イーゾーンの新しいドライバーXPGシリーズは290ヤード飛ぶのか?コースで打ってみた!
ヘッドスピード43m/秒でも290ヤード飛んだ、という宣伝は、とにかくその数字が強烈です。2016年の春にヨネックスから発売された“イーゾーン XPG ドライバー(EZONE XPG Driver)”は、宣伝に煽られて手にしたゴルファーもたくさんいるようです。
追加バージョンとして10月に、“イーゾーン XPG Type HD ドライバー(EZONE XPG Type HD Driver)”が発売されます。この両方をコースで実際に打ってみました。
飛距離性能の科学は魔法のようなもの
初めのハーフは、10月に発売される“イーゾーン XPG Type HD ドライバー”を使いました。スペックは、ロフト9度、純正シャフトのSです。
僕のヘッドスピードは43m/秒、ドロー打ち、スピン量は多め。参考としてヘッドスピード48m/秒、フェード打ち、スピン量は適正という仲間にも一緒に試打をしてもらいました。
構えた感想は、安心できる、ということでした。455mlというヘッド体積はどっしりしていて、変な違和感はありません。
黒いヘッドは上側のクラウンはカーボン繊維でソールとフェースは金属という構造ですが、それもあまり感じさせません。光を吸収するような渋いマットブラックは、好き嫌いがわかれますが、個人的には新しい機能を期待させて好感触でした。
後程、詳細に触れますが、カウンターバランスになっていると聞いていたのに、素振りをしてみると、意外に重いという印象を持ちました。もっと軽く感じて、操作性の良さが強調されているのかと考えていたからです。しっかりと振れるという印象でした。
“イーゾーン XPG Type HD ドライバー”が追加発売される背景には、春に発売された“XPG ドライバー”が思いっきり振っても左の引っ掛け球が出ないように作りすぎて、ユーザーから右へ抜ける球が出てボールを捉えられない、という声がたくさん届いたからだと聞きました。
つまり、新しい“XPG Type HD ドライバー”は、ボールを捉えやすくなっていくということのようです。
1発目は、ちょっと力が入って、右に飛んで行ってしまって、ロストボールの可能性があるからとすぐに暫定球も打ちました。暫定球はややトウ側に当たりましたが、まあまあの当たりでした。
2ホール目からは、当てにいくように打ちました。優しく軽く振っているのに、自分のドライバーとほぼ同じ距離までは飛びました。ボールを捉えにいく動きをするドライバーが僕は苦手です。ちょっと振ると、左にボールが飛んでしまい、そこから更に、ドローしてしまうからです。
2球打って、“XPG Type HD ドライバー”はボールを捉えに行く動きをすることがわかりました。僕よりも飛ばすフェード打ちの仲間は絶好調でした。
使用したホールで最初の1球を除いて、全てフェアウェイをキープしましたし、かつ、飛距離もかなり出ていました。とはいえ、贔屓目に見ても270ヤードぐらいで、290ヤードには届いていません。僕のほうも230ヤードがやっとでした。
誤解している人も多いので、一般論的な説明します。
ボールを捉えに行くドライバーが合っている人は、フェード打ちなことが圧倒的に多いのです。ドロー打ちは、スイングでボールを左に曲げるので、クラブが左に行く要素をプラスすると、曲がりすぎてしまうので困るわけです。
2種類あることの意味
次のハーフは、発売されている“イーゾーン XPG ドライバー”を使いました。スペックは、ロフト10.5度、純正シャフトのSです。こちらのヘッドは、460mlあります。シャフトはカラーリングが違うだけで、“XPG Type HD ドライバー”と中身は同じということでした。
構えた印象はかなり違います。フェースまで黒いので、シャープな感じがするのと、やはりロフトが多いことがドロー打ちには違和感がなく構えられるポイントになるのだと思います。いけそうな気がする、と思いました。
素振りでは、大きな差を感じませんでした。しっかりと振らないと機能しないという予感も同じです。
1発目からナイスショットでした。軽くドローして、高弾道、狙ったところにピッタリと着弾しました。
新発売の“XPG Type HD ドライバー”は、振ったら左に行くという印象でしたが、“XPG ドライバー”はその恐れがないのです。使用したホールでは、全て狙い所に行きましたし、高めのドローで快適でした。
逆にフェード打ちの仲間は、右に出たボールが更にフェードをするという現象に苦しんでいました。飛距離も新しい“XPG Type HD ドライバー”のほうが出ているようでした。
弾道と方向性共に大満足な“XPG ドライバー”でしたが、飛距離は普通という残念な結果になりました。宣伝の290ヤードは遥か先でした。
持ち球によって違うタイプがラインアップされるドライバーは、他のメーカーでもよくあります。僕一人ではわからなかったと思いますが、“XPG ドライバー”だけでは駄目だという声に、見事に応えた“XPG Type HD ドライバー”であることは検証できました。
フェード打ちのゴルファーのほうが多数派ですので、“XPG ドライバー”が合わなかったというケースでも、“XPG Type HD ドライバー”で救われることがあることでしょう。ヨネックスのクラブメーカーとしての技術力の高さを再確認した結果となりました。
複数のドライバーをラインアップしても、こんな風にきれいに結果が分かれることは珍しいのです。ドライバーによっては、スペックだけが変更されて、全く複数のラインアップの意味がないケースもあります。
調整機能を搭載しているドライバーで、弾道が理論通りに変化しない経験をしたゴルファーは多いと思います。ドライバーというのは簡単そうで難しい道具なのです。
290ヤードの真相に迫る
コースでの試打では、残念ながら290ヤードを実感することができませんでした。これは嘘の宣伝ということなのでしょうか?
43m/秒のヘッドスピードのまま、290ヤードを打つのは科学的に無理があります。真相は、今までのヘッドスピードより速く振れるようにするという仕掛けと科学的に飛ばすための要素を詰め込んだことにあります。それが上手くはまれば、290ヤードが可能になるということなのだと推測します。
物理の法則で、速く動くことでエネルギーは増しますが、もう一つの要素として重いほうがエネルギーも多いのです。“イーゾーン XPG シリーズ”のドライバーは、現在考えられる飛ばしの要素を全て詰め込んでいるといえます。
★ヘッドを重くしてエネルギーを増やす
★ヘッドの内部構造で低重心化して低スピンのボールを打ちやすく
★グリップエンドに20gの重りを入れて、カウンターバランスにしてヘッドスピードを上げる
★シャフトも内部の重量配分を変えて、ヘッドスピードを上げる
グリップエンドは見た目でも重りが入っているのがわかりやすいようになっています。これらの飛ばしのための要素は、結果が出る人と出ない人にはっきりと分かれます。
軽く感じることでヘッドスピードが上がる人は、普段、重すぎるクラブを使っている前提があります。元から最適なものを使用していれば、むしろ、軽いことで振りづらくなって速度が落ちることもあるのです。
ゴルフクラブは魔法のような要素もあり、理屈を超越した現実を体験することもあります。科学的な裏付けより、現実が最優先なのです。
自分の持っている潜在能力を引き出してもらって、最大の飛距離を打てる可能性が、“イーゾーン XPG シリーズ”のドライバーにはあるといえます。
最後にどんな人に合っているかを書きます。
★昔からのハードなスペックを無理に使っている人
★楽に打てるけど、しっかりとしたドライバーを探している人
★パワーはあるのだけど、飛距離に繋がらない人
“イーゾーン XPG Type HD ドライバー”
★フェード、スライスが持ち球の人
“イーゾーン XPG ドライバー”
★ドロー打ちの人
スペック
“イーゾーン XPG Type HD ドライバー”
★ロフト 9.0/10.5 調整機構付き
★ヘッド体積 455ml
★長さ 45.25インチ
“イーゾーン XPG ドライバー”
★ロフト 9.0/10.5 調整機構付き
★ヘッド体積 460ml
★長さ 45.25インチ