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『JPX900』は青く冷静な飛びをゴルファーに教える!

  • 2016.11.04

「飛びスピン」、覚醒。

凄いキャッチコピーです。JPXは元々飛距離が欲しいゴルファーのために作られているシリーズです。

女子プロゴルファーの使用率が高く、幅広い層のアマチュアゴルファーにもファンが多いJPXは、ミズノのクラブは難しいというイメージを払拭する意味でも注目されてきました。飛びの3つの要素は、ボールスピード、打ち出し角、スピン量です。

その内のスピンは用具で調整するのがセオリーです。“JPX900”は、その部分に特化してゴルファーに飛ばしを体感させるということのようです。

青いヘッドが飛ばしの世界をみせる

“JPX900”(ジェーピーエックスキュウヒャクと読みます)シリーズは、徹底的に「BLUE・青」というイメージで作られました。ドライバーを最初に見たときに、その青へのこだわりがハッキリとわかりました。

形状よりも、カラーが最初にゴルファー脳を刺激します。質感も良いのです。ピカピカしているわけでもなく、つや消しのマットな感じが効き過ぎてもいないのです。

青には、メンタルの興奮を静めて、感情を制御し、集中力を高める効果があるといわれていますが、まさにその効果を感じました。青空と海の青さの良い所取りのような美しいカラーのクラブ…… それだけでも十分に魅力的です。

丸型でややシャローで平べったいシェイプのドライバーは、熟練のゴルファーにも、球を上げやすいドライバーで安心したいという発展途上のゴルファーにも満足できる形状です。450ccなのに、大きく見えるところも面白いです。

打ったスペックは、シャフトはミズノの“Orochi Blue Eye D”で硬さはSR。長さは45.5インチ。ロフトは10.5度にセットされていました。(ロフトは7.5~11.5度に1度ずつ調整できます)

打音は大きすぎず小さすぎず、ミズノらしい締まった音です。打感は真芯に当たると抜けたようなシビアな感触です。ボールはやや高弾道でストレートに飛んでいきました。僕のヘッドスピードは42m/秒で、ややドローが持ち球ですが、キャリーで210~220ヤードという感じでした。

計測器のトラックマンで計測してもらって、スピン量は3200回転でした。その3球立て続けに打ったところで、調整をしてもらうことになりました。重心のポジションは最も後ろの『4』になっていました。この位置がスタンダードということですが、前重心にしてスピン量を減らそうという狙いです。

重心ウェイトのポジションは一番フェース寄りの『1』になりました。また、ロフトも8.5度がお薦めということで、そうしてもらいました。3球連続でナイスショットでした。

球の高さはあまり変わりませんでしたが、データ上の打ち出し角度は13度平均になりました。肝心のスピン量は3000回転までしか落ちませんでした。その後、シャフトもアフターマーケット用のものにしましたが、2900回転平均にするのが限界でした。

僕は頑固な高スピンゴルファーだから参考になりませんが、調整機能で200回転から300回転のスピン量を調整できるのは最高レベルです。クラブによっては100回転程度しか変わらないものもあることを考えると、機能していることは証明されました。他の打席を見ましたが、調整することによって、いわゆる最高のスペックである2200~2400回転になって、15ヤード以上飛距離を伸ばしているゴルファーもいました。

ここで裏話的なことを書きますが、トラックマンなどの計測器を持ち込んでいる時点で、メーカーが絶対的な自信を持っている証明なのです。この時点で“JPX900”の飛びの性能は確信となりました。

ソールを改めて見てみると、調整機能で埋め尽くされています。真ん中のバーが4段階で重心位置をフェース寄りか、後方にするかの調整用で、そのウェイトをトウ側に装着するとフェード、ヒール側に装着するとドローというセッティングになります。

スライド型の調整機能は、既に珍しくありませんが、市販のクラブで最初に調整機能を搭載したのはミズノのドライバーだったことを思いだしました。個人的に考えたのは、ウェイトをもう一つ買って、2個のウェイトで調整するという作戦です。そんなことを思いつくほど魅力があるということです。

画像の手前に見えるシルバーの調整機能はクラブの座りを調整するものです。クラブを地面に置いて、手を離したときに、フェースがどっちを向くかをオープン、ナチュラル、クローズと2度ずつ調整できるのです。確かに、クラブを地面に置いたときに無意識にフェースの向きに影響を受けるという人は多いかもしれません。

ちょっと面白い機能で、細かいところに目が利くことで安心できるゴルファーは注目すべき所だといえます。なんやかんやで50球近くドライバーを打たせてもらいましたが、距離性能についてはトップクラスです。

もう一つ、特筆したいのは、直進性の高さです。僕はヒール目に当たった2球がややスライスで20ヤード右に、明らかにオーバースペックの重く硬いシャフトの一発目で左に引っ掛け気味で30ヤードずれた以外のボールは、全て狙ったところにドンピシャでほぼストレートなボールだったのです。これにはちょっとビックリしました。元々狙い取りに打てることには自信がありますが、こんなにぶれないことも珍しいからです。

青い未知の世界に誘うスプーン

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僕はフェアウェイウッドはスプーン(3番・15度)しか普段は使わないので、今回はスプーンだけを試打しました。“JPX900”のフェアウェイウッドは、15度の3番、18度の5番、21度の7番のラインアップです。重心位置を前後に動かせる機能はフェアウェイウッドにも搭載されています。

ドライバーと同様に美しいクラブです。構えただけで、ワクワクできます。曲線の頂点がそれぞれにどこにあるか、というのがウッド系のフォルムのチェックポイントの一つです。このフェアウェイウッドはそういう意味で完璧です。

打ってみて驚かされるのは「浮力」です。ボールがこれでもか!という感じで高く舞い上がります。それでいて距離的には普通のスプーンと同じぐらいは楽に飛びます。

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早速、重心ウェイトをフェース寄りに変更してもらいました。あきらかに着弾点は5ヤードから10ヤードぐらい遠くに行きますが、高さはあまり変わらない感じでした。

弾道の高さは好みの範疇で、かなりの上級者になると戦略として選ぶこともあります。スプーンの場合は、キャリーにプラスしてランでも距離を出すほうが良いのか、転がらずにキャリーしてできるだけすぐに止まるほうが良いのか、極端に分かれますが、“JPX900”のスプーンは後者寄りの味付けです。

フェアウェイウッドの調整機能はもっと重いウェイトを使わないと効き目が薄いのかもしれません。しかし、こういうイメージを信じられることも僕は機能だと思っています。ゴルフクラブというのは夢を具現化する用具ですから、心の小さな動きが、良くも悪くもボールを通して出てしまうからです。

スプーンはボールが上がらないから使いたいけど抜いているというゴルファーには、チャレンジしてみるべきです。助けになると思います。当てれば上がるというオートマチックな感覚は、他のフェアウェイウッドではあまりない感覚なのです。スプーンでも高弾道で飛ばす時代を先取りした1本といえるのかもしれません。

直進性とスクェアの融合したユーティリティは……

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“JPX900”のユーティリティは19度の3U、22度の4U、25度の5Uのラインアップです。調整機能はありませんが、打って驚いたことがあります。

まずは、打感が抜けるような感じで気持ちが良いことです。特にフェースの下目に当たったときの手応えとボールの弾道は完璧でした。そして、ある程度、高低の打ち分けもできることも好感を持ちました。

ロフトなりに飛びますが、残念ながら、それ以上は行かないという感触も確実に伝わりました。このクラブは、ユーティリティの宿命でもあるアイアンの延長線上にある位置付けで特化されています。飛びすぎもミスなのです。

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構えたときに丸いのですけど、スクェアを感じやすいフォルムになっています。目標にサッと迷いなくフェースを合わせられるのは、本当に魅力的です。

更に目を引くのは、フェースのスコアラインです。ヒール側の見え方などは面白いと思いました。邪魔をしないのです。それでいて、目標に構えるのにちゃんと機能しています。こういう細かいところまで作り込まれているのが良いです。

アイアンのようにポイントを狙って打てるユーティリティです。ロングアイアンの代わりとして、アイアンより1番手飛ぶという計算でセッティングできます。10球ほど打って、色々と違う弾道を打ったのに、全てが10ヤードの円の中にボールが行きました。上手にできているクラブだと感心しつつ、大人しすぎることが残念でなりませんでした。

2種類のアイアンは素っ気ないけど本格的

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“JPX900 フォージドアイアン“と“JPX900 スピードメタルアイアン”の2種類が発売されます。フォージドのほうは、ミズノの得意とする軟鉄鍛造で素材が軟鉄ボロン鋼になります。素材と製造方法の進化で、フェースを薄くしても強度を保てるようになったので、高反発フェースとして機能するということです。

PWのロフトが45度で、8番まで5度ピッチになっています。8番で35度のロフトですが、球の高さは番手なりの高弾道です。つまり、高いボールで飛んでいくけど、ちゃんと距離が出るというわけです。

こういうのはイメージであって、数値化できないのですけど、強いボールが打てることが好感触でした。かなり深いキャビティーバックなのに、構えたときのフェースの様子はそれを感じさせません。ミズノアイアンだなぁ、と安心してアドレスすることができます。

ミスヒットに関しては、深いキャビティーのアイアンらしくかなり助けてくれます。打感も打ち応えも、全く妥協を感じさせません。本格的なアイアンとの差はミスヒットしたときのボールの挙動だけだと思います。バランス良く出来ているアイアンです。

これから上手くなりたいという若いゴルファーにも、かつてはバリバリのマッスルバックを振り回していたけど衰えを感じつつあるオールドゴルファーにも、ボールを打つ楽しさを満喫させてくるはずです。

“JPX900 スピードメタルアイアン”は、ロフトに関してはフォージドアイアンと同じです。素材はステンレススチール(SUS630)で鋳造製法で作られていますが、深いキャビティーに見えるのですが、実はフレーム部分とかも中空のような構造になっているそうです。

その効果は強烈で前モデルの“JPX850 アイアン”よりも高反発エリアを50%も拡大したとのことです。難しいことは置いていて、それで現実はどうなるかというと、ミスヒットに強くて飛ぶということに結びつくわけです。実際に打ってみて、飛ぶアイアンだなぁ、と印象は持ちました。

ただ、単純に二つのアイアンを比較できないとも思いました。“JPX900 フォージドアイアン”は軽いシャフトを中心に3種類から選べますが、最も重いものでも106.5gのシャフトです。

“JPX900 スピードメタルアイアン”はミズノのオリジナルシャフト『MZ1190』という119gもあるかなり重いシャフトのみなのです。個人的には重さは気になるどころか、ちょうど良い感じで好感触でした。しかし、飛距離アップだけをだけ考えると、軽いシャフトのほうが有利な気がするのです。

価格設定が、“JPX900 スピードメタルアイアン”の長所でもあります。5本組みセット(6番~9番、PW)で上代75,000円+税と、安いのです。値段を見たときに、この値段なら1セット持っていても良いかもしれないと思いました。

実際に構えてみると、フォージドとは少し違って、深いキャビティーをフェースでも感じます。ネックに向けてのトップブレードに絞りが緩いからです。これは欠点ではなく、多くの深いキャビティーバックのアイアンでは普通のことです。こういう形状が好きだというゴルファーもたくさんいます。

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8番アイアンのソールを並べてみました。上が“JPX900 スピードメタルアイアン”、下が“JPX900 フォージドアイアン“です。特徴的です。スピードメタルは幅もあり平らなソールです。フォージドは今風の工夫が色々と見えるソールです。どちらも長所と短所があり、一概にどちらが優れているというものではないのです。

最初に説明した“JPX900 スピードメタルアイアン”はフレームが中空のようになっているという部分なのです。面積が大きいソールは重くなり過ぎて設計に限界がありますが、中空のようになっているのであれば問題を解消できます。ソールの面積が広いのに、本格的な打感や打ち応えがあるアイアンが欲しいゴルファーはけっこう多いのかもしれません。

飛ばすことが大好きなゴルファーはたくさんいます。ゴルフ歴が浅くとも特にドライバーが驚異的に飛ぶパワー自慢のゴルファーが増えました。ただ、残念なのは、アイアンが反比例するように下手くそな傾向があるのです。そういうゴルファーには“JPX900 スピードメタルアイアン”はドンピシャかもしれません。

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“JPX900”のイメージキャラクターになっているクリス・ウッドのデモンストレーションもありました。クリスは欧州ツアーを主戦場にしているワールドランキング31位(2016/10/16現在)のミズノの契約プロゴルファーです。2008年にプロ入りして、2009年の全英オープンで3位になって注目され、2013年に初優勝し、2015年、今年にも1勝ずつしました。先日のライダーカップにも欧州メンバーとして初参加して活躍しました。

“JPX900 ドライバー”を打ちました。練習場は230ヤード先からは林になっています。トラックマンで計測しないとわからないはるか先の林に着弾しました。

「309ヤードです」

トラックマンのデータが読み上げられます。注目のスピン量は最も少ないときで1800回転、多いときでも2000回転台でした。

一つの仮説なんですけど、ある一定の速度より速くフェースで捉えるとたわみ方が違うんじゃないかと…… とにかく、スッと飛び出してなかなか落ちてこない棒球で300ヤード越えを連発していました。ミズノの“JPX900”に対する本気度がわかります。

良い物だから売れるわけではないのがゴルフ用品ですが、本当に自信があるからこそ、気合を入れて発表しているのだという雰囲気が伝わりました。

個人的には、過去のJPXの中では最も好感触で、自分でも使いたいと思わせるクラブです。地面から打つものに関しては、コースで打たなければわからない部分があるので、できればコースで試打したレポートもしたいと考えております。

スペック

JPX900 ドライバー

★ロフト   7.5~11.5(1度刻みで調整可能)
★長さ    45.5インチ
★ヘッド体積 450cc
★シャフト  Orochi Blue Eye D (S/SR/R)
★金額    1本/70,000円+税

JPX900 フェアウェイウッド

★ロフト   #3 15/#5 18/#7 21
★シャフト  Orochi Blue Eye F (S/SR/R)
★金額    1本/35,000円+税

JPX900 ユーティリティ

★ロフト   3U 19/4U 22/5U 25
★シャフト  Orochi Blue Eye U (S/SR/R)
★金額    1本/28,000円+税

JPX900 フォージドアイアン

★ロフト   #4 21/#5 24/#6 27/#7 31/#8 35/#9 40/PW 45/GW 50/SW 55
★シャフト  Orochi Blue Eye I (SR/R)
★金額    6本セット(#5~#9、PW)/126,000円+税
       単品/21,000円+税
       N.S.PRO 950GH HT (S/SR/R)
       6本セット(#5~#9、PW)/114,000円+税
       単品/19,000円+税
       MODUS3 TOUR105 (S)
       6本セット(#5~#9、PW)/120,000円+税
       単品/20,000円+税

JPX900 スピードメタルアイアン

★ロフト   #5 24/#6 27/#7 31/#8 35/#9 40/PW 45/GW 50/SW 55
★シャフト  MZ-1190 (S)
★金額    5本セット(#6~#9、PW)/75,000円+税
       単品/15,000円+税

 

この記事を書いたライター

1965年生まれ。東京都文京区出身。板橋区在住。中1でコースデビュー。
競技ゴルフと恋愛に命をかけた青春を経て、ゴルフショップ、ゴルフ部コーチ、ジュニアゴルファー育成団体などで勤務しながらゴルフエッセイストになる。
ゴルフ小説、恋愛小説なども執筆している。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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