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不人気ゴルファーから英雄へ。最強のプレイヤー「ビックベン」ことベン・ホーガンを知っていますか?

ゴルフ界のビックベンをご存じでしょうか?

今回はタイガー・ウッズをしのぐ世界最強のゴルファー、しかも日本人ごのみのヒストリーをもつゴルフ界のビックベンについてご紹介します。

歴史上のプレイヤー3名と言えば

1860年に全英オープンが始まってからすでに150年以上がたち、この間数々の名プレイヤーが生まれゴルフファンに感動を与えてくれました。

名を刻むゴルファーたちの評価は人によって違いますが、ゴルフスタイルの観点からみると、3つの時代に分けて代表的なプレイヤーを選ぶことができます。

アマチュアはもちろん、プロゴルファーも憧れたプレイヤーと言えば、伝説のスター選手「ボビー・ジョーンズ」、最強のプレイヤー「ベン・ホーガン」、代表的なパワーゴルフの「タイガー・ウッズ」の3名と言えます。
もちろん、帝王ニクラウスやボディターンのニックファルドを選ぶ人もいるでしょうし、ほかにも記憶に残るバイプレイヤーはたくさんいました。しかし、この3名は時代が求めるゴルフスタイルを確立したプレイヤーだったのです。

その3名のプレイヤーについて少しだけご紹介します。

1人目はマスターズの開催地オーガスタを造り上げたボビー・ジョーンズ
伝説となったアマチュアプレイヤーがどれほど偉大な選手だったのかは、いまでは1920年代のわずかな戦歴の数字でしか知ることができません。彼をたたえ「球聖」と呼ぶのは、その華麗なショットや勝負強さよりも、ゴルフをスポーツとして後世に遺した功績だと思います。

先に3人目を紹介しますが、ご存知タイガー・ウッズです。
現在は予選さえ通過できないスランプに苦しむタイガーですが、彼が登場したことでゴルフ界は圧倒的なパワーゴルフの時代となりました。彼の飛距離にあわせるようにトーナメントコースの設定が変わり、通常パー6がパー5に、パー5がパー4になるほど距離を長くし、狭いフェアウェイと長いラフのメジャーコースは一流選手でも厳しいセッティングとなったのです。

そして2人目が、今回ご紹介するベン・ホーガンです。
現在でも「最強のゴルファー」をあげると真っ先に彼の名前が出ます。その強さを称えて「ビッグベン」の愛称で呼ばれましたが、憧れのプレイヤーとして愛されたのは晩年のことでした。
当初は強すぎて競い合う相手がなく、しかもクールな態度が不人気に拍車をかけたせいで、トーナメントではスタート前から2位以下の選手が注目されるほどでした。

時代を代表するプレイスタイル

我々が理想的なゴルファーと思い浮かべるのは、喜怒哀楽をあらわさず寡黙で淡々とプレイをするプレイスタイルです。
ベン・ホーガンは、まさにそんなプレイスタイルでした。
でも当時のファンは、スタートホールからホールアウトまで無駄口を叩かずストイックにプレイに集中するベン・ホーガンを、パフォーマンスがなく観客を沸かせることができない面白みのないプレイヤーだと感じていたようです。

またラウンド後のインタビューなども素っ気ないもので、インタビューアーやライターからの人気もなく、勝負には強いけどスター性がないと評価されていました。そんなベン・ホーガンが一躍関心の的となったのは彼自身が起こしたアクシデントが原因です。

あるとき、彼自身がハンドルを握った自家用車は事故をおこし見る影もなく大破しました。この事故で生死をさまよう瀕死の重傷を負いつつ、なんとか一命は取り留めたものの、全身に肉体的な制約が残りました。

担当した医師はゴルファー人生の終了を確信しました。しかしなんと1年後、ベンは不自由になった脚を引きずりながらカムバックを果たしたのです。
不死鳥のようにカムバックしてきた選手に最大限の賞賛を贈り、ハンディキャップをものともしない彼のプレイには温かい声援が贈られました。

でも彼がゴルフファンからスタンディングオベーションで迎えられたのには別の理由があったのです。

不人気から一転するとき

たぐいまれな才能と確立したゴルフ理論を武器に、その後も身体的な制約を抱えながらもで数々のメジャータイトルをとっていきます。賞賛されるプレイヤーとなっていましたが、彼が「ビッグベン」と呼ばれるほど愛されたのは別なニュースがきっかけでした。
それは、事故の際に、彼がわが身を捨てて隣席の妻を守ろうとしたというニュースでした。

普段はクールな彼が危機的なの状況でとったその熱く英雄的な行動は、世間の印象を大きく変えました。
それをきっかけに、どこの会場でも最大限の賞賛が与えられ、憧れの人物となったわけです。

ゴルフファンは尊敬の念を込め彼を「ビッグベン」と呼び、誰もが「彼のようになりたい」とそのプレイスタイルを真似るようになったわけです。その後、感情を表さないクールなプレイスタイルが、素敵なゴルファーの代表的なスタイルとなりました。

晩年にベンが執筆した『モダンゴルフ』をバイブルにした世代としては、あのタイガーが出てきた時でも「史上最強のプレイヤーは?」と聞かれれば、迷わず「ベン・ホーガン!」と言ってきたものです。
ベンの名を聞くと、ゴルフを始めたころの想いが懐かしくよみがえります。

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