイアン”の打ち応えは少し重めです。重めの打ち応えのほうが、打っている感じがして気持ちが良いというゴルファーのほうが多数派になりつつあるのでマイナスではありません。
ロングアイアンは、1球目と同じようにボールが低いという印象を持ちました。普通なら浮力がないショットは距離が落ちるものですが、トータルで見ると距離はロフトなりに出ていました。ボールを曲げてみようとしたホールがありましたが、あまり曲がりませんでした。この辺りは、“EZONE CB 301 フォージドアイアン”の全体の特性なのかもしれません。
他の番手も、直進性が高くて、あまり曲がらない印象でした。ヘッドが小さいアイアンは、比較的曲げやすいものですが、ちょっと裏切られました。普通のゴルファーなら、この特性はプラスになるのだと思います。
ミドルアイアンでも、やや浮力がないことが気になりました。好みの範囲ですけど、目一杯当たったミドルアイアンのショットの弾道は最頂点までグイッとボールが上がっていくのが理想です。しかし、“EZONE CB 301 フォージドアイアン”はドーンという感じで、高さを維持して飛んでいく感じでした。当然、スピン量も抑えめで、グリーンに落ちてから少し前に行きます。
8番アイアンより下の番手のショートアイアンになると、急にスピンがかかるようになります。プロ用に調整されたアイアンではよくあることですけど、好感触でした。打ち込んでも良し、払って打っても良し、“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は使い勝手が良いアイアンという印象になりました。
バックフェースを見ると、黒い樹脂が埋め込まれているのがわかります。中空、または、ポケットキャビティという構造になっています。ミスヒットを助けるための機能ですが、“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は易しく打てるアイアンではないと感じました。打っていて芯の広さはあまり感じなかったからです。
わかる人が、納得して使うアイアンが“EZONE CB 301 フォージドアイアン”です。
アイアンは地面から打つものですので、ソールも重要です。ミスしたときに助けてくれるように考えてしまいがちですが、ソールの機能がフルに発揮されるのは、むしろナイスショットしたときです。ミスヒットを助ける為の工夫が、ナイスショットにも影響してしまうソールは、機能としてはマイナスだと僕は考えています。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”のソールは、良く出来ています。量産品とは思えないほどに細かい仕上げになっているのです。距離感が合うことは、アイアンに求める最大の機能です。“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は、弾道に戸惑いながらも、距離感はビンビンに合いました。ハードなスペックを気にしながらラウンドしましたが、不思議な感覚でした。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は、いわゆる上級者向けのアイアンです。易しいと思って、軽い気持ちで使うのには反対です。上手くなりたいという強い意思を持っているか、芯に当てることに自信がある人が使うべきです。“EZONE CB 301 フォージドアイアン”がツアープロに評判が良い理由は、新しい弾道が打てるのに、アイアンとしての機能は今まで通りに優れているからだと思いました。
ドライバーやウッドクラブは、今や棒球を打つクラブになりました。しかし、アイアンはスピンを減らすことを使用目的として作られているので、昔からの弾道のままでした。2017年になって、アイアンでも棒球っぽい弾道が打てることをテーマにしたと思われるアイアンが出現しています。“EZONE CB 301 フォージドアイアン”で、ヨネックスは棒球弾道のアイアンの限界に挑戦したと感じました。
ドライバーは飛ぶのにアイアンは飛ばないとか、パワーがありすぎてアイアンの球が吹き上がってしまうという傾向があるゴルファーには“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は救いになることでしょう。また、その美しさに挑発された上級者の武器として威力を発揮することも想像できます。
“EZONE CB 301 フォージドアイアン”は、美しく、新しい。プロも満足させるアイアンでした。
スペック
EZONE CB 301 フォージドアイアン
★発売日 2018年1月
★ロフト No.3/20、No.4/23、No.5/26、No.6/30、No.7/34、No.8/38、No.9/42、PW/46
★素材 S25C軟鉄鍛造+グラファイトハイブリット
★シャフト N.S.PRO MODUS3 SYSTEM3 TOUR125
★価格 スチールシャフト装着6本セット(#5-PW)138,000円+税
#3・4単品 23,000円+税