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ゴルフが112年ぶりに五輪に復活!選手選考は?日本人は?詳しく解説します。

スポーツの祭典、オリンピック。華やかな開会式、そして多くの競技で「世界一」が決められます。

ゴルフにはすでに4大メジャーや世界選手権など、権威のある大会があります。ゴルフが五輪に復活するには、「今さら…」との声もありました。また、「たしか五輪はアマチュアの大会だったのでは」との見方も。

なぜ五輪にゴルフが復活?

オリンピックは一時、主催都市が競技施設の建築や運営資金のため終了後、巨額の借金を負うことになり、主催する都市がなくなるほどでした。1984年のロサンゼルス五輪も他に立候補都市がない中で開催されますが、この五輪がターニングポイントになりました。

ロス五輪はまったく税金を使わずに開催されました。その理由は、テレビ放映権で巨額の入札制をとり、五輪スポンサーも1業種1社とすることで価値を高め、スポンサーフィーが高騰しました。こうしてテレビ局やスポンサーは全世界に五輪開催をアピールすることで、結果的に五輪がますます世界的な祭典となったのです。

こうして巨大スポーツイベントに成長していった五輪の動きに、ゴルフ界も注目せざるを得ませんでした。もっとゴルフを世界的に普及させたいとする国際ゴルフ連盟(IGF)は、国際オリンピック委員会(IOC)に歩みよったのです。

確かに、かつての五輪憲章には出場資格に「アマチュア」との規定がありました。しかし「世界一」を競う大会に一流プロを排しては、競技レベルが保てないのが現状です。1974年に五輪憲章から「アマチュア」の言葉が削除されましたが、初めてプロ選手が五輪に出場したのは、1988年のソウル五輪になってからでした。
女子テニスにシュテフィ・グラフ(西ドイツ)が登場し、見事金メダルを獲得しました。何より、1992年のバルセロナ五輪のバスケットボールに出場したマジック・ジョンソンやマイケル・ジョーダンなど、アメリカ・ドリームチームの大成功は世界中のファンがテレビにかじりつき、五輪に一流プロが不可欠となったのです。今はサッカーでもプロ選手が参加しています。

五輪ゴルフを魅力ある競技とするために

五輪が巨大化した立役者は、テレビでした。従ってゴルフが五輪で成功するためにも、テレビ視聴者が楽しめるような構成でなければなりません。ただでさえ最低4時間と、ゴルフは時間が長い競技です。視聴者が見たい、という一流プロ選手が出場し、なおかつ多くの国の選手が出場する条件を満たさなければなりません。

そのために出場資格が複雑になりました。リオ五輪の出場資格は、次の通りです。

①出場選手は男女とも60人。4日間合計72ホールのストロークプレーの個人戦。予選落ちはなし。

②各国代表の出場選手は7月11日時点の世界ランキング(WR)に基づいて作られるオリンピックランキング(OR)で決定。

③原則1カ国2人まで出場だが、WR15位以内であれば最大4人まで出場できる。

④5大陸(アフリカ、アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)で男女とも最低1人の出場枠。

⑤開催国ブラジルは最低1人の枠を確保。

この「WR」と「OR」の関係が分かりにくいのですが、最新の男子世界ランキングで見てみましょう。

2016年5月16日時点での男子WRは

①J・デイ(オーストラリア)13.3768
②J・スピース(アメリカ)10.9036
③R・マキロイ(アイルランド)8.8325
④B・ワトソン(アメリカ)7.8611
⑤R・ファウラー(アメリカ)7.4039
⑥H・ステンソン(スウェーデン)7.0661
⑦A・スコット(オーストラリア)6.8741
⑧D・ジョンソン(アメリカ)6.6809
⑨D・ウィレット(イギリス)6.1486
⑩J・ローズ(イギリス)6.0223
⑪B・グレース(南アフリカ)5.3245
⑫P・リード(アメリカ)5.1117
⑬L・ウーストハイゼン(南アフリカ)4.9871
⑭松山英樹(日本)4.7399
⑮S・ガルシア(スペイン)4.1510

となっています。これを5月16日時点でのORに直すと、

①J・デイ(オーストラリア)13.3768
②J・スピース(アメリカ)10.9036
③R・マキロイ(アイルランド)8.8325
④B・ワトソン(アメリカ)7.8611
⑤R・ファウラー(アメリカ)7.4039
⑥H・ステンソン(スウェーデン)7.0661
⑦A・スコット(オーストラリア)6.8741
⑧D・ジョンソン(アメリカ)6.6809
⑨D・ウィレット(イギリス)6.1486
⑩J・ローズ(イギリス)6.0223
⑪B・グレース(南アフリカ)5.3245
⑫L・ウーストハイゼン(南アフリカ)4.9871
⑬松山英樹(日本)4.7399
⑭S・ガルシア(スペイン)4.1510
⑮アン・ビョンフン(韓国)3.3684

アメリカの場合、WR15位に5人入っているため、上位4人に出場資格があります。WRで12位のリードは同じアメリカ選手が上位に4人いるためORから外れ、ウーストハイゼン以下が1ランク上がります。

15位以下にはアメリカ選手と、すでに上位2人が決まっている南アフリカの選手がいるため、WR25位のビョンフンがORでは15位になります。

こうして、7月11日に決まるOR上位60人が出場資格を得ます。今のところ、30以上の国と地域から選手が参加する見込みです。

日本人選手は誰が出場?

最新のWR(5月16日現在)で男子14位の松山英樹は、もちろん日本人1位ですので日本代表当確です。続いて池田勇太が84位、片山晋呉が85位と、2位争いは7月までもつれそうです。注目の石川遼は故障の影響もあり148位と出遅れ、五輪出場は2020年東京に期待です。
女子では、今季米ツアーで2勝した野村敏京が22位で日本人トップにおり、こちらも出場権獲得に有利です。さらに39位に大山志保、41位に宮里美香、45位に渡邉彩香がおり、2人目の出場者争いはこの3人に絞られました。
日本で活躍するイ・ボミはWRで14位と上位に位置してますが、韓国選手はWR15位以内に4人以上おり、イ・ボミは8番目なので出場資格には届きません。残る1ヶ月半で、韓国4番目以内に入るのも難しくなりました。

日本のファンの中には「イ・ボミは日本で活躍しているのだから、いっそのこと日本の枠で出場させたら」とのイボマーの意見もありますが、さすがにこれはかなわない話です。

一方で男子ゴルフのメジャーも、7月14日から全英オープン、7月28日から全米プロゴルフ選手権があり、リオ五輪は8月11日から、と日程がタイトになっているのは、一流プロが五輪に出場するかに影響を与えています。

優勝賞金が1億円を超えるメジャー大会に対して、五輪で金メダルを獲得しても賞金はありません。年間数億円を稼ぎだす一流プロにとって、五輪の金メダルに魅力を感じるか?

早くも出場を名言するローリー・マキロイ(アイルランド)に対して、アダム・スコット(オーストラリア)、ビジェイ・シン(フィジー)、ルイ・ウーストハイゼン、シャール・シュワーツェル(共に南アフリカ)らは出場しない意向を示しています。
リオ五輪の男子は8月11日から、女子は17日から競技が開始されます。出場選手は7月11日に発表されるORと、それぞれの意志で決定します。

五輪のゴルフ競技は、2020年東京五輪まで競技開催が決定しています。日本のファンとしては東京五輪が盛り上がるために、松山英樹ら日本人選手の活躍が期待されます。

112年ぶりはほとんど初めてと一緒。華やかな五輪の舞台でゴルフのメジャー大会とは違った雰囲気になるのか、本番が楽しみです。

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