【ブリヂストンスポーツ】10周年を迎えたV10の注目すべき10のポイント!
4/14に、ブリヂストンスポーツから新しいV10が発売される。
V10といえば、ツアーステージ・ブランドの中でプロ用は使えないけど、プロが使用する用具のエッセンスは味わいたいというアマチュアのためのボールで、飛ぶことで信頼を得てきたブランドである。
ブリヂストンスポーツの技術を集結したという印象があるV10のファンは多く、もう新しいボールは出ないと諦めて落胆していたとファンもいたようだが、最新の機能を詰め込んで満を持しての新V10は市場投入される。
色々な期待を込めながら、実際にコースで打ってみた。
机上でもわかるV10の特徴は期待を煽る
正式な名称は、“BRIDGESTONE GOLF TOURB V10”(ブリヂストンゴルフ ツアービー・ブイテン)という。本文中は“新V10”と略することにする。
まずは見た目でわかることからチェックした。
(1)ディンプル
TOUR B330シリーズのディンプルの中にディンプルがある二重ディンプル構造(デュアルディンプル)は、元々はV10の特徴であり、象徴的なものだった。しかし、新V10のディンプルは二重になっていない。
「デルタウィング・ディンプル326」というディンプルを採用しているのだ。326個のディンプルは、よく見ると円形ではなく角があるように見える。
3つのディンプルの隙間の部分が鳥の羽を3枚合わせたような形状になっているために、多角形のディンプルなっているのだ。メーカーの説明によれば、「デルタウイング・ディンプル326」は、曲がりにくい直進性の高いボールを打つために機能するという。
V10が大好きだというファンにとっては見た目の変更はちょっと戸惑うだろうけれど、わかりやすい新機能は、ゴルファーをワクワクさせる。
(2)表面加工
3月に発売されたTOURB330シリーズで採用された細かい傷を自己修復し、滑り止め機能を持っている「スリップレスバイト・コーティング」は、新V10にも採用された。
ボール同士を擦り合わせると滑らずにピタッと止まってしまう機能については、ラフからのショットやアイアンで噛み気味にヒットしたときに今まで以上のスピンを効かせることができると好評だが、実際に使用して最も実感できるのは、表面の細かい傷の自己修復機能のようだ。
新V10でもこの表面加工を体感できることは、大いなるプラスである。
(3)プリント
ボールのプリントの“BRIDGESTONE GOLF”の部分は、TOUR B330と大きさなども含めて同じように見える。違うのはボールナンバーの部分。二桁になっていて、カラーは濃いめのブルーとなる。
ボールのナンバーは、00、10、11、33、55、77がラインアップされる。二桁のボールナンバーはV10シリーズの特徴でもあったので、ファンにとっては親しみを感じられる部分である。
サイドに入るポール部分のプリントは直線のラインが引かれていて、右端に“V10”という文字が入るデザインになっている。パットする際にボールに引いた線と打ち出したい方向を合わせるゴルファーを考慮したようだが、ラインのプリントの大きさも長さもちょうど良いと感じた。
カラーは5種類ある。ホワイト、パールホワイト、イエロー、オレンジ、ピンク。カラーボールを好むゴルファーはいる。無視はできないということだけでなく、5色展開には女性も使えるユニセックスのボールとしての意気込みをさり気なく感じさせる。
(4)パッケージの説明
ダース箱のパッケージの裏には、ボールの取り扱い説明書のような特徴が書かれている。多くのゴルファーは、この部分は宣伝であって、その通りに機能しないものもあることを経験的に知っているが、ついつい見てしまうのも人情である。
注目したのは「推奨ヘッドスピード」という部分だ。30m/秒未満から45m/秒と広く色が付いている。非力な女性まで使えますよ、と説明されているような気分になった。
『大きな飛び、スピン性能、ソフトフィールを融合したオールラウンドモデル』というキャッチコピーに期待するゴルファーは多いはずである。
ちなみに、ボールの軟らかさは10段階でソフト寄りの4。ボールタイプは、スピンとディスタンスの中間となっている。
コースで打ってみた結果に、驚きと戸惑い
僕のヘッドスピードは42m/秒。ドロー打ちで、高い弾道とスピン量は多め。当日のコンディションは、気温11℃~15℃でほぼ無風。
雨上がりだったが、グリーンは11フィートで、ボールマークが付きにくいほど締まっていた(女子プロのトーナメントでもなかなかないくらいの状態)。
同伴した妻にも打ってもらって観察した(妻のヘッドスピードは36m/秒程度)。ワクワクしながら、新V10でのラウンドは始まった。
(5)飛距離性能
ドライバーを打って最初に感じたことは、2つのことだった。
『打ち出しから弾道が高い』
『音と打ち応えが一致しない』
ボールは……よくわからないけど普段より(前モデルのB330 RXS との比較)10ヤードほど飛んでいた。飛んでいるという手応えや、実感がないのに飛んでいることに戸惑った。
打ち出しから高めに飛んで、そのまま棒球っぽく飛んでいく弾道は、妻も同じように打っているので少なくとも低めのヘッドスピードでも同様に機能するようだ。妻も普段より10ヤードくらい飛んでいるようだった。
アイアンでも飛ぶ。キャリーで5ヤードくらい前に行く。そして、想定よりも弾道が高い。高いところですっと前に向かって飛んでいくように見える弾道は、ちょっと不思議な感じがする。
フェアウェイウッドとユーティリティーも、同様に5ヤードくらいキャリーが出る。ただ、手応えが全くといって良いほど感じられないのだ。どこに当たったのかもわからないし、アイアンではフェースに密着する感触だけがあって、弾く感じはほとんどしない。
これは完全に好みの問題で、例えば、アイアンのシャフトがカーボンのゴルファーであれば、そもそも違和感は感じない領域なのかもしれない。
現在のゴルフシーンでは、打ち応えを求めることは機能や優先順位とは考えない傾向がある。オートマチックに結果が出れば良いと考えるのであれば、ある意味で最新のボールとして正解なのであろう。
飛距離性能に関しては、この春にテストしたボールの中で1番飛ぶボールだった。これだけで、十分に選択するに値すると感じた。
(6)コントロール性能
直進性の高さは弾道を見ていると納得できるが、ドローやフェードを打つ場合もちゃんと反応はする。大きく曲げるのは難しいかもしれないが、持ち球を安心して打てるコントロール性能は信頼できる。
ボールが潰れる感触があると打ち出しは低くなると直感的に思うのに、とにかく、ポーンという感じで打ち出しは高く出る。慣れてしまえば何等問題にならないものであるが、高低の打ち分けなどを多用したいゴルファーには厳しい要素になると思われる。
つまり、左右への打ち分けはできるが、高低のコントロールは難しいようである。
(7)スピン性能
前モデルの「ツアーステージ V10 リミテッド」は、強いスピン性能が売り文句のボールだった。新V10はどうなのか?
結論から書くと、いわゆるスピン系のボールに比べるとやや劣ると感じた。
もちろん、全くスピンが効かないということはなく、しっかりと必要なスピンはかかる。個人的には止まりすぎるボールは使いづらいと考えているので、このくらいのスピン性能で十分だと思う。
ディスタンス系のウレタンカバーのボールとしては、スピンはかなり掛かるほうだが、ツアーモデルのスピン系のボールには敵わないと感じた。アプローチでもちゃんとスピン性能を発揮する。長めの距離から40ヤードくらいまでは、スピンがかかったボールを楽に打てる。
面白いことに、ショートゲームだけはしっかりと打ち応えを感じることができた。カツンと当たったときにスピンが最大限にかかる感触がわかる人には、グッと来るボールとなるだろう。
ただし、グリーン周りなどの短い距離の寄せで低い球を打とうとすると、弾き感が急に強くなって、スピンもあまりかからないボールが出てしまうことがあった。この辺りはゴルファーによって選択するものが違うので、一概に良い悪いで判断するものではない。単純に不思議に思って何度も検証したが、結果は変わらなかった。
(8)ソフトフィーリング
最新のボールはソフトボール戦争と呼ばれるほど各メーカーがソフトなボールを開発し、次々に発売している。
面白いことに、物理的には軟らかいのに打ち応えはガツンと芯を感じたりするボールもある。ソフトなボールとソフトフィーリングは、似て異なるものなのだという考え方もある。
新V10は、フルショットで打つ場合には間違いなくソフトフィーリングである。たぶん、ボールが潰れてフェースとの接地面積が大きくなるせいだと思うのだが、フェースのどこに当たっているのかわからないことが何度もあった。
非常に難しいところだが、こういう鈍感さはミスに強いボールとゴルファーが信じることで機能以上の成果が上がることがある。芯に当たった感触を求めることは同時にミスヒットも同じだけ伝わるわけで、鼻から差がないことを良しとする選択肢は一つの答えではある。
面白いのは、ショートゲームで急にソフトフィーリングがなくなる領域があることだ。カツンと良い音を立てて狙い通りに寄せるのはゴルフの醍醐味の一つかもしれないが、好き嫌いが分かれるところだ。
(9)耐久性
新しい性能の「スリップレスバイト・コーティング」は、スピンのかかり具合よりも耐久性の向上というほうが何倍も実感しやすい。
舗装された道路などにバウンドしてついた大きな傷は修復しないが、傷跡の凸凹は明らかに今までのものより小さいし、擦り傷程度のものであれば自己修復する機能は、いつまでも新品のボールを使っているような気分にさせる。
この機能は一度使用して体験すると、大事に使っていても徐々に薄汚れていく耐久性の悪さが気になって「スリップレスバイト・コーティング」を採用していないボールは使用できなくなるかもしれない。
(10)パッティング
ウレタンカバーのボールは、パッティングに関してどれもほぼ同じだという人がいる。否定はしないけど、それぞれのボールで微妙な味付けの差のようなものはある。その微妙な差は、たった1ミリのズレで入る入らないの分かれ道になるパッティングにおいて無視できないと考えてしまう。
新V10は、パッティングの際も多くの上級者を満足させるだけの安定した機能を発揮する。強く打てば強く転がる。弱く打てば弱く転がる。安定したパッティングのために不可欠なのは、反応に凸凹がないボールである。
新V10はどの距離の領域でも、想定した通りの反応はするので合格だと思った。ただ個人的には、ほんのちょっとなのだけど弾き感が弱いと感じた。
逆に考えている人が多いのだが、しっかりとパットするスタイルの人には弾き感が弱いボールが好まれ、タッチを出すパットを得意とする人は弾き感が強いボールを好む傾向がある。個人的には後者なので、何度かもう少しだけ弾けば、と思うことがあった。
今回テストラウンドしたような11フィートのグリーンで常にゴルフをしている訳ではなく、普段は8フィートの転がりのグリーンでもゴルフをする。ほんの少しだけ弾きが欲しいと感じたのは、テストした環境が11フィートと転がりの良いグリーンだったからで、8フィートのグリーンだったら、たぶん気が付かなかった程度のものだ。
もう1点、良かったのは、ポール部分のブランド名のV10とラインのプリントだ。やはり大きさやデザインがちょうど良いようで、ボールを置くときにも、パットするときにも集中しやすかった。
まとめ
新V10は過去のV10の後継機種ではなく、「TOUR B330 RX」と「RXS」の後継機種でもない。全く新しいチャレンジ精神が詰まったボールだ。
いつの間にか、ゴルフも他のスポーツのように体力勝負みたいな雰囲気になって残念に思っているゴルファーのために開発されたのだと考えるとピッタリすると思う。特筆すべきは飛距離性能である。
そして、最新の技術を詰め込んだ面白さが特色だ。価格帯としては高級ボールに分類される新V10であるが、その価値は十分にあると感じた。
弱い者の味方、というのが一言の感想である。
打ち応えの無さが気になったことについては、僕のヘッドスピードだと上限ギリギリだからなのかもしれない。速度に差がなくなるアプローチになって急に打ち応えがしっかりと感じて驚かされたのも、速度が適正になったからと考えれば納得ができる。
日本市場用に開発された日本のゴルファーに向けてのボールとして、女性も使えるボールとして、新V10の役割は広い範囲になると思うが、そういうゴルファーたちが手に取ってくれるのか、という心配はある。
V10というブランドは10周年になり、そのイメージはかなり浸透している。知っているからこそ、そのイメージで自分には関係ないと思ってしまうゴルファーがたくさんいるような気がするのだ。そんな風に余計な心配をさせるほど、新V10は面白いボールだし、評価されるべきボールだった。
いずれにしても、以下のような人たちにはオススメできるので参考にして欲しい。
☆V10ファンの人
☆ヘッドスピードが速くない女性も含む全てのゴルファー
☆真剣にゴルフをしているけど、プロ用のボールは使えないと考えている人
☆アイアンもカーボンシャフトだという人
☆オートマチックにシンプルなゴルフをしたい中上級者ゴルファー
スペック
『BRIDGESTONE GOLF TOURB V10(ブリヂストンゴルフ ツアービー・ブイテン)』
●3ピース構造
●カラーバリエーション
ホワイト/パールホワイト/イエロー/オレンジ/ピンク
●ボールナンバー
00、10、11、33、55、77
●価格
1個700円+税、1ダース¥8,400円+税
●発売日
2016年4月14日