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ゴルフのミニ・トリビア「ゴルフのルールブックって日本人が作ったらしい」

日本のゴルフの父

ちょっとマニアックな話題になるかもしれませんが、「日本ゴルフの父」と呼ばれた人物についてご紹介します。

彼は1885年に生まれて22歳で英国に渡り、留学先ではゴルフ漬けの毎日を過ごしていました。プロはだしの腕前はトッププレイヤーとして活躍していて、日本に戻ってからも全国で行われる試合でその勇姿を見せていました。

当時のエピソードが、彼の腕前の凄さを教えてくれます。
その人物は、のちの昭和天皇となる皇太子英国のエドワード8世との親善試合を行う時に、ペアを組んで出場したというのです。当時の世相を考えると、十分すぎるほどのキャリアとマナーを兼ね備えていたことが想像できます。

そんな彼はプレイヤーとしての活躍だけではなく、日本のゴルフ振興にも尽力。アマチュアの大元締めとなる日本ゴルフ協会(JGA)を設立したり、全英オープンにならって日本オープンを開催した人でもあります。

その方は誰かと言うと、意外なことにお坊さんなのです。
彼の名前は「大谷 光明(こうみょう)」。あの浄土真宗の大谷派を率いる親鸞聖人の末裔ということになります。
親鸞聖人と言えば、「南無阿弥陀仏を唱えれば浄土に行ける」というシンプルな教えで仏教を庶民に広げた人でもありました。

武家の時代によく聞く一向一揆の一向宗こそ親鸞の教えを信じる一向宗であり、のちの浄土真宗へと繋がった庶民のカリスマだったわけです。
光明さんは、その血を多く受け継いでいたのかもしれません。
留学先でゴルフに興じ、それがもとでゴルフ界を確立し、いまのゴルフ界を築き上げ残したのですから、単なる趣味のゴルフとはいえない強いリーダーシップ周囲からの信頼があったのでしょう。

ゴルフへの情熱と有り余る才能はコース作りにも反映され、日本屈指の名コース「川奈」や「和合」など他にも名門コースを設計し、その後ものちに全国各地の名門コースとなるゴルフコースに赴き、技術的なアドバイスを行って日本ゴルフ界のレベル向上に貢献しました。

ちなみに本職のお坊さんとしては、世襲のゴタゴタに巻き込まれたことや、ゴルフにのめり込んだこともあり、西本願寺を継ぐ位置にまでいたのですが門主の座を受けることなく次代に譲り、ゴルフ界で名を残した人なのです。

ルールブックを作った人物

そんな人生を送った大谷光明さんですが、実は物凄いことをして後世のゴルファーに多大な影響を与えた人なのです。
それは「ルールブックを作った」こと。

正確には当時もルールブックはありました。もともとゴルフのルールは、各ゴルフクラブのその時々のクラブチャンピオンが定めたローカルルールだったのです。ところがたくさんの人が参加する試合が開かれるようになり、全国共通したルール作りが必要となったのです。

簡単に制定できると思われたルールは暗礁に乗り上げます。各クラブが一度定めたルールを変更することはそう簡単なことではなく、結局ローカルルールを優先することにして、統一したゼネラルルールは基本のルールとなったのです。

またローカルルールは判例集だったので、その膨大な資料を体系化するための委員会を「R&A」の中に作りました。
いまでも判例によって細かな齟齬が生じたときには、大幅な修正をしているくらい面倒なものなのです。現在のルールブックに付随する裁定集とは、つまり判例集のことでありルールの各論はここで決まっているわけです。

日本では原書の判例集を読み込むことができる人は限られていましたから、翻訳してルールブックを作ることになります。
先祖がシンプルな教えでカリスマだった親鸞聖人だったからなのかは分かりませんが、大谷氏が中心的な役割を担って判例文をシンプルに整理して条文式に書き換えたことで、いまのルールブックができたと言われています。

そんなルールブックがR&Aにも認められ、ついには世界で活用するルールブックの基礎となりました。

「日本ゴルフの父」が条文式のルールブックを作ったと言うトリビアと、地位を投げ出してもゴルフ界に貢献した偉大な先人のお話でした。

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