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片山晋呉のパターは、まるで和服女性がそっとふすまを閉める姿!?

昨年12月のゴルフ日本シリーズJTカップ初日。片山がグリーンでユニークな打ち方を見せました。左手を逆手にした、これまで試合で誰もしていない握り方を披露したのです。

ひらめきが生んだ、“ふすまグリップ”

右手はクロスハンドのようにグリップを握りますが、左手はグリップを握らず、逆手にして手の平をカップ方向に向けます。左手の親指と人差し指でグリップを挟み、パッティングします。

「前夜にふすまを閉めようとした時にひらめいた。洗面所の鏡の前で繰り返し練習して、早速次の日にやってみた」(片山)。この両手の動きは、ふすまを右から左へ、スムーズに、さらに上品に閉める時の両手の使い方です。

右手片手だけでふすまを閉めるのではなく、逆手にした左手を右手の位置に添え、静かにふすまを閉める動きと同じです。まるで、和服女性がひざまずいて上品に、礼儀正しくふすまを閉める作法のよう。「おしとやか、のイメージ」(片山)

このスタイルでのパッティングは、ふすまを溝のラインに沿って静かに閉めるように、両手でボールをカップ方向に押し出すような恰好になり、直線的なストロークが可能になります。

常にプレーを考えているから生まれた技

 

それまでは長尺のパターを使い、長いグリップを左腕の前に固定した長尺パターの打ち方で安定しました。それが、本番で突然“ふすまグリップ”に変更。そのため、パターも通常の長さのものに変えてのトライでした。「右手のタッチが出しやすい。ボールをまっすぐ打ち出せる」(片山)

このパットスタイルも功を奏して、大会では初日スタートホールから3連続バーディーとパッティングが冴え、1イーグル4バーディー、ノーボギーの6アンダーで首位スタート。結局、大会は石川遼が優勝し、片山は5位に終わったものの、ひらめきを即実践するのは、ゴルフに対する研究心が盛んな片山の面目躍如でした。

興味のあるパターを次々試す

 

片山が様々なパッティングスタイルやパターを試すのは、“少しでもいい結果を出せるものならばトライしたい”との思いからです。

2015年に片山が使って話題となったパターが、米バイオメック社の「アキュロック・エース・パター」でした。ヘッドの部分が正方形となっており、ボール大の穴がくりぬかれた独特の形状です。さらにシャフトの位置が、構えた場合フェースに対してちょうどカップ方向の延長線の反対側にあります。

ハンドファーストに構え、左腕内側にグリップをセットすると、手、手首、腕、肩で無駄な動きを無くすことができます。ボールに順回転を与え、直進性を増すフェースアングルとなっています。

片山が「アキュロック・エース・パター」に出会ったのは、昨年2月のジャパンゴルフフェアでした。ほとんど一目ぼれだったようです。当時も、「(パッティングが)易しくなるためには、前からこの形しかないなあと思っていた。絶対良いのはわかっていたんだ」(片山)とコメントしていました。

これまで片山のクラブセッティングはオノフのクラブと、パターはオデッセイの「バック・ストライク」シリーズでした。バックストライクも、アキュロックと同じシャフト位置になっています。片山はこのシャフト位置が気に入っているようです。

飽くなき好奇心

さらに昨年9月の「ネスレ日本マッチプレー選手権」ではマーク金井氏設計の「ナチュラルパター」を使い、2位に入りました。この「ナチュラルパター」は、やはりシャフト位置がセンターにあります。ロフト角10度と、フェースは精密なミーリング加工を施し、タングステンウェイトでバランスをとっています。

また、ヨネックス社の大型ヘッドのモデル「トライプリンシプルパター」も試しています。シャフトを吊るして構えることで、ボールをしっかりつかまえられます。メーカーのキャッチコピーは「ロングパットが90%以上の確率で1パット圏内に寄り、1mのパットが90%以上の確率で入る」。片山も実際に試してみたかったようです。

まだまだレベルアップを目指す

 

「背が小さくて体に恵まれていないから、(いろいろ工夫を)考えるということには、ものすごいものがありますよ」と片山。同じことを続けていたら、それ以上技術が上がらない、ランクアップできないとの信念から、こうしたパター、パッティングスタイルの追求が止みません。もちろんドライバー、アイアンに対しても探求心は変わりません。

今年の1月、片山はマレーシアの「ユーラシアカップ」でアジア・チームとして欧州チームと戦っています。片山の目標は、4月のマスターズ出場。現在、1月25日時点での片山の世界ランクは61位。3月27日までに50位以内となれば、出場権が得られます。

あくまでマスターズ再挑戦に向け、やれることは何でもやる。その姿勢が片山のパター遍歴、パッティングの探求にあります。

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