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テーラーメイドM3とM4は未知のレベルがあることをゴルファーに教える!

テーラーメイドゴルフが2018年2月16日に発売する“M3”“M4”のドライバーとスプーンをコースに持ち込んで打ってきました。大ヒットして、初代、二代目と続いた“M1”“M2”は三代目にして名称を一つずつ上げました。

親会社が変わったからだという斜めから見た意見もありますが、新しいテクノロジーを搭載して、モデルチェンジではなく全く新しいブランドになったという意気込みを感じました。

ツアーで戦うために作られた『M3』

 

“M3”は前モデルの“M1”と同じようにソールにウェイトをスライドさせて重心を動かせる機構が搭載されています。その形が、Y字になりました。『Yトラック』と呼びます。

結論から書きますが、この『Yトラック』は優秀です。2個のウェイトをフェース寄りにすることで重心は前に移動して、低スピンのボールを打ちやすくなります。上の画像のように、2個を最も後方に移動させると許容範囲が広くなって、ボールも上がりやすくなります。

弾道解析してみましたが、僕でも400回転程度スピン量が変わりました。ウェイトの調整機能があるドライバーでは、最大の変化です。これは高評価です。

フェースの裏側の溝に2本のリブがあります。これは“M4”にも採用されている新しいテクノジーで『ハンマーヘッド』と呼びます。フェースの反発力を向上させるそうです。

 

ドライバーのシェイプです。フェース寄りの金属部分が、白ではなくシルバーになりました。締まって見えるという意見もありますが、個人的には“M3”にかんしては、フェースが小さく見るような気がしました。目標に向かってすっと構えられる安心感と、フェースが小さく見ることで集中力が増すようなプラス効果がありました。

大いに話題になっている『ツイストフェース』は見た目ではほとんどわかりません。
フェースをねじるような形にして、ミスヒットしたときにギア効果を最大限にして、狙いを外さないという機能です。
これは、実際い打ってみても、ほとんどわかりませんでした。頭に入っているので、意識してみると辛うじてトウ側に当たったときに曲がりが小さいような感じがした程度でした。

さて、実際にコースで打った詳細を紹介しましょう。
当日は、気温が1℃。厚着をしているので、ヘッドスピードは40m/秒程度でした。
試打した“M3”は、ドライバーはロフト10.5度で、純正シャフトの『KUROKAGE TM5』のSが装着されていました。スプーンは15度で、シャフトは同じです。

『KUROKAGE TM5』はSでも55gというかなり軽いシャフトですが、軽いけどしっかりしていて、反応も機敏で好感触でした。
ドライバーの一発目は、完全なストレートボールでやや低めの強い弾道で飛んでいきました。実際には、高めのドローボールを狙って打って、手応えも悪くなかったので、その差が少し意外でした。

打音はかなり大きめです。高音で、短音。締まった音は飛びそうで好感触でした。
途中で、『Yトラック』のウェイトを色々と変えて打ちましたが、ウェイトを変えると少し打音が変わります。これは問題ではなく、そういうものだと考えれば良いと思います。

ボールは220ヤード飛びました。トップレベルの飛距離は、流石テーラーメイドです。
ヘッドスピードが不足している感じがしましたが、転がりも多かったので低スピンなボールが打てているのだと実感しました。

次のホールでは、もっとフック目に打っても大丈夫なのかと考えて、多めのドローを打とうとしました。ボールはキレイなドローボールになって、やはり220ヤード飛びましたが、少し違和感がありました。

次のホールではフェアウェイ真ん中からフェードを打ってみました。気持ちよくフェードしまして、飛距離は210ヤード。違和感が確信になりました。
そして、3ホール目、4ホール目と打っていきました。

ボールは普通に打つとやや低めの弾道になることがハッキリして、もう一つわかったことがあります。
“M3”は最近のクラブでは考えられないほど、敏感なのです。

現在の多くのクラブは、ハンドルで例えると遊びが多く、ほんの少しの動きなら吸収して影響が出ないようになっています。“M3”のドライバーは、瞬間的な動きに弾道が影響を受けるのです。このまま打つと左に飛びすぎるかも、という気持ちが指先に伝わって、すっと抜いた動きをすると、ボールに伝わる感触がありました。
懐かしい感触でしたが、久しぶりすぎて違和感となって伝わりました。

そして、もう一つ特徴があります。
左にボールを行かせようとする挙動が大きくはないのですけど、ハッキリとしているのです。フェード打ちには、この挙動は手助けになることがありますが、ドロー打ちだと評価が分かれるところです。
これも一昔前のドライバーが共有していた感触です。昔に戻ったような気がしました。

“M3”ドライバーは、レーシングカーのような敏感さを持っています。真っ直ぐに走るだけなら不要なコーナリングでタイムを縮めるための機能を搭載しているのです。
ツアーの要求で作られた新しい『M』シリーズを感じました。

昨年、ツアーでも大人気だった“M2”をツアー仕様にして、チューニングしたような印象を持ちました。
逆に言えば、“M1”を使っていたゴルファーには、合わないような気がしたのです。

とらえる動きをしてくれることで生まれる易しさを持ちながら、ごく一部のゴルファーしか使い切れない敏感さも備えているというのが“M3”ドライバーです。

 

“M3”のスプーンは、構えたときにボールが上がりやすそうな雰囲気があります。
ツアーモデルとして、構えたときの安定感という点は素晴らしい完成度です。
小さいヘッドが好きな人なら、構えただけで買ってしまいそうです。

浮力がありそうに見えますが、打ってみるとびっくりさせられます。
余計な浮力も、打ち出しを高くする機能もほとんどないのです。

“M3”ドライバーとは違って、オートマチックなスプーンです。色々な球種を打つことはできるのですが、無駄なことは排除して、ひたすら中断道の強いボールを打つことに特化しているように感じました。
色々なシーンで使いましたが、飛距離にかんしてはいわゆるぶっ飛び系のスプーンには劣りますが、狙った球筋をしっかりと打っていくのであれば最強です。

最も良いと思ったのは、吹き上がらない弾道です。
現在のスプーンの大半は、上がりすぎてボールが吹き上がってしまうものがありますが、その対極に位置づけられるのが“M3”のスプーンです。

ゴルファーを裸にするのが“M3”なのかもしれません。
ツアーのために作られたクラブを使いこなせるかどうか? というのが最初の条件です。どんなゴルフをしたいかで“M3”の使い手になれるかが決まると感じました。
「使えるものなら使ってみなさい」と挑発されている感じがしました。

“M3”は単に難しいわけではありません。“M3”でなければ出来ないゴルフがあるのも事実だと思いました。

『M4』は全く新しいクラブだと考えよう!

 

“M4”のソールはシンプルです。ネックの調整機能以外の調整機能は搭載されていません。大人気だった“M2”の後継機種として、見慣れたソールに安心するゴルファーも少なからずいると思います。

しかし、断言します。“M4”はあくまでも“M4”という新しいクラブなのです。
“M2”の後継機種としては、“M3”のほうが近いと感じたほどです。

 

“M3”と同じように『ハンマーヘッド』というテクノロジーが搭載されています。フェースの反発力を増す機能です。
そして、『ツイストフェース』も採用されています。
ソール後方に固定式のウェイトがあります。この周囲がわかりづらいのですが、“M4”を語る上で重要なポイントになります。

“M2”では、この周囲に27gの重量を集中していました。それがミスヒットに強く、弾道が安定するという特徴を生んでいました。
“M4”では、その重量を41gにアップしたのです。クラウンの軽量化とヘッドの外周部の強化で余った重量をそこに集中させたわけです。

 

“M4”も『ツイストフェース』は見た目ではわかりづらいのです。
“M3”と比較するとフェースの長さが特徴的です。“M4”はフェースが長く、構えたときの投影面積も大きいので、安心感があります。
ボールをとらえそうに見ますが、実際に打ってみるとちょっと違ったのです。

試打用のドライバーは10.5度のロフトで、シャフトは純正の『FUBUKI TM5』のSです。“M3”の純正シャフトの『KUROKAGE TM5』に比べると、全体がしなってゆったり振りやすいシャフトです。シャフトの重量は54gです。

個人的に“M2(2017)”が好感触だったので、“M4”には期待をしていました。
最初のホールでは軽いドローを狙って打ちました。ドローがかかりすぎないように注意しながら振ったのは、雰囲気的にとらえる動きをしそうだと直感したからです。

“M4”の打音は“M3”より少しだけ大きめですが、高音で、短音の締まった音は共通していますし、当たった感触をフォローしてくれるようで気持ちが良いです。
高弾道で、5ヤード曲がるドローボールでした。飛んでいくボールを見ながら、けっこうな低スピンの棒球だなぁ、と思いました。
ボールは220ヤード飛びました。弾道からするともう少し前に行っても良いような感じでしたが、ナイスショットでした。

次のホールではフェードを打ちました。
これも狙い通りにキレイなフェードボールで右に10ヤードほど切れて飛んでいきました。高弾道は共通で、強いボールです。飛距離はやはり215ヤード。

その次のホールは、飛距離性能を試そうと思い、やや強めのドローでしっかりと振っていきました。惚れ惚れするような高弾道のドローボールで、狙った所にピッタリと飛んでいきました。飛んだはずだと思ったのですけど、225ヤードでした。
その後、ラウンドしながら使いました。狙い通りの位置に強い弾道で飛んでいくのですけど、飛距離が物足りないと感じました。

ヘッドスピードが40m/秒程度しか出ていないことを考えると、220ヤード前後という飛距離は最高で効率は良いということはわかります。飛距離性能はトップクラスです。
しかし、もっと飛んでいる感じの感触と弾道なのです。僕のスイングのスペックでは飛距離性能を引き出すのには不足している可能性があります。
とはいえ、狙い通りの位置にボールを運べるという意味では最上級です。使っていて気持ちが良かったです。

“M3”で気になった、とらえようとして左にボールが行く挙動は“M4”ではかなり押さえられています。全く違うと言っても良いと思いました。
では、“M4”は易しいドライバーなのかと問われると、答えは「NO」です。

ツイストフェースの機能を調べるために、わざとミスヒットして打ってみたのですが、芯をとらえれば狙い通りに飛ぶのに、芯を外したときにはちゃんとミスになります。その部分はまさにツアー用のドライバーなのです。
つまり、小さなミスはクラブが助けてくれますが、大きなミスは出るはずがないと考慮されていない感じました。

“M4”は、ドロー打ちで、飛距離よりも狙い通りにボールを打ちたいというゴルファーには打ってもらいたいです。
決して飛ばないドライバーではないのですけど、前作の“M2”がある条件をクリアした特定の弾道で、特別な飛距離性能を発揮したことを考えると、“M4”は同じように考えて、使いこなせるドライバーではないと思います。

テーラーメイドは、“M4”は後継機種ではなく、『M シリーズ』の新しい路線を示すドライバーと位置づけたいのではないかと感じました。
方向性能というと、ついついミスヒットに強いことと直結しがちです。しかし、高いレベルのゴルフではそうではなく、芯をとらえたときに信頼できる再現性がどこまで維持できているのかが問われるのでしょう。“M4”は、その問いへの現状で出来る最高の答えを持ったドライバーなのかもしれません。

 

“M4”のスプーンは、少しすっとした印象を持ちました。ツアーモデルっぽく洗練された感じです。構えたときの安心感は“M3”よりも上です。
打ってみると、ボールを拾いやすく、ボールにコンタクトしやすいことに好感触でした。ただ、ボールが打ち出しから高く上がるようなイージーさは微塵も感じさせません。
“M3”も強い弾道で浮力がないと感じました。“M4”は、そこまでではないものの吹き上がらない弾道は共通でした。

“M2”のスプーンを愛用していて、同じ感覚で使おうと考えるのはやめたほうが良いと警告します。“M4”のスプーンは別物です。
“M3”がテクニカルな要求に応えやすいツアーモデルのスプーンだとすると、“M4”はオートマチックに持ち球を打つためのツアーモデルのスプーンです。

個人的には、“M4”のスプーンは、“M2”より良くなった、と賞賛したいところですが、僕はスプーンが好きで、得意でもあるので一般的な意見ではありません。
簡単に書けば、“M4”のスプーンは見た目よりも難しい、ということになると思います。

“M3”のスプーンがヘッドが小さいから不安があったり、力が入ってしまうというゴルファーには、“M4”のスプーンをオススメします。
両者の味付けというか、チューニングの方向性みたいなものが似ているのです。

姉妹モデルなんだから当たり前だと思う人もいるでしょう。しかし、姉妹モデルだからこそ、個性を出して傾向が違うスプーンになっているほうが圧倒的に多いのです。“M1”と“M2”はそういう個性が違うスプーンでした。

球が上がり過ぎないスプーンを求めたゴルファー。
スプーンでもある程度球種を打ちたい意識高い系のゴルファー。
傾向が似ているスプーンが選べるのはチャンスです。“M4”のスプーンは多くの人に支持されると思います。

“M4”のドライバーと同じように、ぶっ飛ばすための用具として特化されてはいません。そこを間違いないようにすれば、他にあまり市場に出ていない特別なスプーンとして、自分だけの武器になる可能性があります。挑戦してみてください。

“M3”と“M4”は、最近では見たことがないぐらい挑戦的なクラブです。
「使えるものなら使ってみなさい」というクラブを使いこなしたゴルファーにしか体験できないゴルフもあります。

未知のゴルフへの扉を開けるのも、開けないのも、あなた次第なのです。

スペック

M3 460 ドライバー

★発売日     2018年2月16日
★ロフト     9.5° 10.5°
★ヘッド体積   460cc
★価格      KUROKAGE TM5  72,000円+税
         Tour AD IZ-6  89,000円+税
         Speeder 661 EVOLUTION IV  89,000円+税
         Diamana RF 60  89,000円+税
         ATTAS COOOL 6  89,000円+税

M3 フェアウェイウッド

★発売日     2018年2月16日
★番手とロフト  #3/15° #4/19°
★ヘッド体積   #3/139cc #4/123cc
★価格      KUROKAGE TM5 40,000円+税
         Tour AD IZ-6 59,000円+税
         Speeder 661 EVOLUTION IV 59,000円+税

M4 ドライバー

★発売日     2018年2月16日
★ロフト     9.5° 10.5°
★ヘッド体積   460cc
★価格      FUBUKI TM5 65,000円+税
         Tour AD IZ-6 82,000円+税
         Speeder 661 EVOLUTION IV 82,000円+税

M4 フェアウェイウッド

★発売日     2018年2月16日
★番手とロフト  #3/15° #5/18° #7/23°
★ヘッド体積   #3/176cc #5/156cc #7/146cc
★価格      FUBUKI TM5 36,000円+税
         Tour AD IZ-6 55,000円+税
         Speeder 661 EVOLUTION IV 55,000円+税

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