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ゴルファーとしてクラブを使いこなす意味を知っていますか?/誰かに話したくなるおもしろゴルフ話

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ゴルフにおいて、「club」は2つの意味を持っています。ドライバーなどのボールを打つための“用具”としてのクラブと、“ゴルファーの集い”という意味のクラブです。

打つほうばかりに夢中になりがちですけど、そもそもどうして用具を「クラブ」と呼ぶようになったのか?そんなことも知らないで振り回しても、ゴルフの謎は深まるばかりです。

クラブの語源を知るのが近道となる

Peter Thompson

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ボールを打つクラブについて、ゴルフ規則では「ボールを打つために作られた1本のシャフトと、1個のヘッドでできている」と説明されています。そして、ウッド、アイアン、パターの3つに分類されるとも書かれています。

ゴルフにおいて、ボールを打つ用具をいつから「club」と呼ぶようになったのかは、あまりハッキリしていません。オランダゴルフ発祥説では、“打つ用具”という意味で「club」というオランダ語がそのまま輸出されたとしています。

英語でも「club」は同じ意味です。古くは“こん棒”のことを意味している言葉でした。トランプのクラブのマークの元は、このこん棒を意味しているという説もあります。老若男女が必死でクラブを振り回しているのを傍観していると、クラブはこん棒だったということをついつい思い出して笑いそうになってしまいます。

ゴルフは自然との戦いです。夢中になってクラブを振り回しているゴルファーは、こん棒を振り回していた原人となんら変わりはないのかもしれません。そんなことを暗示する意味で「club」をボールを打つ用具ということにしようとしたのなら、先人たちのセンスに脱帽するしかありません。

“集まり”という意味のクラブは、区別する意味で漢字を当てて「倶楽部」と書くことにします。イギリスで広まっていく同好の仲間が集まって組織される倶楽部は、つい最近まで『女子禁制』という不文律を厳守してきました。

ここにヒントが隠れています。こん棒という原始的な武器は、スラングとして男性器という意味でも使われます。

男性のみが入会を許される集まりを、スラングを意識して「club」と呼ぶようになった説は、ゴルファーにとって他人事ではありません。歴史があるゴルフ倶楽部は、現在でも“男性のみ”という決まりを維持しているところも少なからずあるからです。

倶楽部は男女差別だと女性を受け入れる時代になりましたが、異性を意識したり、気を遣ったりせずにバカができる息抜きの空間として倶楽部は生まれ、育ってきただけの話で、女性の地位や権利とは、本来は別のような気がしてなりません。

日本では、“女子会”という言葉と集まりは市民権を得て、巷に溢れています。倶楽部の閉鎖性は女子会のそれと同じなのですけど、時代の流れは許してはくれないようです。

“用具”としてのクラブと、“集まり”を意味する倶楽部。2つの「club」は、“こん棒”というキーワードで結ばれているのです。

倶楽部を知らずしてゴルフを語ることなかれ

The Old Course St Andrews

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倶楽部のほうは、「オレには関係ない」と無視していては損をします。倶楽部の成り立ちは夜の大人の部活であるナイトクラブにも繋がりますし、若者のクラブ(発音が違いますけど)、女性向けのホストクラブなどの源流でもあるからです。

ゴルフ倶楽部のメンバーになることに関心がなくとも、ゲストとして訪れることはゴルフをしている限り可能性がありますから、そのときに慌てない意味でも源流を知っておきましょう。ゴルフクラブ、カントリークラブ、ゴルフ場の名称のほとんどは、ゴルファーを組織した社交団体としての“倶楽部”を本来は意味するのです。

まずは歴史を振り返ります。1764年、スコットランドのエジンバラのリースで『オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ』が結成されました。史上最初のゴルフ倶楽部で、最古のゴルフルールはそれより少し前の1744年にこの場所で生まれました。

1766年にイングランドのロンドンでブラックヒースの倶楽部が生まれ、1773年にはセントアンドリュースで『セント・アンドルーズ・クラブ』が生まれました。この『セント・アンドルーズ・クラブ』が、後に『R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント)』となります。

アメリカでは、記録によれば1788年にサウスカロライナ州チャールストンでゴルフ倶楽部が結成されたのが最も古いようなのですけど、当時の新聞広告が残っているだけで詳細がわからないので、1888年にニューヨーク市で“アップル・ツリー・ギャング”と呼ばれたゴルファーたちが『セント・アンドルーズ・クラブ』を設立したのを歴史の始まりとするのが定説になっています。

日本では、1903年に『神戸ゴルフ倶楽部』が発足しました。1906年、横浜の根岸競馬場内に2番目のゴルフ倶楽部が生まれましたが、この2つは在留外国人の団体で、日本人ゴルファーによるゴルフ倶楽部は、駒沢にコースを作った『東京ゴルフ倶楽部』が1914年に誕生したのが最初となりました。

日本では、ゴルフコースを造るための資金集めとして倶楽部を発足させることが「ゴルフ倶楽部」だと思われています。もちろん、そういう意味で倶楽部が成り立っている現実は否定できません。狭い国土なのに、日本が世界有数のゴルフコース保持国になった背景でもあるからです。

しかし発祥を知っていれば、それが全てではないことも理解できるのです。同好の仲間が、社交としての団体を組織することが「倶楽部」なのです。つまり、同好会や部活動の感覚でも倶楽部は十分に成り立つはずなのです。

例えば、「R&A」や「USGA」というゴルフルールを統括しているゴルフの総本山でも、ゴルフコースという単位ではなくゴルファーが集まった団体を「倶楽部」と認め、ハンディキャップの取得や管理をさせています。日本でも、都道府県や市区町村レベルのエリアごとで組織された団体を認める事例はありますけど、まだまだ一般的ではありません。

例えば、出身校の同窓のゴルフ団体や、ゴルフショップの客を組織した団体など、もっと広くゴルフを楽しむための「倶楽部」は可能性があるのです。ちなみに、欧米には公式に活動を認められているこうしたゴルフ倶楽部がたくさんあり、活動しています。

日本ではほとんどのメンバー制のゴルフコースが、実際にはメンバーが倶楽部として活用しきれていないパブリックコースのようになって21世紀を迎えています。これは、本来のゴルフ倶楽部を普及させるチャンスだと思うのです。

仲間で集って組織化し、倶楽部のホームコースとしてコースと契約する。スタート枠を確保してもらったり、倶楽部競技を開催させてもらう代わりに、コースには年間ごとに契約金を払う。倶楽部のメンバーにも、ホームコースになるコースにも、互いにお得な話になるのです。

日本のゴルフコースは、社用族やお金持ちに頼って作ってきた仕組みから脱却する時代になったと思います。わかりやすくいえば、ゴルファーが自発的に組織した倶楽部を、そのコースを愛してくれる「友の会」だと考えてみましょう。今まではゴルフコースが組織していた友の会を開放してしまうのです。同じコースに複数の友の会があっても良いですし、ときには対抗戦なんかも開催してコースを共有すれば良いのです。

夢物語ではありません。聖地としてゴルファーが崇めるセントアンドリュースのコースは、日本でいうパブリックと同じコースです。R&Aはクラブハウスを持っていますが、コースとはホームコース契約をしてスタート枠を提供してもらっているという関係なのです。

セントアンドリュースは、地元を中心に他の倶楽部のホームコースでもあるのです。たった一つの倶楽部が所有する専用コースというのが、日本でいうメンバーコースに該当するのです。

コースが条件を出して公募すれば、日本でもすぐに実現可能です。数十人規模の気の合う仲間を集め、コースの条件をクリアしてお金を出し合い、自分たちのホームコースにできたら、それだけでワクワクします。SNSがこれだけ普及しているのだから、仲間を集めるのもゴルフの楽しさで、信頼できる仲間がいることがゴルファーの証だと啓蒙するのも苦労しないような気がします。

仲間ごとに雰囲気や決まりが違うように、「倶楽部」もそういうものです。互いを尊重し合えば上手く収まることは、ゴルフが知らない間にゴルファーに教えてくれていることです。

伝統を維持する厳格な「倶楽部」も大切です。敬意を払うべきです。でも、倶楽部はそれだけではないのです。ゴルフコースの常識を変えるのは、今を生きるゴルファーに与えられた権利です。倶楽部は使いようなのです。

クラブはこん棒からどんな武器に進化したのか?



ボールを打つ用具としてのクラブには、こん棒という意味もあったのだと知ったときに、頭の中である映画のシーンが再生されました。キューブリック監督の名作『2001年宇宙の旅』の冒頭シーンです。

太古の地球。猿人は他の獣と共に動物として過ごしていたましが、モノリス(謎の黒い長方形の物体)を発見し、その影響で急激に進化します。進化した猿人は動物の骨を道具や武器にして多くの食料を手に入れ、ついには他の猿人を殺してまで縄張りを広げるようになりました。そのときに興奮した猿人が空に向かってこん棒として使用していた骨を投げ、その骨が宇宙船に変わるというのが冒頭のシーンなのです。

こん棒は武器です。ゴルファーが手に入れた武器を宇宙船ぐらいまで進化させたのかは、なんとも微妙なところですけれど、確実にいえることは、クラブは人類の科学技術の結晶だということです。

『Far&Sure』は、古今東西でゴルファーの夢です。遠く、正確に……。

ゴルフが18ホールでプレーされるようになって、まずは、100を切ったスコアに当時のゴルファーたちは驚愕しました。そして90を切ったスコアが出たとき、化け物のようなゴルフだと後に用語に影響するような賞賛をしました。

ゴルフ用具の歴史を重ねてみると、急激なスコアアップの背景には、クラブやボールの進化がありました。21世紀になって、トッププロは60を切るスコアでプレーすることもあります。クラブの進化は止まりません。

ゴルフは貪欲に、楽しくするための要素を取り入れて進化していきます。時々、規則でその流れを断ち切ることもありますが、それがさらなる進化を促すことになったりもするのですから、ゴルフというのは本当に不思議なものです。

こん棒と現在のクラブは、連想さえ難しいほど違うものになりました。「当社比10ヤードアップ」というような宣伝文句は、もう何十年も使われています。一昔前まで、クラブのモデルチェンジは数年に1回でしたが、現在ではほとんどのメーカーが毎年モデルチェンジします。

1年で10ヤードなら、10年で100ヤードも距離は伸びる計算になります。しかし、現実はそうなっていません。それでも、詐欺のような宣伝だと怒っているゴルファーは皆無です。ゴルフクラブは、夢の用具だからです。

平均すれば微増しかしない飛距離ですけれど、とんでもない奇蹟の一発が出てしまうことは、多くのゴルファーが体験することです。“たった一発のまぐれ”で、何年間も夢を見ることができるのが、ゴルフの素晴らしさです。

「club」を使いこなすことは、間違いなくゴルフを向上させます。でも、思うのです。

「本当に進化が求められているのは、ゴルファーのほうではないか?」

倶楽部を進化させるのもゴルファーなら、進化したクラブに対応するのもゴルファーなのです。現在に生きるゴルファーとして、こん棒についてじっくりと考えてみましょう。モノリスはいつ目の前に現れるか、誰にもわからないのです。

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