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復活する五輪ゴルフ、これだけは知っておきたい○○!/ゴルフの最前線から情報発信!

リオデジャネイロ・オリンピックで112年振りにゴルフが復活します。

日本代表が発表されるのは7月19日。その前に盛り上げようということで、日本ゴルフジャーナリスト協会主催の『日本のゴルフは、五輪でメダルが獲れるのか?』というタウンミーティングが7月4日に開催されました。

この日の早朝、アメリカから衝撃の一報が届きました。松山英樹プロが今回のオリンピックには出ないと表明したのです。

一気に興味が失せたという声も聞こえてきますが、ちょっと待ってください。タウンミーティングの討論は、若干タイトルとは違っても、過去最高というぐらいに盛り上がったのです。

色々と仕切っているIGFって何?

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タウンミーティングの詳細は最後にまとめて紹介しますが、まずは、知っておきたい○○の1番目として、IGFこと世界ゴルフ連盟の確認をします。

オリンピックの報道で、IOCとか、JOCがよく出てきますが、近代オリンピックはIOC(国際オリンピック委員会)が管轄する世界最大のスポーツイベントです。IOCは、世界中どこでも同じようにオリンピックが開催できるように徹底したマニュアルを作り、それを遵守して各国のオリンピック委員会が大会を運営することを絶対条件にしています。

オリンピック委員会は大会を運営する組織で、各競技の運営にはそれぞれに世界を統一する組織を指名していて、その団体がマニュアルに沿って競技要項から選手の行動についてまで管轄するのです。ゴルフの競技運営をするのが International Golf Federationで、略称IGF、世界ゴルフ連盟なのです。

ゴルフがオリンピックに復帰する経緯は、1996年のアトランタ・オリンピックに溯ります。招致活動の中で、アトランタの組織は目玉として準備を進めていたものがありました。

アトランタといえば、ゴルフのメジャー競技で唯一、同一会場で開催されているマスターズの舞台であるオーガスタナショナルがある場所です。アトランタに決まれば、ゴルフを競技復帰させて、会場をオーガスタナショナルにするという夢を実現しようと根回しが行われました。

結局、いくつかのクリアできない問題があったりして、その案は立ち消えになるのですけれど、意図的に流されたゴルフのオリンピック競技復活という夢は完全に消えはしませんでした。

21世紀に入って、オリンピックは新たに改革を迫られています。開催地の負担を減らす目的で、競技の再選定や参加人数の総数を減らすことなどが実行されつつあります。

競技の再選定をする際に、建前では世界でのその競技の競技者人口や国別の分布や競技の人気などを条件にしていますが、本音は少し違います。商業的なコストパフォーマンスで競技を再評価していっているのです。

ゴルフのメジャー競技は、既に世界中で放送されているコンテンツですし、米国で行われるメジャー競技は4日間の開催期間で10万人を動員することも珍しくありません。新しいオリンピックの種目として、既に世界規模のイベントを開催している実績があって、テレビの中継放送権が高額で売れて、入場チケットの売り上げも見込めるゴルフは最適だったのです。

ゴルフ人口が減っているのは日本だけの傾向ではなく、イギリスでも、アメリカでも抱えている大問題です。オリンピック競技になることがきっかけで、ゴルフをしてみようと考える人が増える可能性があるので、ゴルフ団体はゴルフのオリンピック競技復活を歓迎しました。

ゴルフを統括しているのは、R&Aと全米ゴルフ協会です。しかし、IOCは、その二つの団体はそのエリアを管轄する団体で、競技の世界統一団体とは認めませんでした。

便宜上、オリンピック用にゴルフを統括する団体が必要になりました。こういうことは他の競技でも前例がありましたので、IOCの条件に合う団体を作ることにしたわけです。

ちょうど良い団体がありました。1958年に、世界アマチュア選手権を開催するために、日本ゴルフ協会、全米ゴルフ協会、R&Aが協力して、アマチュアゴルフの統括組織として世界アマチュアゴルフ評議会を作っていました。

男子は1958年からアイゼンアワートロフィーという名称で、1964年から女子の大会としてエスピリトサントトロフィーも加わり、世界アマは2年おきに開催され続けていて、実績もありました。

2003年に、世界アマチュアゴルフ評議会は、世界ゴルフ連盟と名称変更して、現在、126の国と地域、132の協会、22のプロツアーとプロゴルフ協会が加盟しています。本部はスイスのローザンヌにありますが、ゴルフ世界連盟は実質的にはアメリカ人によって運営されています。

IOCにかんしても、本音部分にかんしてはアメリカの都合が最優先です。放送権を買う最大の国がアメリカだからです。よって、色々な部分で相性が良いのも好都合でした。

略称IGF、世界ゴルフ連盟は元々大きな団体ではなく、運営についても特別なハウツーがあるわけではありません。オリンピック用として、だからこそ都合が良かったのです。

ゴルフ競技の復活の裏では、中継放送権で目標に近い契約を取り付け、メジャー並みの入場チケットの販売の約束があります。それをクリアできれば、リオデジャネイロ・オリンピックのゴルフ競技は開催前に成功しているのです。

112年振りの復活は、実際には初めての開催と同じです。ゴルフ競技は、とりあえず、無事に終えることが今回のテーマなのだと思います。競技として本格的に評価されるのは、次回の東京・オリンピックなのです。

五輪ゴルフの競技方法と代表選手の選出法

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案外と基本的な情報を知らない人も多いようです。第二の○○は基本情報です。

会場は、レセルバ・マラペンディGC。(通称 オリンピック・コース)男子は7133ヤードで、女子は6314ヤード。パー71(パー5は4つ、パー3が5つ)。

設計者は、ギル・ハンス。ティーとフェアウェイが『ゼオン・ゾイシア』(Zeon Zoysia)で、グリーンは『シードワーフ』(Sea Dwarf)という芝種。ラフはなく、荒れ地になっています。運河と塩湖に挟まれた湿地に客土して造られました。リンクスのような雰囲気なのに、大きな池も絡むコースです。

ゼオン・ゾイシアは日本で広く使われている高麗芝と似ているので有利だという人がいますが、そんなことはありません。来日したプロを見ればわかります。彼らはなんの苦もなく高麗芝でのショットに対応します。開催時には海からの強風が吹くと予想されていますので、その対応こそが、メダルを左右するのかもしれません。

リオデジャネイロ・オリンピックのゴルフは以下の日程で行われる予定です。

・男子 8/11(木)~8/14(日)
・女子 8/17(水)~8/20(土)

競技方法は4日間の72ホール・ストロークプレー。男女それぞれ60名ずつで競います。3位までタイスコアの場合は、3ホールのプレーオフで順位を決めます。今更ですが、個人戦で団体戦はありません。

4日間のトーナメントは毎週行われていて、そういう意味で特別だとは考えづらいですけれど、世界中のゴルフを知らない人も見るものなので、わかりやすいことも大切なのかもしれません。

次に、代表の決め方です。

参加国の統括団体が決めて良い競技もありますが、ゴルフの場合は世界ゴルフ連盟が定めた手順に従って決めることになっています。

(1)2016年7月11日時点の世界ランキング上位15位までの選手
※ただし、同一国の選手は最大で4名までしか参加できない

(2)同時点の世界ランキング16位以下の選手は、1国2名まで
※ただし、(1)で既に2名以上が参加資格を得ている国の選手を除く

(3)五大陸(アメリカ、アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカ)ごとに、男女共に最低1名の出場枠

(4)開催国は、男女とも最低1名の出場枠

簡単に書くと、60名の内、一つの国で出場できるのは最大で4人までで、通常は2名が出場できるわけです。男子ではアメリカが、女子では韓国が、4人の出場になるようです。出場人数の枠があることで、金、銀、銅の全てのメダルを一国が独占する可能性を抑えているのです。

実際には4月の末に選手登録をして、メディカルチェックをクリアしていないと出場は出来ません。谷原秀人プロは、直前のトーナメントで優勝してランキングの条件は満たしましたが、選手登録をしていなかったので辞退する前に出場が出来なかったのです。

メディカルチェックをクリアしている7月11日の世界ランキングの上位者2名が代表になりますので、、男子は、30位の池田勇太プロ、31位の片山晋呉プロの2名が日本代表になります。

女子は野村敏京プロが22位、大山志保プロが43位で日本代表となります。女子は直前の全米女子オープンで、逆転の可能性がありました。結果として、渡辺彩香プロは45位、宮里美香プロは47位で、代表争いもゴルフファンとしては非常に見応えがありました。

選手登録などの手続きを経て、日本の場合7月19日に日本代表は正式に発表されることになります。4名の代表選手の大活躍に期待しましょう。

五輪ゴルフの問題点

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第三の知っておきたい○○は、問題点です。

開催地の個別事情で発生する問題や日程などは、ゴルフだけの問題ではないので省略しますが、問題点は色々とあります。

松山英樹プロは参加辞退のときに、もし個人戦ではなく、団体戦だったら違う決断をしていたかもしれない、とコメントしました。アダム・スコットも同様のコメントをしています。

普通のトーナメントと同じ4日間72ホールのストロークプレーという競技方法には、出場の機会があるプロゴルファーだけではなく、ゴルフファンからも問題があるという意見が溢れています。個人戦ではなく、団体戦でも良いのではないかという意見も多いようです。

とはいえ、世界中に放送されたゴルフの中継を見て、ゴルフをしていない人が「ゴルフをしてみよう」と興味をもってくれるという期待を考えると、ゲームとのしての面白さの追求よりも、とりあえずわかりやすいことが優先されるという事情も理解できます。今回はもう変更しようがありませんが、2020年に向けて色々な検討が必要です。

ゴルフにはゴルフコースが必要だという問題もあります。

今回のリオデジャネイロ・オリンピックでは、当初メンバーシップの既設のコースを使用する案で進んでいました。しかし、そのコースが開催を辞退した為に、新しいコースをオリンピックに合わせて造ることになったのです。

東京の場合は、既設のコースがたくさんあるので開催コースの選出は簡単だというわけにはなりませんでした。当初は東京湾の埋め立て地に造成された若洲GLでの開催を目指しましたが、IGFがメジャー競技を基準にして作った開催コースに求める条件でクリアできない複数の問題が出てきて、改めて選び直して霞ヶ関CCになったのです。(後述)

ゴルフコースは広大な面積を必要としますし、芝生などの管理もその場だけでは済まない年単位のものになります。開催地の負担を減らすことがテーマになっているのに、逆行しているという指摘もあります。ゴルフがほとんど行われていない国での開催になったら、そのたびに新しいコースを造らなければならないのかという疑問もあるのです。

都市ごとの開催とはいえ、競技によっては開催都市から遠く離れた場所を会場にしている例もあります。ゴルフにかんしても、その辺りの条件は緩和することが求められています。そうでなければ、ゴルフが足枷になってしまうからです。

ゴルフ用具の問題もあります。今回の取り決めでは、大会で使用できるクラブとシューズは市場で半年間は流通したものに限るのです。

トッププロが特殊な用具を用意してもらって有利になりすぎることを防ぎ、メダリストと同じ物を使用できることでゴルフ用具市場を活性化させる狙いがあるといわれています。

昔に比べると、特定のプロ用に特別に作られた用具を使用している例は減りましたが、効果が期待できないので、あまり意味がない取り決めだという意見も少なくありません。

もう一つの問題は日程です。今年は男子の場合、7月に全英オープンと全米プロを1週挟んで一気に開催する特別なオリンピックバージョンスケジュールです。更に1週挟んで、オリンピック本番になります。

やはり無理があります。このスケジュールが不満だと出場を辞退したプロもいます。オリンピック前にメジャーを全て終わらせる意味はあるのでしょうか?

また、北半球が真夏になる現在の日程は、アメリカの他のプロスポーツなどのスケジュールからやむを得ないといわれていますが、開催地の事情に合わせてある程度の移動をできるようにすべきだという意見は、アメリカ国内からも出ています。

ゴルフ以外ですが、ジカ熱、治安の悪さなど、ネガティブな話題ばかりが報道されています。ブラジルには多くの日系人もいて、日本の企業もたくさん進出しています。遠く離れていても、協力し合って対策することは可能なはずです。意地悪な視点ではなく、必要なのは思いやる気持ちです。

松山プロが出場しないオリンピックのゴルフなんて、と嘆く気持ちはわかります。しかし、ものは考えようです。日本の男子代表は、直前の過密なメジャーの大会には全英オープンに池田プロが出ますが、片山プロは出場しないので、オリンピックに体調を合わせやすいという有利な点があります。

2016年に生きるゴルファーとして、オリンピックは問題があったとしても、しっかりと見て、記憶しましょう。それは、2020年にも繋がっていきますし、オリンピックのゴルフの話をする近い未来でも土台となります。

テレビ観戦でもわかることはたくさんありますし、そこで見えてくる問題点もあります。そういう一つ一つが、改善していくために不可欠なのです。

日本のためにゴルフ団体ができること

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最後に、タウンミーティングの紹介をします。

第4回日本ゴルフジャーナリスト協会主催タウンミーティング「日本のゴルフは、五輪でメダルが獲れるのか?」は、誰でも参加できるイベントで、3時間の内、前半がパネリストの討論、後半はパネリストへの自由参加形式の質疑応答という予定になっていました。

松山英樹プロの不参加で逆に注目が集まったのか、当日になって参加を決めた人もいて会場には約80人も入っていました。

パネリストは以下の方々でした。(敬称略)

【特別スピーチ】初代 スポーツ庁長官 鈴木大地
評論家・公益財団法人大宅壮一文庫理事長 大宅映子
プロゴルファー 金 愛淑(キム・エースク)
日本ゴルフ協会副会長 永田圭司
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 間野義之
司会は日本ゴルフジャーナリスト協会副会長 小川朗

最初は約15分の鈴木スポーツ庁長官のスピーチでした。日本のスポーツ産業内のポジションやボリュームを考慮しても、生涯スポーツとしても、ゴルフを競技として重く見ているという一つの証拠として、昨年末にリオデジャネイロ・オリンピックのゴルフを開催するコースを視察してきた話が出ました。

松山プロの不参加は残念だけど、東京開催に向けて色々と力を入れていきたい、ということでしたが、一つの課題として、ゴルフの団体が多すぎて、どこが窓口になるのかわかりにくいことを挙げました。ゴルフは主要なものだけで17団体あり、その連絡会も発足していますが、確かにその通りだとパネリストも会場の聴衆も納得という雰囲気になりました。

鈴木長官が所用のため中座して、最初にその日の朝に伝わった松山プロの欠場も含めて日本ゴルフ協会の永田副会長の状況説明で討論が始まったのです。

この説明にちょっと驚かされました。非常に広範囲な内容を簡素でありながら十分に伝えるものだったことと、日本ゴルフ協会の偉い人がここまで言って良いの?という本音がいくつも聞けたことです。会場内が、何度かどよめきました。

・112年振りで復活とはいえ、実際は初めてのようなもので、ゴルフ競技は試行錯誤しながら進められている

・リオの対策と東京の対策は似て異なるものだと考えている

・国際ゴルフ連盟(IGF)が管轄しているので、全てのケースで後手に回ってしまっていることは認める

・ゴルフが競技として復活したのは、高額なテレビ放映権と1日2万5千人という多くの観客の収入を得られるという商業的な理由と約束があったから

・今回のフォーマットには(4日間ストロークプレー。個人戦)問題があると思うが、最強国でも4人までしか参加できないという点などは現在のトップゴルファーの分布を考えると評価されるべきだと考える

・ジカ熱を媒介する蚊については、現地でできる限りの対策がとられていることと、リオデジャネイロは南半球で開催時は冬であることを普通に考えれば問題ないというのが現場の本音で、そもそも100%の安全を保証するのは開催地がどこであろうが不可能だと思う

・メダル獲得の報奨制度をもっと明確に魅力的にすれば、日本の代表選手は参加しやすくなるはずで、ツアーの複数年シードなど、もっと前の段階で明確にすべきだった

気になったことだけを並べてみましたが、決して言い訳ではなく、真摯に伝えようとする姿勢に好感を持ちました。

大宅理事長は、オリンピックファンとして、4年に1度だから特別な種目が多い中で、毎週やっているのと同じフォーマットのゴルフには特別感がなく、アイディア不足で開催されるゴルフに不満であるとして、このままでは2020年の東京でゴルフは競技から再び消えてしまうと心配だと話しました。

オリンピック関係の著書もある間野教授は、2020年がゴルフのゴールではなく、より日本でゴルフが楽しまれて、産業としても充実するためのチャンスに過ぎないという話から、ゴルフ団体の整理という意味で、Jリーグ発足でサッカーも団体の統轄を徹底したことを例にして、ゴルフに出来ない理由はないと話したのです。

金プロは、産業的なことをオリンピックに結びつけるのは正直によくわからないとして、メダルを獲るためにジュニアの世代を育成する重要性と韓国と日本の違いと日本のジュニアにも可能性はあることなどを話してくれました。韓国の国を挙げた選手強化についても色々な事例を紹介してくれました。

間野教授は、今までの日本のピラミッド型の育成という考え方(裾野を広げれば自然と頂点は高くなる)は限界が来ていて、専門化を進めて育成する時代に対応すべきだという意見を出し、永田副会長が、日本ゴルフ協会が改革し始めているという実例を挙げたのです。

・アマチュアの統括団体という逃げを打たずに、青木功プロ、小林弘美プロ、倉本昌弘プロを日本ゴルフ協会のプロの担当として協力してもらう体制を作った

・高校ゴルフ連盟とも提携してジュニア競技を強化

・日本オープンのコースが率先して、トーナメントコースの世界レベルのセッティングへのグレードアップ。日本オープンでの賞金が欧米のツアーの賞金に加算されるようにして海外の選手が出やすい環境を作る

・団体の一本化というと夢物語になるので、一本のぶれない筋でゴルフ団体が繋がるようにするのが改革

・元々日本ゴルフ協会がしなければならないかったのにサボっていたので、一例としてレフェリー認定制度を始めている

鈴木長官のスピーチでも出たゴルフ団体の一本化は、遥か昔から言われ続けていますが、この1年の動きは過去に例がないほど前進しています。パネリストの総意として、どんどん進めていこうという気運が盛り上がったのですが……

金プロから、日本の団体は育成にかける予算が少なすぎて、結果を求める以前のような気がするという指摘がありました。そういう部分での構造改革も不可欠であるという確認がありました。

大宅理事長は、教育制度の根幹の部分で平等を最優先し過ぎて、韓国のような勝つための育成はしづらいのではないかと諦めの表情でコメントしていましたが、金プロは日本人のジュニア選手は環境が違うことに迅速に対応するのは苦手だけど、慣れていく中で実力を発揮するところがあるので、慣れさせることにもっと注目したほうが良いという事例を紹介してくれました。

休憩を挟み、質疑応答になり、東京・オリンピックのゴルフの会場が若洲ではなく霞ヶ関になったことと、日本のゴルフを盛り上げるためにパブリックコースで開催すべきではないかという質問が出ました。

霞ヶ関が会場になった経緯は、日本ゴルフ協会のHPでも紹介されていますし、少し探せば明確に知ることができます。そこに利権があるとか色々という人がいますが、それはコースが変わっても同じようなことはあるわけですから問題にするのはどうかと思います。

日本ゴルフ協会永田副会長は、リオデジャネイロ・オリンピックのゴルフの会場もなかなか決まらなかったことや、2020年の招致活動の中で、3都市に絞られたときに国際ゴルフ連盟が決めたオリンピックコースの基準で若洲ではクリアできない複数の項目が出てしまったために、急遽日本ゴルフ協会に依頼があり、選定をし直したことなどを丁寧に回答してくれました。

パブリックコースで開催するべきという意見についても、その通りだと思うが、条件に合うパブリックコースがないのでしかたがなかったという回答でした。

今回の参加辞退者が相次いでいるオリンピックのゴルフ競技について、国際ゴルフ連盟に責任があると思いますか?また、日本として国際ゴルフ連盟との関わり方はどうなのだ?という質問が出ました。

これも永田副会長が回答しました。トップ選手の欠場が多いことは反省が必要だと思うが、様々な条件が重なっての欠場なので責任を追及されるのは国際ゴルフ連盟だけとは考えにくく、テニスも復帰直後の大会では同様だったことから責任問題にはならないと思う、と回答しました。

国際ゴルフ連盟と日本は2014年軽井沢での世界アマの開催で良い関係を構築していて、日本人スタッフも派遣される予定なのだそうです。東京・オリンピックに向けて、毎月のように行き来があることをも紹介していました。

東京オリンピックに向けて、競技フォーマットを変更する働きかけはできそうなのか?また、その可能性はあるのか?という質問は僕がしました。

永田副会長は、可能性はあるし、できる限り働きかけていきたいと回答してくれました。

その後、韓国の国と家族を最優先した選手の意識について、ナショナルチームにかんしての日本の改革と韓国の状況などについての質問もあり、それぞれのパネリストが丁寧に回答しました。

オリンピックのゴルフについての予備知識があれば、画期的なタウンミーティングだったとがわかるものでした。2020年の地元開催でメダルを取りに行くために、選手だけではなく、僕らゴルファーにも出来ることがあるのだと熱くなりました。

心を一つにしてゴルフを盛り上げていくことは簡単ではありませんが、東京でオリンピックがあることは現実なのです。ゴルフが大好きだから、出来ることがあれば協力したいというゴルファーはたくさんいます。

オリンピックのゴルフをテレビ観戦して、その経験を通じて考えてたり、行動したり、発言したりしましょう。ゴルフは観て楽しめて、プレーしても楽しいという特別な競技です。だからこそ、経験したことが大事なのです。オリンピックのゴルフで自らを成長させることができるかもしれないのです。

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