ピンのG400MAXは追加ではなく遅れてきた本命である
ピンゴルフが2018年3月8日に発売した“G400 MAX ドライバー”をコースに持ち込んで、実際にラウンドしてみました。
2017年の秋に発売されて大評判となった“G400 ドライバー”は、スタンダード、前重心の低スピンモデル、フックが打ち易いモデルの3種類でした。いずれも445ccのヘッド体積で、飛距離が出ることで話題になりました。
ピンゴルフは原則として460ccのヘッド体積のみのドライバーを作ってきたので、ディープなファンは“G400 ドライバー”の445ccには深い意味があると考えて、推論も盛り上がりました。
個人的にも“G400 ドライバー”は購入しようと食指が動くドライバーでしたが、一点だけ気になることがあって購入には至りませんでした。
2018年春時点の最先端をG400MAXは魅せる
“G400 MAX ドライバー”について、発表された時点で、追加バージョンなのだろう、としか思いませんでした。445ccが460ccになっても、15ccは大さじ一杯分の分量です。
とはいえ、期待しなかったわけではありません。ピンゴルフが理由なく、または、自信がない状態で市場に新しいクラブを投入するはずがないからです。
希望としては、“G400 ドライバー”シリーズ3種類に共通していた『左にボールが行く挙動をしようとする』という気になっていたクラブの癖が、ヘッドが大型化される中で解消されているのでは、と願ったりしていました。
見た目は、前バージョンとほとんど差を感じません。並べて比較をしていないので、なんともいえませんが、大きさはちょうど良い見慣れた感じです。
マットブラックで、凸凹したデザインがある(空気抵抗を減らします)クラウンには好き嫌いがありますが、個人的には違和感は全くありません。ヘッドのシェイプは好感触です。ヒール側のボリュームも、曲線のピークの位置なども大好きです。9度以上のロフトがあるように見えます。フェースを見せることで安心させて、さり気なく、ゴルファーの肩の力を抜く効果があるのかもしれません。
お借りした“G400 MAX ドライバー”は、ロフト9度、シャフトは『ALTA DISTANZA』という40gのシャフトです。標準シャフトの一つなのですが、このシャフトはフレックスがないのです。(アメリカ市場ではフレックスが存在します)
軽くて、フニャフニャなのかもしれないと、注意しながら振ってみました。軽いのは軽いのですが、不快ではありませんでした。全体がしなって、インパクト近くになるとピュンという感じで敏感に反応するからです。軽いけど、しっかりしていることを素振りで確認して1球目を打ちました。
気温は1℃。かなりの厚着をしていたのと軽く打ったので、ヘッドスピードは40m/秒ぐらいでした。ジャストミートで真芯に当たった感触がありました。ピンのドライバーは、許容範囲が広いものでも、ちゃんとフェースのどこに当たったかがわかるという特徴がありますが、“G400 MAX ドライバー”も同様です。
ロフト9度とは思えない高弾道で、真っ直ぐに飛んで行きました。弾道の頂点からボールが落ちてこない感じの棒球弾道でした。打音はやや控え目の音量ですが、弾きを感じさせる澄んだ音を響かせます。
フェアウェイに着弾するのを確認して、2打目地点に行きました。思わず、ウソだろ、と口に出してしまいました。軽く振ったのにもかかわらず、250ヤードを少し越えていたのです。
落ちてからかなり転がったようです。凄い距離性能だということも驚きましたが、もう一つ、気が付いたことがありました。左に行こうとするクラブの癖みたいな挙動を一切感じさせなかったのです。
2ホール目は、左に行っても良いと自らを開放して“G400 MAX ドライバー”を打ってみました。前バージョンのドライバーなら左にある林に行ってしまう感じです。これも真芯に当たって。ややドローはしましたが、左サイドのフェアウェイに止まりました。飛距離は235ヤード。落下場所が受け傾斜だったので、転がりが悪かったことを考慮すると異常ともいえる距離です。
それより何より、“G400 MAX ドライバー”は、左に行きたがる癖を全く感じないことが好感触でした。これは評価が分かれるところだと思うのですが、“G400 MAX ドライバー”は曲げにくいと感じるほど直進性が強いのです。
いわゆるプロや上級者が使うドライバーの場合、持ち球に合わせてボールをイメージ通りに曲げられるかを問われます。一言で書くのは乱暴なのは承知の上で、ボールの曲げに敏感なドライバーの評価が高くなる傾向があるのです。
“G400 MAX ドライバー”で打ったボールは、鈍感すぎるのではと心配するぐらい曲がらずに、とにかく、真っ直ぐに飛んで行こうとします。
前バージョンの“G400 ドライバー”は、フェード打ちのゴルファーには合っていると思いました。左に曲げることに敏感なドライバーは、右に打ち出しやすい特徴がない限り、ドロー打ちにとっての恐怖や不安といったマイナス要素になるからです。
“G400 MAX ドライバー”は、その部分が解消されています。ドロー打ちでも安心して使えます。真っ直ぐ行こうとする特徴は、低スピンなボールを打つ機能ともリンクします。飛距離性能が飛び抜けている理由の一つなのだと思われます。
許容範囲が大きいという意味を考えよう
多くの場合で、許容範囲が大きいドライバーだと紹介されるのは、フェースにフォーカスしたときに芯と呼ばれるエリアが広いことを意味します。打ったボールを計測したときに、芯に当たっているボールは初速が速いわけですが、芯を外して打ったときにも初速が落ちなければ、数値的にも芯の広さを証明できます。
数値で明確になるシンプルさをわかりやすいと考える人は少なくありません。しかし、僕は一つの側面に過ぎないものだと考えています。初速が速いことは飛距離に直結するので、そのスペックは大事なのですが、芯を外れたら、初速は落ちて良いと思うのです。あくまでもイメージなのですが、芯が狭いクラブのほうが芯に当たったときの初速がより上がるような気がするからです。
それと、芯を外れて当たったボールは、初速が速くとも狙い通りに飛ぶ保証がありません。初速だけに注目しすぎて、他のボールスペックが悪い場合は、飛ぶのだが曲がる、という可能性があるのです。
“G400 MAX ドライバー”は、芯のエリアが広いドライバーです。それが欠点にならないような機能を内包しているようです。曲がりにくいという部分と重なるのですけど、強いてボールを曲げて打ったときに、その性能の高さがわかります。フェード、ドロー、高い球、低い球。それぞれを打ったときに、極端な距離差が生まれないのです。
普通のドライバーは、飛ぶ弾道と、飛ばない弾道が明確です。例えば、ドローは飛ぶのに、フェードだと飛ばないというようなことがあります。一発のぶっ飛びはあっても、平均すると今までのドライバーより飛距離が劣るということも起きてしまうわけです。“G400 MAX ドライバー”は、そういうことに悩まされないで済みそうです。
“G400 MAX ドライバー”は、460ccにヘッド体積を増しただけではなく、ヘッドの重量配分も変えました。ソールの後方(フェースと反対側)のウェイトは、今までの3種類の“G400 ドライバー”の2倍になっています。じっくりとコースで打ってみてハッキリとしたのは、“G400 MAX ドライバー”は追加バージョンというより、進化したバージョンアップだということです。
今回テストした“G400 MAX ドライバー”は純正シャフトの一つである『ALTA DISTANZA』という40gのシャフトが装着されていました。飛距離性能に驚いた要因の中に、この驚異的に軽いシャフトが含まれていたと考えています。
2018年の春の段階で、各メーカーから発表されたドライバーの多くは、40g~50gの軽いシャフトを純正シャフトに採用しています。その昔から物理的には、シャフトは軽ければ軽いほど飛距離に結びつくエネルギーが増すことはわかっていましたが、シャフトを軽くすると剛性が落ちてしまうので限界がありました。
軽くとも、機能を発揮できるシャフトが待たれていましたが、実現しつつあるようです。“G400 MAX ドライバー”を購入する際に注意して欲しいのは、この部分です。純正の軽いシャフトで結果が出たのであれば、そのまま純正シャフトのスペックをオススメします。
今まで自分に合っていたシャフトにした場合、ヘッドの機能は健在ですので棒球な弾道は維持されますが、圧倒的な距離性能は少し陰りが出る可能性が高いと推測します。逆に考えれば、追加バージョンとして、このタイミングで“G400 MAX ドライバー”が市場投入されたのは、軽いけどしっかりしたシャフトの恩恵を受けるチューニングにピンゴルフは自信があったのだと考えると納得できます。
“G400 MAX ドライバー”は新しいシャフトとのマッチングが最高でした。過去にピンゴルフには、たくさんの素晴らしいドライバーがありました。個人的には“G400 MAX ドライバー”がピンゴルフ史上最高の1本だと感じました。
ラウンド中に本当に気持ちが良くて、楽しくて、このままメーカーに返したくない、とも思ったほどでした。“G400 MAX ドライバー”は機会があれば、変な先入観も捨てて、躊躇なく試してみるべきドライバーです。
スペック
G400 MAX ドライバー
★発売日 2018年3月8日
★ロフト 9° 10.5°
★ヘッド体積 460cc
★シャフト価格 ALTA DISTANZA、ALTA J CB、PING TOUR 173-65、
PING TOUR 173-75
1本 63、000円+税
ATTAS CoooL、Speeder EVOLUTION IV
1本 75、000円+税