今年の池田勇太は何かが違う!さまざまな契約から解き放たれた彼が向かう先とは?
- 2016.10.17
- トピック
10月6日から開催された「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」では、ソン・ヨンハン選手との2日間にわたる合計9ホールのプレーオフの末、見事今季2勝目、通算15勝目を挙げた池田選手。
今シーズンは4月に開催された「パナソニックオープン」で通算14勝目を挙げ、2009年以来続く8年連続での優勝記録を更新すると、その後も常に上位に顔を出す活躍でトップ10入りは9回。
そして先日の松山英樹が国内メジャー初制覇で幕を閉じた「日本オープンゴルフ選手権」では2位タイと健闘し、それまでトップだった谷原秀人選手を捉え、賞金ランキング1位に。念願の賞金王が見えてきました。(10月16日現在)
そんな好調の池田選手ですが、今シーズンは長年にわたるブリヂストンとの契約を解消し、ウェアもマスターバニーエディションと新たに契約と、かなりの変化があった年でもあります。ツータック(スリータック)パンツがトレードマークだった池田選手のゴルフスタイルが大きくイメージチェンジしましたので、「おやっ?」と思った方も多かったはずです。
そうした外見の変身はゴルフファンにも分かりやすい変化ですが、なんといってもクラブの変更はプロゴルファーの生命線ともいえるだけに、池田選手にとって大きな決断であったことは間違いありません。
クラブ契約がフリーであるという事は、さまざまなクラブを試せるというメリットもありますが、慣れ親しんだクラブメーカーとの相違や、クラブフィッティングに違和感があると大きく調子を崩してしまう恐れもあります。また、専属メーカーからの手厚いサポートを受けられなくなることも覚悟しなければなりません。
にもかかわらず、シーズン序盤から結果を出し、すでに今季2勝目を挙げる活躍は、30歳を迎えた池田選手のキャリアの中でも充実したシーズンを過ごしていると言っていいでしょう。
実は今年は、それ以外にも様々な“変化”が池田選手にあることにお気づきでしょうか?そんな池田選手の変化をみながら、今後の池田選手の向かう先を考えてみたいと思います。
選手会長を宮里優作選手へバトンタッチ
まず今年は2013年から2015年の3期に渡り続けていた選手会長職を宮里優作選手へバトンタッチしました。
「選手会長になると成績が落ちて勝てなくなる」というジンクスもあり、敬遠されがちだった選手会長に自ら立候補して就任し、低迷する男子ゴルフツアーの試合数増加を目指して、新規大会開催のためのスポンサー探しや、ファンサービスに奮闘しました。
言葉遣いが決して良いとは言えず、不遜な態度がクローズアップされることもある池田選手ですが、「国内の男子ツアーを何とかしたい」という気持ちは人一倍持っているのです。
選手会主催のファンサービスを積極的に行うなど、随所に池田選手の思いが伝わる活動をこなしてきましたが、それだけに責任も重く、「選手としての活躍」との二足の草鞋は決して楽なものではなかったと思われます。(※その間も賞金ランキングは2013年9位、2014年7位、2015年3位と結果を残しています。)
現在もJGTO理事メンバーの一人として今まで同様に選手会には関わっていますが、3年ぶりに“選手”としての立場の比重を大きくすることができたのが、今シーズンのようですね。
ウェア契約の変更によるイメージチェンジ
ウェア契約の変更は前述しましたが、それに伴い髪型も変化しています。
それまでの角刈りヘアから一変して、サンバイザーが似合う前髪ふんわりヘアへ。あまりの変貌ぶりに、シーズン当初は遠目では誰だかわからないほどでした。
池田選手は「変えるんだったら一気に変えたかった」と話していましたが、これも今年に期するものがあったのではないかと推測してしまいますね。
気になるクラブセッティングは?
クラブ契約の解消によって、以前にも増して池田選手のクラブセッティングが気になっているアマチュアゴルファーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは「パナソニックオープン」優勝時のクラブセッティングを確認してみましょう。
ドライバー:
プロギア RSドライバー プロトタイプ(9.5度)三菱レイヨン ディアマナ 70 プロトタイプ(硬さ:TX)
FW&UT:
キャロウェイゴルフ XR 16 フェアウェイウッド(3番、5番)ミズノ MP FLI-HI ユーティリティ(2016年モデル)(3番21度)
アイアン:
ヨネックス N1-CB フォージドアイアン(4番~P)
ウェッジ:
ブリヂストンゴルフ フォージドウエッジ(58度)ブリヂストン J015 フォージド ウェッジ (52度)
パター:
オデッセイ WHITE HOT RX パター V-LINE FANG
となっています。
ボールはブリヂストン契約のままですので、「ブリヂストン TOUR B330X ボール プロトタイプ」を使用していますが、昨年と比べてみるとウェッジ以外は総入れ替えという感じですね。しかし、今後も変更の可能性は大いにありますので、ますます池田選手のクラブ選択には注目が集まりそうです。
長年連れ添ったキャディの変更
もうひとつ池田選手の今年の大きな変更点のひとつにキャディがあります。
池田選手はツアー本格参戦の2009年から長年、福田央(ふくだひさし)キャディを専属として帯同させていました。今までの池田選手の活躍に、福田キャディとの息のあったコンビネーションが欠かせなかったことは言うまでもありません。
しかし、池田選手はシーズン中盤の「フジサンケイクラシック」あたりからハウスキャディやアルバイトキャディを起用しています。テレビ中継でもハウスキャディさんとグリーンの相談をしている姿をよく見かけますね。また、自分で歩測し計算をするなど、自ら主導でプレーをしている姿もよく見受けられます。
先日の「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」ではプロキャディさんとコンビを組んでいましたが、こちらも今のところは単発の契約のようです。そして、福田キャディとのコンビはこの秋をもって解消し、残りのシーズンもハウスキャディやプロキャディを起用しながら今後のパートナーを探すことになりそうです。
この件に関しては池田選手からの申し出だそうですが、ここにも池田選手の決意があるのかも知れませんね。今後の成り行きにも注目しておきたいと思います。
日本代表としてリオ五輪出場
最後にオリンピック出場です。
こちらは池田選手だけの変化ではありませんが、112年ぶりにオリンピック競技として復活したゴルフの(ほぼ初代の)代表として出場したことは、池田選手にとっても大きな出来事であったのは間違いないでしょう。最終成績は21位に終わりましたが、これからの日本のゴルフ界に何が必要なのか?何が足りないのか?を肌で感じ取ってきたのではないでしょうか?
PGAツアーで活躍する松山英樹選手、日本のゴルフ界の人気を背負ってきた石川遼選手よりは年長ですが、それでも30歳という若さですので、2020年の東京オリンピックの頃には、その経験を活かした存在になってくれている事を期待したいと思います。
このように2016年は池田選手にとって大変革の年なのです。これはたまたまではなく、池田選手自身がかなりの覚悟を持って今シーズンに臨んでいるのではないかと思わずにはいられません。池田選手のプレーぶりにもそれが表れているように感じられますね。
おわりに
今年の池田選手のさまざまな変化を追ってきましたがいかがでしたでしょうか。こうなると注目は念願の賞金王の座を獲得するかにかかってきます。
本人も賞金王の座は意識しているとは思いますが、その昔「悪たれ」と評されていた青木功選手が、その後の活動によって現在の地位や評価を得ているように、さまざまな変貌を遂げたNew池田選手が、この先どこに向かうのかを見てみたいと思いませんか?