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異彩を放つデシャンボーのワンレングスアイアン。そのこだわりとは?

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ザ・メモリアルトーナメント(6月3日)で大会ホストのジャック・ニクラウスから優勝楯を受け取ったのが、ブライソン・デシャンボーでした。

最終日単独首位でスタートしたデシャンボーは18番で2人に並ばれたものの、プレーオフ2ホール目で抜け出して優勝。昨年のジョンディア・クラシックに続いて、PGAツアー2勝目を飾りました。

南メソジスト大学生だった2015年、全米アマチュア選手権、全米大学体育協会(NCAA)ゴルフ選手権の2冠に輝きました。これはジャック・ニクラウス、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ、ライアン・ムーアに続く史上5人目の快挙です。

2016年のマスターズでアマチュアながら21位に入った翌週にプロ転向し、着実に実績を挙げているデシャンボーですが、何よりも独特のスイングスタイルが注目されています。

ワンレングスアイアンの使い手

the Memorial Tournament presented by Nationwide - Final Round

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デシャンボーのアイアン、ウェッジのシャフトの長さは37.5インチで統一されています。これは6番、7番のアイアンのシャフトと同じ。さらに同じリズム、フィーリングでスイングするために、どのアイアンのヘッドも重量は280gにしています。つまり、シャフトとグリップを含め、すべてのアイアン、ウェッジの重量が同じです。

大学では物理学を専攻し、出来事や事象への好奇心が強いデシャンボーは、ゴルフに対しても先入観なく、より安定したスイング、正確なショットを探求しました。その結果がシャフトの長さ、重さ、ライ角を統一することでした。「同じように構えられ、同じようにスイングできる」というシンプルプレーン理論です。

ライ角にも特徴があります。一般的なライ角は日本で販売されているアイアンの場合、3番60度から0.5度刻みで増え9番で63度になります。デシャンボーのアイアン、ウェッジはすべて73度。これは一般的なパターよりもアップライトになり、腕とクラブがほぼ一直線なアドレスとなります。

そのためグリップも極太です。通常50g前後のグリップですが、デシャンボーは120gを超える太さ。これはアップライトのライ角で超ハンドアップしたアドレスで、手首の動きを極力抑えるための工夫です。このスタイルは、過去に「ハンマー打法」と呼ばれた天才、モー・ノーマンを彷彿させるものです。

最強のショットメーカーで、変人で知られたノーマン

Moe Norman

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ベン・ホーガン、サム・スニードらが活躍した時代、ノーマンはカナダを中心に活躍していました。トム・ワトソン、リー・トレビノが驚嘆するストレートボールの持ち主でした。

あるエキシビジョンで、ノーマンは7時間に渡って1540球のドライバーを打ち続けました。その中で一番飛ばなかったのは225ヤード、打ったボールはすべて30ヤードの範囲で止まっていました。持ち味のストレートボールを語るエピソードです。生涯でホールインワンを17回達成、そのうち直接カップインしたのが8回。40コース以上でレコード記録を持ち、62歳の時に達成したエージシュート1回を含み、スコア59を記録したことが3回ありました。

ノーマンの「ハンマー打法」はアドレスで腕とクラブシャフトが一直線。グリップは鷲掴み。体はほとんどひねらず、そのままテークバック。バックスイングの始動とともに、左膝、腰の向きが目標方向へスライドし、ヘッドに先行するような動き方をします。

ノーマンがアメリカを舞台に活躍していたら、ゴルフの歴史は変わったでしょう。しかし、ノーマンは幼い頃の交通事故から自閉症を患い、生涯にわたって対人関係が苦手でした。さらにゴルフ場へぼさぼさの髪、派手な衣装で現れギャラリーの反感を買い、アメリカから締め出される格好でカナダでプレーしたのです。デシャンボーはノーマンのスイングに現代のギア製造技術を反映して、新理論を実現させたのです。

正確に強くインパクトを与えるデシャンボーのスイング

デシャンボーのアドレスはボール位置近くに直立するような形になります。バックスイングからの切り返しは同じスイングプレーンの軌道です。インパクトでフェースを開閉しないことでストレートの方向性が得られます。太いグリップでもあり、手首で余計な動きを抑えています。

インパクトからフォローにかけても、「手首を返す」などの動きはなく、正確なインパクトから自然とフォローに入っています。体重移動、軸の移動やアームローテ―ションなどの余分な動きをまったくしない、まさにシンプルなスイングです。

ゴルフの科学者のこだわりはボールにも

U.S. Open - Final Round

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デシャンボーのこだわりはスイングばかりではありません。1930年頃はゴルフボールの質がばらばらで、ベン・ホーガンらは塩水にボールを浮かべる方法で、重量や重心の位置のいいボールを選んでいました。ホーガンに憧れるデシャンボーは、塩水の代わりに入浴剤に使われる硫酸マグネシウムを入れた水にボールを入れてチェックしています。

長く観察していると、1ダースに3つ程度、バランスが異なるボールがあるといいます。デシャンボーのテストで一番品質にばらつきがなかったのが、ブリヂストンのTOUR B330シリーズで、適正な高さ、スピン量でプレーの安定感をキープしています。

デシャンボーのクラブセッティング

デシャンボーのアイデア「アイアン、ウェッジのシャフトは同じ長さ、重さ、ライ角」を実現させたのはイーデルゴルフの、デビッド・イーデル氏でした。アイアンのヘッドは番手で全部違う中、同重量にするのはヘッドの中空部分を調整し、重心やバランスに苦心しました。プロ転向と同時にコブラと契約したデシャンボーでしたが、すぐに同じ重量のモデルを用意するのは難しく、当初はイーデルのアイアンを使っていました。

今では、コブラのアイアンでそろえていますが、ドライバーにも一工夫あります。アイアンセットより7.5インチ長いドライバーのスイング感をアイアンに近づけるために、ドライバーの可変ウェイトを全部外して軽くしてあります。

プーマゴルフジャパンでは、昨年2月からワンレングスアイアンを発売しています。市販用のシャフトの長さは36.75インチで統一され、ミート率が向上し、飛距離と方向性が安定すると評判です。また、ショートアイアンでも深く前傾することがなく、腰や背中への負担が少なくなるメリットがあります。デシャンボーの活躍次第では、注目される可能性があります。

【ドライバー】
Cobra King LTD Pro (ロフト8.5度)  シャフト:Project X HZRDUS T1100 75X
【フェアウェイウッド】
Cobra King LTD Black (ロフト14.5度)  シャフト:Project X HZRDUS 85
Cobra King F8+ Baffler (ロフト17.5度)  シャフト:Project X HZRDUS 85X
【ユーティリティ・アイアン】Cobra King One Length ユーティリティ・アイアン (U4,U5)  シャフト:Dynamic Gold X7
【アイアン】
Cobra King Forged One Length (6番〜PW) シャフト: Dynamic Gold X7
【ウェッジ】
Cobra King One Length (50度, 55度, 60度)  シャフト:Dynamic Gold X7
【パター】
SIK tour プロトタイプ
【ボール】
ブリヂストン ツアーBX

(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。

PGAツアー3勝目も間近。デシャンボー理論を証明へ

the Memorial Tournament presented by Nationwide - Final Round

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デシャンボーがハンチング帽をかぶってプレーするのは、憧れのベン・ホーガンのスタイル。優勝したザ・メモリアルトーナメント以降、全米オープンでは25位。トラベラーズチャンピオンシップ(24日)は4日間60台で9位タイと好調をキープしています。

今季中にはツアー3勝目も可能性のあるデシャンボー。そのスイングに目が離せません。

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