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あなたのボールは微笑んでいますか?/誰かに話したくなるおもしろゴルフ話

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えくぼは赤ちゃんの頃は誰にでもあるのに、成長と共に消えてしまうケースが多いそうです。ゴルフボールのえくぼであるディンプルは現在では科学の結晶のようなもので、ゴルフボールの性能を決定する要因の一つになっています。

ディンプルの形状も円形だけではなく多角形のものもあり、大きさもよく見ると大小が入り交じっています。その数も300~400ぐらいまで、ブランドによって色々あります。

ディンプルがないボールは、普通のボールの半分も飛ばないのです。もし、ディンプルの発見がなかったら、ゴルフは現在のような形にはなっていなかったでしょう。

ミスショットで、それは生まれた

ゴルフの黎明期、ボールは牛や馬の革に羽毛を詰めて作ったフェザーボールでした。16世紀から19世紀半ばまで、オランダで作られたものを輸入していたものがスコットランドでも職人が作るようになった以外は、大きな変化はありませんでした。

19世紀中頃、安価で丈夫なガッタパーチャボールが出現して、ボールの進化は急激に進みます。

19世紀、インドやアジアからイギリスに送る品物を保護するために、天然ゴムを梱包材として利用してしていました。熱を加えれば簡単に変形し、冷えれば固まるゴムは、他に使用されることもなく、品物が無事に届けば捨ててしまうものでした。

でも、再利用を考える人たちがいたのです。その中にゴルフ用具を扱う職人もいました。天然ゴムを暖炉で温めて挟むようにして型通りにするための金型を作った鍛冶屋が、ゴルフボールもできるかもと考えるのはごく自然なことでした。

金型で丸くなったゴムボールは、当初はそれまでのフェーザーボールよりも飛びませんでしたが、はるかに安く作れるし、自分で暖炉で型に入れて温めれば新品に復元するので人気になりました。

すぐに、ゴムのボールを使った多くのゴルファーたちが気がつきます。暖炉で新しくしたボールより、傷ついたボールのほうが明らかに飛ぶ……。

早速、ボールに予め筋状の傷をつけたり、金型にはじめから傷をつけ、凸凹を付ける研究が始まりました。金型に凹みをつけると、形成されるゴムには凸になって出来上がります。ボールは飛ぶようになりました。

最初は凹みではなく、小さな突起がついていたのです。これが、ガッタパーチャボールとなり大流行しました。フェーザーボールはシェアを逆転されたのです。

『にきび』が『えくぼ』になって……

つぶつぶに出っ張った突起がついているボールは、形状が似ていることから「木イチゴ(ブランプル)」と呼ばれたそうです。突起の部分は、別に「ピンプル」と呼ばれるようになりました。意味は「にきび」です。

ガッタパーチャボールは、1899年に糸巻きボールの元になったハスケルボールが出現するまでの数十年という短い間だけ、ボールの主役となったのです。1910年に、イギリスのダンロップ社が現在のような凹んだ形状で覆ったボールを開発します。これ以降、ゴルフボールはディンプルに覆われているものとなったのです。

数百年変わらなかったボールは、ちょっとした思いつきと偶然を見逃さなかったゴルファーの貪欲さにより、たった60年で大変な進化を遂げました。これが、ボールを高く上げる用具と技術を生み、飛躍的に飛ぶようになった距離に合わせてゴルフコースを長くする要因になりました。

現在のボールの元祖は、天然ゴムを使用したガッタパーチャボールだと分類されます。これはワンピースボールです。一つの素材で全てができているので“ワンピース”というわけです。“団子ボール”という愛称もあります。現在ではほとんどありませんが、一昔前までは、練習場で使用しているボールはワンピースが主流でした。

「ハスケルボール」は、硬い芯に糸状のゴムを巻いて球状にし、表面を別の素材で覆ったものです。20世紀末までは、これを進化させた糸巻きボールがボールの主役でした。重い芯の部分の素材も色々と開発されましたが、リキッドセンターという液が入った袋に糸ゴムを巻いたものが高級品で、上級者に好まれたのです。

現在のボールは、分類上は「多層ソリッドボール」と呼ばれています。スリーピース、フォーピースといういうほうが耳に馴染みがあるでしょう。スリーピースというのは、3つの異なる素材を重ねるように作られたもののことです。芯となる部分、それを覆うアウターという部分、表面のカバー。それぞれの素材の特長を活かして“飛んで、止まる”という機能を追求しています。

フォーピースは4つの素材で作られたボールのことで、ファイブピースというボールもあります。多層の数が多ければ良いというわけではなく、それぞれに特記すべき機能があるのです。自分に合ったものを使うことはスコアアップに欠かせないものになるからと、クラブだけではなく、ボールもフィッティングする時代になったと主張するメーカーもあります。

ディンプルなんて関係ないと思っていても、ゴルファーは何らかの形でその恩恵を受けています。改めて、ボールをよく見つめてみましょう。「あばたもえくぼ」ということわざを持ち出すまでもなく、ディンプルが愛おしく見えてきませんか?

プロゴルファーでも、自分に合っていないボールでは思ったように飛ばせなかったりして、良いスコアではプレーできないこともあると言われています。ボールに何を求めるかはゴルファーによって違うものですが、自分に合っていると信頼したボールでゴルフをするのは、プロにもアマチュアにも認められた権利です。

たった42.67ミリの直径のボールには、先人たちの歴史と現代の科学が目一杯詰まっているのです。

 

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