猫背はゴルファーを不利にする?姿勢改善して正しいアドレスを作ろう
最近、「自分の姿勢が悪い」と自覚する人の割合が増えているそうです。
全国の20~59歳の男女500人を対象に、「姿勢に関する意識調査」を実施したところ88.2%が自分自身の姿勢が悪いと答えています。
中でも一番多かった回答は「猫背」。そして、猫背と答えた人の割合では20代女性が最も多く、なんと60%を占めていたそうです。
また、子供にも猫背が増えていて、3人に1人は猫背という調査結果も出ているそうです。
普段スマホをいじっていたり、仕事でPCに向かう時間が長く画面を覗きこんだりして、顔が前へ出てつられて背中が丸くなってしまう、子供においては、普段の椅子の座り方、長時間同じ姿勢、運動不足などが、いわゆる猫背になってしまう原因といわれます。
普段背中を丸めた姿勢を続けていると、脳に背中が丸い姿勢が本来の姿、と認識して刷り込まれてしまい、逆に背筋を伸ばした姿勢に違和感を覚えてしまうという、脳の勘違いを起こしてしまうのだそうです。
自分ではそんなつもりはなくても、無意識のうちに猫背になってしまっていることもあるのです。
まずは普段の正しい姿勢を保つ
正しい姿勢とは、本来あるべき背骨のS字カーブ(生理湾曲)を保つことといえます。
背骨(脊柱)は、構造の違いにより5つの椎に分類されます。
7つの頸椎(けいつい=首)、12個の胸椎(きょうつい=胸)、5つの腰椎(ようつい=腰)、その下に仙骨と尾骨が1つずつ、合計26個の骨で構成されています。
脊椎を構成するひとつひとつの骨の前側の部分が椎体(ついたい)で、椎体と椎体の間に椎間板という軟骨が挟まり、クッションの役割をしています。
背骨は前後にゆるいカーブ(S字カーブ)を描いていて、このおかげで普段の生活の中では立ち座り姿勢の時に重みを支えたり、上半身を前後左右、自由に曲げ伸ばししたりひねったりすることができるのです。
また、歩くときには上下運動による衝撃を吸収する役目があり、脳へのダメージを防ぐ役割もあります。
ところが、姿勢が悪いとS字の重心がずれて、脊椎が本来の位置にないため、常に腰の筋肉が緊張している状態、腰痛の原因にもなってしまうのです。
自分にとって正しい姿勢を見つける
壁に、かかと、オシリ、背中、後頭部をつけて立ってみましょう。
これが、一般的な正しい姿勢の目安といえます。
※年齢や柔軟性などよってS字カーブは変わるので、自分にとってスイングしやすいS字カーブを見つけることも大事です。
アドレスで正しい姿勢をつくる
アドレスで正しい姿勢を作りにくい人によく見られる傾向が、普段の姿勢が猫背気味の人のように思われます。
アドレスでは前傾姿勢をとります。
直立している時との違いは、重心が前方に移ることでの腰椎への負荷のかかり方で、具体的な数字としては、1.5倍~1.8倍なのだそうです。ですから、正しいアドレス姿勢をとり保つことは、思っている以上にキツく、知らず知らずのうちに猫背になってしまうのです。
一般的に教わるアドレスの姿勢
一般的なレッスンでアドレスの姿勢を教わると、大体以下のような感じでしょうか。
1.股関節から背中をまっすぐにして前傾をとり、軽く膝を曲げる。
2.顎を引く。
3.腕は脱力してだらんと降ろす。この位置が正しいアドレスのグリップ位置。
ところが、自分にとって自然な姿勢で構えると、(股関節からではなく)腰から前傾させて、無意識のうちに猫背になってしまったり、ボールをよく見ようとして、顎を前に突き出してしまう人が多いようです。
筋力は、年と共に落ちて身体は硬くなっていくものなので、体幹を鍛えたり、普段から背筋を伸ばして、前かがみにならない姿勢を意識することが大事ですね。
鏡を見て自分のアドレスの姿勢を確かめたとき、もしも猫背や顎が上がっていることに気が付いたら…、アイアンを使って、たまに姿勢の矯正をしてみましょう。
正しいアドレスの姿勢矯正
1.まっすぐに立ち、クラブを縦にして、背骨に沿って背中に合わせます。
2.股関節から前傾姿勢をとる。腰から後頭部までクラブがきちんと背中とくっついていればOK。
3.クラブを前に持ちかえ、正しいアドレス姿勢の完成。
アドレス姿勢のチェックには練習グッズの活用を
ダイヤゴルフ社の「スイングチェックミラー」は練習場で打席の前に置いておくだけで、
アドレス時の姿勢やシャフトの細かい動きをチェックしたい時にとても重宝します。
ミラーはコンパクトに収納できて、キャディバックに入れて持ち運ぶことも可能ですよ。
自宅の裏庭にセットしたネット打席等で利用する場合など、据置きの鏡として利用する場合は
サイズが大きめでライト社が製造・販売している「スウィングミラー」をおすすめします。
どちらも、絶対になければならないというものではありません。
しかし、1つ持っておくといつもより確実に集中力が増します。興味がある方は是非試してみて下さい。
猫背は身体のあちこちを痛める
前述のとおり、人間の背中は上半身を自由に動かし支えるために、緩やかなS字カーブになっていますが、このカーブのために、人のカラダは前かがみに丸くなりやすいのです。
背筋をぴんと伸ばすためには、背筋とそれに見合うバランスのとれた腹筋が必要です。この筋肉が鍛えられていないと、背中が伸ばしにくくなってしまいます。
ゴルファーにとって必然であるアドレスで下を向く姿勢は、猫背でなくても首に負担がかかりますし、スイングでは、頭を残して上体を回転させます。
ゴルファーで首を痛める人のほとんどは、姿勢が悪いことによって首に負担がかかっています。特に猫背の人は、首がストレートネックになっていて、普段から首の筋肉が不自然に緊張しているために、上記のようなゴルフの動作が加わることで痛めてしまうのは、当然ともいうべき行為なのです。
首付近のほとんどの筋肉が、頭や顔から首を経由して、ボディへとつながっていることは注目すべき点です。
頭が前へ出てしまったりして位置が悪いと、肩甲骨が正しく動かせなくなり、肩の動きが制限される、などということが起こります。そして、肩甲骨の可動域が狭くなると、前回お話ししたように背中の痛みにもつながってくる、という連鎖が起こるのです。
ですから、普段立っている時も歩くときも、ゴルフをするときも、意識して自然な姿勢を保つことが身体を痛めないために大切なことといえます。
猫背とおさらば!姿勢改善のプチストレッチ
猫背矯正ストレッチをひとつご紹介したいと思います。
(1)ひじは肩の高さ、手の平は前に向けて、両手を上げます。
(2)そのポーズから、両ひじを後ろに動かし肩甲骨を最大限に寄せます。
(3)そのまま手の平を外側に可能な限り回すと、もっと肩甲骨が寄ります。
(4)顔を上に向けて、胸で大きく息を吸います。
(5)一気に息を吐くと同時に脱力して腕をダランと下げます。
(6)毎日10回、繰り返し行います。
猫背に効くことはもちろん、猫背でない人も、肩こり・背中の痛みにも役立ちます。
簡単なので、休憩時間中のリフレッシュやリセットに、ぜひお試しください。
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ゴルフにおいて、かならずしも猫背を矯正する必要があるかどうか?については、いろいろな見解があるようです。
→上半身のアドレスチェック!あなたは「背筋(せすじ)を伸ばす派」?「背中を丸める派」?