宮里優作のクラブセッティング!今季初の賞金王目指す
- 2017.06.26
- トピック
ミズノオープン最終日の5月28日、宮里優作は前半2バーディーを奪いながらも、後半14番で痛恨のダブルボギー。トータル3アンダーの9位タイに終わりました。
全英の道、ミズノオープンでは上位4選手に全英オープン出場権が得られます。そこには届かなかったものの、28日時点で賞金総額を6013万3697円としました。
次戦の日本ゴルフツアー選手権森ビルカップShishidoHills終了時点での賞金ランキング上位2名までに与えられる全英オープン出場資格を確定させました。
もっともミズノオープンは宮里にとって落ち着いてプレーするどころではありませんでした。大会2日目に突然発表された妹・宮里藍の今季限りの引退。3日目はラウンド前の早朝、宮里は大勢の記者に囲まれ緊急の記者会見を開きました。
宮里自身は1月に本人から直接聞かされていたと言います。31歳での早すぎる引退の理由について、詳しく聞きはしなかったものの、宮里は妹の決断を支持しました。それが宮里自身にとって、今季を迎える心構えに影響を与えたようです。
「自分の中で刺激というか、いつもと違う感じはあったかも。ウチの家族がそうなのかもしれないけど、あまり引退することに関して悲観的ではなかった。一緒に今年は頑張ろうよと」
あまりにハードだったスケジュール
5月21日まで京都で関西オープンに出場、翌22日月曜日は兵庫で開かれた全米オープン日本地区最終予選に出場しました。2ラウンドを終え通算7アンダーで宮里を含む6人が並びました。全米の出場権は3人までです。
最も早く2ラウンドをホールアウトしていた宮里は、そこから2時間後にプレーオフに突入しました。1ホール目で2人が予選通過を決め、一人落ち、一人落ちし、4ホール目からは残り1枠を2人で争うことに。8ホール目に宮里がバーディーを奪い、最後に出場権を獲得。実にこの日だけで44ホールを戦いました。
国内開幕戦から8週連続で試合に出場しており、さらに44ホールを戦った翌日にはミズノオープンが開催される岡山入りしていました。そんなハードスケジュールでも、全英オープンの出場権も獲得と、嵐のような1週間の中で充実した結果を残しました。
今季はここまで2勝と順調なシーズンを送っています。中日クラウンズ最終日(4月30日)、最終組の宮里が最終ホールのグリーンに上がった時点で、すでにホールアウトしていた谷口徹、藤本佳則が12アンダーで並んでいました。
グリーン奥6メートルにつけた宮里に残されたのは、初めスライスし最後に少しフックする下りのバーディーパット。ボールはカップを1周して吸い込まれ、劇的な勝利を飾りました。
翌週地元沖縄で開催された国内メジャー初戦の日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯は、地元ギャラリーから暖かい指笛の声援を受けながら、2週連続優勝を飾りました。
宮里優作のクラブセッティング
宮里は現在、ブリヂストンとのスポンサー契約でキャディバッグとボールは同社のものを使っていますが、クラブについてはフリーです。ドライバーは昨年の全米オープンからピンのGシリーズを使っています。
同シリーズは重心距離(クラブヘッドの重心位置とシャフトの中心線延長との距離)が長く、重心が低く深い位置にあるのが特徴です。一般的に重心距離が長いとヘッドの返りが遅くなりますが、同シリーズはスイートスポットが広く、低重心でスピン量が抑えられるので飛距離が伸びます。
さらに、フェードヒッターの宮里にとって、重心距離が長いと左に行きにくいので安定したパワーフェードが打てます。宮里自身も「ボールがねじれないし、つかまりがいいので、逃がすフェードが打ちやすい」と気にいっています。
ねじれない、とは、ボールが落ち際で不安定な曲がりがおきないことです。昨年の全米オープンが開かれたオークモントCCは難コースで知られており、飛ばしてフェアウェイをキープすることが求められました。そこで使って気に入ったドライバーも、今年の宮里の好調の理由の一つです。
<ドライバー>
ピンGドライバー ロフト9度 シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD MJ-7(TX)
<フェアウェイウッド>
3W ピンGフェアウェイウッド
<2I>
ブリヂストンTOUR B X-HI アイアン型ユーティリティ
<3I~PW>
ブリヂストンTOUR B X-BLADE
<ウェッジ>
ブリヂストンTOUR B XW-1 (52度、59度)
<パター>
スコッティキャメロン フューチュラX5
<ボール>
ブリヂストンTOUR B330X
(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。
飛んで曲がらないドライバーショット
宮里の理想とするのが、「飛んで曲がらないドライバーショット」。リストターンを効果的に使った豪快なスイングが持ち味です。アドレスは力みがなくバランス良く構えています。ノーコックで大きなテークバックから、ダウンスイングが始動。インパクトで手首が返りアドレスの位置が再現されます。
インパクトからクラブの動きとエネルギーがターゲット方向に集約されて向かっていきます。これが力強く正確に遠くへ飛ばせる秘訣です。宮里自身は、スイングの秘訣に3つのポイントを挙げています。「セットアップ」「インパクトの意識を消す」「フィニッシュはしっかり取る」。この3点は、アマチュアにも勧めています。
【セットアップ】
ヘッドスピードが一番速いドライバーは照準を合わせて、曲がらないようにする。アドレスでは左足の線上にボールがくるようしっかり合わせる。
【インパクトの意識を消す】
ボールに当てる意識が強くなるとフォローでヘッドが加速しなくなるので、素振りのような一連の動きを意識する。そうするとヘッドスピードが加速する。
【フィニッシュはしっかり取る】
アドレスの時から、フィニッシュをどこに持っていくかを考える。そうすれば胸がしっかり回って、フィニッシュで重心が崩れることがなくなる。
選手会長としても活躍
池田勇太から引き継いだ選手会長も今年で2年目。会長としての雑務をこなしながらも、男子プロゴルフ界の底上げのためファンサービスや日本ゴルフツアー機構からの情報発信に一役買ってきました。
その成果の一つが東建ホームメイト・カップ最終日(4月16日)に設置されたフォト・エリアです。これはギャラリーが競技を終えた選手と並んで写真が撮れるサービスで、プロ・トーナメントとして初の試みで、多くのギャラリーが選手と記念撮影に収まりました。
残るシーズンのビッグチャンス
今季、宮里にとってまだまだ充実したシーズンが続きます。全米オープン(6月15日、米エリンヒルズ)と全英オープン(7月20日、英ロイヤルバークデールGC)への挑戦。奇しくも、ロイヤルバークデールは妹・藍が2014年に出場した全英リコー女子オープンの会場で、宮里自身、妹の応援に訪れ18ホールついて歩いた場所でした。
全米は2年連続、全英は3回目の出場となり、そろそろ海外メジャーで実績を残すことに本人も自信を感じています。そして、シーズン終了時には妹・藍の引退の花道を飾ることができるかの賞金王タイトル。この嵐の1週間の出来事は、今季の宮里の活躍を暗示しているようです。