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ブービー賞はビリから2番目じゃない?ゴルフの賞の変遷に見るユーモアと現実

紳士のスポーツと言われるゴルフ。
近代ゴルフがジェントルマンの国イギリス発だってことはゴルフを知らない人でも聞いたことはあると思います。そんな紳士たちが成績の悪い人をユーモアで主役にする習慣があるってご存知ですか?

参加者全員に賞が当たるようにするのが幹事の腕の見せどころ

一般的な競技の順位は1位・2位・3位…となりますが、日本で行われるゴルフの成績発表では、優勝・準優勝・1位・2位・3位…という風になっていて、1位は実質トップから3番目ということになります。

家に賞品を持ち帰るときに、3位よりは1位の方が「頑張った感」がありますから、休日に家庭を抜け出してきた事情に配慮して、順位や賞品を決めるのは幹事さんの腕の見せどころです。

面白いのは成績に「跳び賞」と言うのがあって、15位や20位に当たる5跳び・10跳びで賞を設定したり、他にもドラコン賞(飛んだ人)やニアピン賞(カップに近い人)、それにベストグロス賞(少ない打数の人)なども用意して、トドメは一番多く叩いた人に猛打賞が贈られます。

こうなると賞品を貰わない人の方が少ないのですが、その人たちは参加賞とは書かずに「第11位」を贈るのもゴルフコンペの慣わしとなっています。つまり全員が賞を取って持ち帰るわけです。何とも平和な勝負事で、聖徳太子の時代から続く「和を持って貴しとなす」の精神を体現できる絶好の機会がゴルフってことになるのかもしれません。

ブービー賞ってなに?

ただここで気になるのはブービー賞です。
ひょっとするとゴルフを知らない人でも、ボーリングなどでブービーという言葉は聞いたことがあるかもしれません。現在は最後から2番目の人に贈られる賞ですが、最初のころは最下位に贈られていたのがブービー賞でした。

ブービーの元の意味は「バカ」ってことなので、簡単に言うと1日一生懸命ラウンドして、優勝者の倍以上叩いているのにもかかわらず「バカ者」と笑いモノにするわけです。
ジェントルマンのスポーツなのに、表彰式で最下位の人を笑いモノにするの? って思うかもしれませんが、そこにはユーモアの心があって表彰式の場を盛り上げる楽しいスピーチがあります。ブービーの挨拶は優勝者よりもウケがいいのもゴルフならではのことかもしれません。

ツラカワがルールを変える

ところが参加者の中にはツラのカワが厚い人もいたらしく、いつも同じメンツが最下位狙いで出場して、優勝に匹敵する賞品を持っていくため、ついにはブービーの順位を変更することにします。

日本以外ではブービーが最下位であることは今も変わっていませんが、日本だけは最後から2番目の人にブービーを与えることにしたわけです。簡単に言うとユーモア賞なのに「恥も外聞もない」参加者のおかげで変更せざるを得ないという、ちょっとトホホな感じになったわけです。

ところが「ツラのカワ」は黙っていません!
ブービー改正によって偶然でなければ下から2番目になることがなくなり、今度は参加を止めてしまい参加者が減ってしまいました。そこでコンペの幹事は猛打賞を新設して参加者を集めることにしました。

しかも賞品を家に持って帰ると大叩きしたことがバレちゃいますので、ソフトな表現で「頑張ったで賞」と気を使ってまで賞品を渡すようにしたわけです。こうなると何でもありの世界になりますから参加者を集めて大きなコンペにするために、当日賞、社長の誕生日賞、池に入れた回数が一番多かったで賞…どんな語呂でもあわせて賞を作るようになりました。

ちなみに賞品で一番喜ばれるのはギフト券、次がプリペードカードという現実的な品物に人気があります。そこにはユーモアは消えてしまい、実利を追求する現実の世界が見えてきています。

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