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パットが易しくなることに挑戦するのがO-WORKSというパター

パターで打ったボールは、少しの間は無回転で飛び、徐々に順回転をしていきます。この無回転の期間を短くして、早い段階から順回転させることは、20世紀末から多くのパターの開発のテーマでした。

順回転するタイミングがより早くなったというデータは何度も公開されていましたが、それは計測値の誤差ともいえるような小さなもので簡単に視認することも、体感することも難しいものでした。

しかし、“O-WORKS パター”(オーワークスと読みます)の最大の売りである「マイクロヒンジ・インサート」は、普通のビデオ撮影のスローモーションでもそれを視認することが可能です。あまり騒がれていませんが、それはかなり画期的な大事件なのです。

順回転の恩恵って何なのだろうか?

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2017年2月に発売されてたった数週間でソールドアウトになるというだけでも十分に異例な“O-WORKS パター”ですが、その魅力について、様々な角度からテストしてみました。

当日のグリーンは9.5フィートぐらいの転がりで、表面は凹凸がなくきれいな状態でした。全体として起伏が強めな場所が多いベントグリーンでした。ボールは、キャロウェイの“CHROME SOFT X”を使用しました。

書くまでもありませんが、パターの最大の機能はヘッドの形状やネック部分に集約されています。フェースの機能がそれらを凌駕することは考えられません。

今回、#9タイプを選んだのは、僕がゴルフ歴約40年のほとんどをL字のパターで過ごしてきたことと、オデッセイの初期のパターから含めて何本も#9タイプのヘッドを愛用してきたからです。小さな差でもわかるという自信がありました。ブレードタイプのようにシンプルな形状ほど、フェースの機能は大きくなりますので、そういう意味でも#9タイプはわかりやすいと考えました。

新開発の「マイクロヒンジ・インサート」は、Lの字を逆さにした爪状の突起が点状にフェースについています。樹脂で覆われているので根元までは見えませんが、下に向かって空間が空いているわけです。理屈はわかりませんが、これが順回転を目に見えて早くするのです。

結論から書きます。早い順回転がどのようにパッティングに影響するのかが、はっきりとわかるシーンがありました。短い距離のパットの直進性の高さと打ち出しに負荷がある長いパットの転がりの良さです。10%ぐらい多く転がります。

早い順回転に意味があるのか、という疑問は持っていました。無回転の期間があることに慣れている場合には、距離感が狂うのではないか、と考えていたからです。また、早い順回転が、全体の転がりを良くするというイメージがどうやっても描けませんでした。

実際に練習グリーンでボールを転がしても、最初は大きな違いを感じませんでした。しかし、いくつかのシーンで「おや?」と感じたのです。最初は下りのパットで球足が伸びたことです。手応えより転がるのです。

打ち慣れてくると、ショートパットでのストレートに転がる感触が良いことも感じました。更に、手前に強い上り傾斜や逆目があるような長い距離のパットで、最終的な距離が伸びることも確認できたのです。

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前モデルになる“WORKS パター”と比較してみました。“WORKS パター”も評価が高いパターです。最も差が出たのは、上りの傾斜で打ち出しから上っているラインでした。

“O-WORKS パター”は、打ってすぐの段階で、強い傾斜などの負荷がある場合、同じように打ち出しても、最後の一転がりに差が出るのです。最終的に伸びるボールが打てます。これはかなり明確な差を感じましたので、動画でのインプレも撮影をしました。

ついでなので、前モデルの“WORKS パター”と別の部分も比較してみます。総重量は“O-WORKS パター”のほうが重いのに、手にして素振りをすると、ヘッドが効いて、重く感じるのは“WORKS パター”のほうです。明確にわかるほどの差です。

ヘッドが効いている重い感じには、好き嫌いがあります。個人的には、重くヘッドが効いている感じがするパターが好きです。重量があるほうが、転がりの良さに繋がるようなイメージがあるからです。ヘッドが効いているパターが好みであれば、その段階で、“O-WORKS パター”は負けています。

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グリップエンドを見るとわかります。重りが入っているのです。これが総重量が重いのに、振ると軽く感じる理由です。カウンターバランスになっているのです。

“O-WORKS パター”は、素振り段階ではアウトだったのですが、実際に打ってみると、しっかりとした重さをちゃんと感じます。それでいて、重さを忘れるほどヘッドを動かしやすいのです。カウンターバランスは、そういう効果を狙ったものですが、テストした“O-WORKS パター”は完璧でした。

過去にカウンターバランスのパターを打ったことが何本もありますが、いうほどの効果を感じないものでした。“O-WORKS パター”はちょっと違ったのです。イタズラにカウンターバランスにするのではなく、蓄積されたデータがあって、最適を導き出したのかもしれません。

いずれにしても、“O-WORKS パター”は最先端が詰まっています。パターは感性で使うものですから、ほんの少しの違いでも、天と地との差になることがあるものです。それがパター選びの面白さで有り、パッティングの神髄でもあるのです。

最先端の機能は、ゴルファーのテクニックでは補えない部分を助けてくれる意味で有効です。バカ売れしている理由がわかったような気がしました。

新しい機能に注視して、色々と試しました。“O-WORKS パター”は、#9タイプではないヘッドでも、同じような特徴があると思われます。最先端の機能を試してみるだけでも、十分に魅力があるパターです。

パターとしての総合力について

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“O-WORKS パター”でラウンドしてみました。ソールを見ることはなかなかありませんが、希望があれば、ソールでウェイトの調整ができます。テストしたパターは、市販のままの状態です。

“O-WORKS パター”は、主に二つのタイプに分類されています。ブレードタイプはフェースと平行に黒と白のコントラストになっていて、赤いT字型のラインが引かれています。「VERSA T アライメント」といいます。

マレットタイプには、フェースと直角に黒と白のコントラストになっている「VERSA アライメント」になります。どちらも、方向性を上げる為の機能です。

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構えたときに、フェースの向きを確認しやすくするための機能であるアライメントも少し新しくなりました。“O-WORKS パター”が発表されたときに、このアライメントがあまりにも目立つことから「初心者用のパターみたいだ」と嫌う人がいました。確かに、そういう感じを否定しませんが、使ってみると、易しさも機能だと実感できます。

スッと狙えて、パターヘッドを迷いなく動かせることは快感です。グリップの細めのスーパーストロークは、右手の部分の太さに違和感を感じなければ、とても良い感じでした。握りやすくて、振りやすいのです。

最初のホールは上りの7ヤードのパットでした。少し右に曲がるラインでした。少し弱いかと感じたのに、ボールは伸びて、カップの左を抜けてタップインの2パットでした。その次のホールは、トータルが25ヤードの距離で、グリーン手前2ヤードのフェアウェイから“O-WORKS パター”を使いました。

かなりの上りだったのですが、入りそうになって止まりました。このときに、グリーン外から使うときのボールの伸びの良さに自信を持ちました。打ち出した目の前に負荷がかかるラインほど、転がりの良さを体感できます。無回転と早めの順回転が、どんな理屈で影響しているのかはわかりませんが、とにかく結果が出るのは面白いです。

3番目のホールでもグリーンの手前7ヤードのフェアウェイからトータルで30ヤードの寄せで使用しました。上っていましたが、1ヤードオーバーでした。その1ヤードの残りのパットで、構えやすさとスッとラインを出していけることが頼もしかったのです。

4番目のホールからは、4ヤード、12ヤード、3ヤード、2ヤードと短いパットを打ちました。いずれもかなり曲がるラインだったのですけど、全て山側にボールが行って、入りませんでした。普通ならイライラするところですが、狙い通りに打てていたこととタッチも打つほどに慣れてきたので気持ちが良くて、気分は上々でした。。

その後からは、あまり曲がらない、と考えてストレート目に打つようにしました。入ったり、入らないのは運もあるとして、納得しながらパットをしました。

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パターの進化は、古今東西、如何に転がりを良くするか、というテーマで進んできました。「マイクロヒンジ・インサート」は、そういう意味では、非常に優秀です。今後、形を変えながら他のパターにも搭載されていくかもしれないと思いました。

ゴルフボールも、ゴムという素材になった直後はツルツルの表面でした。傷がついたほうが飛ぶことに気が付いたゴルファーが、ボールの金型に傷をつけました。ボールには凸がたくさんつくことになりました。出っ張りより、凹ましたほうが保ちも良いので、それがディンプルになっていったのです。パターのフェースの形状も、21世紀になって、大きく変わるのかと想像すると、歴史の瞬間に立ち会っていることにワクワクします。

“O-WORKS パター”を使いながら、最も気持ちが良かったのは、最小限の振り幅とインパクト感で、狙い通りのボールが打てることです。

距離感というものは、引き算は簡単にできますが、足し算は多くの場合で、何らかの悪い影響をします。強い上りのラインが難しいのは、そういう理由もあります。最適だと思える感覚が、最小限の動きで可能になるのは、さり気ないですが、かなり強烈なプラスポイントになります。

個人的には、33インチの長さのパターを使っているのに、テストしたパターが34インチだったことや、ほんの少しなのですが、グリップが真っ直ぐに装着されていないことが気になりました。普通のテストなら、問題にはならない程度でしたが、それが気になったということは、自らが購入するものとしての視点でテストを続けていたからのようです。

“O-WORKS パター”に惚れ惚れしました。欧米のツアーで、契約外のトッププロゴルファーが、“O-WORKS パター”を使い始めたことも、使用する前提で色々なことを考えた一因です。“O-WORKS パター”は、転がりが良く、易しくパッティングをさせてくれるパターです。プロゴルファーが使うから難しいのではなく、プロゴルファーだからこそ、究極的に易しいパターを求めているのです。

“O-WORKS パター”は、テストした#9タイプを始めとしたスタンダードタイプ9種類、TANKバージョンが2種類があります。自分の好きなタイプを試してみることを強くオススメします。

スペック

O-WORKS パター

★タイプ    #1、#1W、#2、#7、#9、R-LINE、R-LINE CS、V-LINE FANG CH、2-BLL
        TANKバージョン #1 TANK、#7 TANK
★ロフト    3.0度
★長さ     33インチ/34インチ/35インチ ※右打ち用の場合
★価格     28,000円 (税別)

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