5代目『スリクソンZ-STARシリーズ』は驚きが詰まっているボール!
ダンロップスポーツが2017年2月10日に発売する5代目になる『NEW スリクソン Z-STAR』『NEW スリクソン Z-STAR XV』をいち早くゴルフコースに持ち込んで打ってきました。
二つの不安がありました。一つは寒い季節にテストしても、低温が原因で機能が損なわれることがあるということ。一つは、ツアー系ボールなので僕の42m/秒というヘッドスピードでは性能がわからない可能性があることです。
しかし、それらの不安は3ホールで完全に払拭されました。最初に実感したのは、両方のボール共に、抜群の飛距離性能を発揮するということでした。
新しいスリクソンZ-STARの共通点
個人的な印象ですが、ダンロップのボールは芯がわかりづらいと感じるのです。打ったときにクラブの芯とボールの芯が合わさったり、微妙にずらしたりした手応えが弱いのです。これは性能というより好みの問題で、インパクトは通過点だと考えるゴルファーには逆に違和感がなくて気持ちが良いという感触になります。
新しいスリクソンZ-STAR シリーズでも、この特徴は継承されています。打ったときに出る打音は高音で、かなり響くほうです。ツアー系ボールは、昔は打音が鈍く小さいほうが日本では好まれましたが、現在では弾道を見ずに、少し離れていても、良いショットは音でわかるというぐらいクリアな打音が好まれる傾向になっています。
新しいスリクソンZ-STAR シリーズも同様です。『スリクソン Z-STAR』は少し控え目ですが、『スリクソン Z-STAR XV』は大きめです。パッティングになるとこの差は大きくなるようです。
スタートホールは、『スリクソン Z-STAR』を打ちました。強くドローがかかって、左のラフに飛びました。少し弾道が低めな感じがしましたが、完璧なショットではなかったので気になりませんでした。
ボールのところに行って、あれ?と思いました。当たった感じからすると、もっと手前にあるはずなのに、先にボールがあったからです。この不思議な感覚は、2打目、3打目でも体験しました。真冬の寒い中で、距離は落ちています。それを差し引きしながら、2番ホールを終えて、3番のパー3でハッキリしました。
「このボールは飛ぶ……」
これも個人的な印象ですが、今までのスリクソン Z-STARはスピン性能は良いけど、飛ばないというものでした。ツアー系のボールの中では7番アイアンで5ヤードに満たないぐらいですが飛距離が劣ると思っていました。それを想定してテストしましたが、現在市場で売られているツアー系のボールの中でトップクラスに飛びます。
個人的には、過去のスリクソン Z-STARの中で最高の飛距離性能を持っていると確信しました。弾道が良いです。前に伸びていくのがわかります。プレーしながら、コレには興奮しました。宣伝は嘘ではないのです。
後半になって、『スリクソン Z-STAR XV』を使いましたが、こちらも同様に飛びます。スピン性能は相変わらずのトップレベルです。アイアンのフルショットでのスピンのかかりは絶妙です。効き過ぎずに、落ちたところに止まりますし、止まろうという意志すら感じることもありました。
特に、40ヤード以内の近い距離はフェースに乗って低くボールを打ち出す寄せが可能で、これには惚れ惚れします。自分のゴルフのレベルが上がったのだと勘違いしてしまいそうでした。
戸惑ったのは曲がり具合です。現在のボールの大きな特徴であり、ツアー系ボールもそういう傾向にあるのが『曲がらない』『曲がりにくい』という弾道ですが、新しいZ-STARが、先祖返りしたのかと驚くほど敏感に曲がります。
曲がり幅は大きくはありませんが、完全にストレートだと思ったボールも必ずどちらかに切れました。曲げようと思って打ったボールは全て自分の予想と感触よりも大きく曲がりました。これは、一概に悪いことではなく、使いようなのだと思いますが、他に類を見ない敏感さには戸惑う人も多いと思います。風の中での挙動に関しては、コースで試打した日が無風だったので確認できませんでした。
耐久性は上々です。二つのボールを交互に使うようにしてワンハーフしましたが、目立つような傷はできませんし、もうワンハーフしても問題ないという感じでした。以上が、新しいスリクソン Z-STARの共通点です。
基本性能で限界に挑戦しているダンロップスポーツの開発陣の意気込みを感じました。僕のヘッドスピード(42m/秒)でも十分に機能を感じることができますが、もっと速いヘッドスピードのゴルファーにしかわからない特徴があるのかもしれません。とはいえ、かなり広い層のゴルファーが使うという前提で新しいボールは上手にチューンされていることは間違いありません。
4代目のスリクソン Z-STAR シリーズはマークダウンして市場に出ていますが、間違えないように注意してください。最もわかりやすい見分け方は、ボールのポール部分(ブランド名のプリントを極にしたときに、赤道上にあるボールネームが線状にプリントされているところ)を見ることです。
ボールネームの両横にある矢印の形が違います。4代目のボールは白抜きの矢印ですが、新しいボールはシンプルな白抜きになっていない矢印となります。
スリクソン Z-STARは未知の領域に誘う
『スリクソン Z-STAR』は“抜群のスピンコントロールとソフトフィーリング”という説明の3ピースボールです。新しいスリクソン Z-STAR シリーズの2種類のボールは、同じ名前の兄弟ボールとは思えないほど違いました。
『スリクソン Z-STAR』は事前の説明やリリース資料から、ツアー系ボールの中でもかなり軟らかいのだと思っていましたが、想定したよりももっと軟らかいのです。打ち応えがないと書いてしまうとそれまでなのですけど…… 弱く感じるのですが、弾道は強いボールが出ますし、結果として飛距離も出るのは未知の領域だと思いました。
この軟らかさは、多くのゴルファーが使えるという意味では強烈な武器になります。契約プロの使用率や分布を見るとハードヒッターでも使用しているプロゴルファーもいますので、軟らかい=非力用という簡単なことではないと思います。
ダンロップスポーツがこのチューニングで『スリクソン Z-STAR』を出すのは、凄い勇気だと思います。他に比較がないほど徹底することは冒険でもあるからですが、それだけ市場に受け入れられるという自信があるということなのでしょう。
インパクトの瞬間に何とかしようということではなく、軌道上にボールがあってヘッドがそこを通過していくというイメージでボールを打つゴルファーには、自分専用に開発されたと信じてしまうほどの出来です。
スピン性能に関しては、トップレベルではありますが、バカみたいにスピンがかかるわけではありません。飛距離性能を犠牲にしない優先順位だったのだと推測しますけど、十分にスピンはかかります。
ちょっと気になったのは、パッティングの時です。打音が抑えめのような気がするのと、長い距離のパットを打つ時の弾き感が弱いと感じました。しっかりと打てるのであれば、何ら問題はありませんが、敏感な感性でアートなパッティングをするゴルファーには合わないような気がします。
他のストロークは、打感や感触と結果が違っていても、マイナスになるとは限りません。慣れてしまうことも短期間で可能かもしれません。しかし、パッティングは慣れるのに時間がかかり、その間の失敗体験は間違いなくパッティングの技術を心の中から浸食して衰えさせます。
これは好みの範疇です。昭和の時代にパット名人だったオールドゴルファーには、控え目な打音は懐かしい感覚かもしれませんし、打った感じが弱いボールが大好きだというゴルファーも少なからず存在します。
ボールナンバーが黒であることは、普通のことで違和感がなく使いやすいという人もいるでしょう。そういう見た目のチョイスも悪いことではありません。これも個人的な印象ですが、ボールの発色が『スリクソン Z-STAR』のほうが少し暗い感じがします。これも好みの問題です。
スリクソン Z-STAR XVは気軽に使えるけど怖いボール
“抜群のスピンコントロールと飛距離”というのが『スリクソン Z-STAR XV』です。外からは見えませんが、4ピース構造のボールです。松山英樹プロの2016年後半の大活躍の一因になったというストーリーを持っている『スリクソン Z-STAR XV』は、それだけで十分に魅力的だといえます。
ツアー系ボールで時々あるヘッドスピードが速くなければ使えないボールかもしれないという不安を持ちつつ、コースで打ちました。1発目で、それは杞憂だったとわかりました。
『スリクソン Z-STAR』を先に使って飛ぶという確認をしていましたが、僕のヘッドスピードでも『スリクソン Z-STAR XV』は飛距離性能を発揮します。ほんの少しですけど(7番アイアンで2ヤードぐらい)『スリクソン Z-STAR XV』のほうが飛びました。
更に弾道が『スリクソン Z-STAR XV』は綺麗です。打ったときに出る打音は、上手く当たったときには大きめで高い音がします。これは、かなり離れていても聞こえるレベルですので、上手く当たったかどうかを同伴競技者には耳でも教えることになります。
この打音が、弾道を綺麗に見せる効果があります。打ち応えとリンクするからです。事前に得ていた情報で、このボールはツアー系ボールの中でもかなり硬い部類に入ると知っていましたが、実際に打ってみると硬さはデータほどは感じられません。
『スリクソン Z-STAR』は打ち応えがないとはいえ、柔らかいボール独特の重さを感じますが、『スリクソン Z-STAR XV』は打ち応えはそれなりにあり、軽い弾き感もあります。こういう感触は好みだと思いますが、弾道と打ち応えがリンクするボールはあまりないので貴重です。
打ち出しの高さに関しても特徴的なことがありました。多くの多層ソリッドのボールは低い球を打つのに限界がありますが、『スリクソン Z-STAR XV』はこれでもか、というほど低い球に敏感に反応します。これは衝撃でした。ここまで敏感に反応する多層ソリッドのボールは打ったことがありません。途中から面白くて、アイアンで高低の打ち分けを色々とやって楽しみました。
たぶん、もっと速いヘッドスピードであれば、別の性能も出てくるのかもしれないと想像させましたが、自分ぐらいのヘッドスピードでも十分に使えるボールだと納得もしました。
松山プロがこだわったパッティングの際の打音ですが、これは普通のアマチュアでも確認することが可能です。僕は樹脂フェースのパターを使用しますけど、それでも高音な打音を十分に堪能できます。
人によって違うと思いますが、打音が高いボールは直進性が高く感じる傾向があります。ストレートに打ち出して、ストレートに転がりやすいイメージが作りやすいのです。練習グリーンでボールを転がしながら、真っ直ぐに行こうとする感触を確かめました。本番のグリーンでも、それに助けられてカップを外さないで良いラインは入りまくりました。
『スリクソン Z-STAR XV』のボールナンバーは赤です。昭和の時代には糸巻きボールが全盛で、同じブランドのボールでも複数のコンプレション(ボールの硬さ)を選んで買うことができました。そのときに、黒は硬く、赤、青は軟らかいという不文律があったのです。
だから、赤のボールナンバーを見ると、軟らかいというイメージが無意識に浮かぶオールドゴルファーもいると思います。それがあるので、赤のボールナンバーは嫌いだという人もいるでしょう。
僕はこの赤のボールナンバーは警告だと勝手に思っています。確かに誰にでも使える甘く優しいところがこのボールにはあるけれど、十分に注意しないと大恥をかきますよ、というようなメッセージを感じるからです。
『スリクソン Z-STAR XV』は発色が良いのも特徴です。色々なカラーが用意されていますが、ホワイトは青白く光るような塗装がしてあって、芝生の上でも目立ちました。1.5ラウンドしながら、ショートゲームで狙い通りに気持ち良く打てることに痺れて、『このボールは使用球にしても良いかも』とプレー中に何度も思いました。
問題は打ち応えの心細さと、曲がりに敏感なことです。どちらも、日本の伝統的なボールにかんしての味付けであり、ツアー系ボールの宿命であると、諦めて、慣れてしまえば良いだけなのかもしれません。
とはいっても、曲がりに敏感なのは気になります。曲げたいときはありますけど、曲がりすぎるミスはできればしたくありません。結論は先送りにしました。こういうことは滅多にないことです。『スリクソン Z-STAR XV』の完成度の高さを裏付けるエピソードです。
まとめ
『NEW スリクソン Z-STAR』が合っている人は以下のような人だと思われます。
●ツアー系のボールでも飛ばしたい
●スピンがしっかりかかるボールが好き
●軟らかいボールが好き
●控え目な打音を好む
●色々な球筋をしっかりと打ちたい
●高齢者や女性まで、ツアー系のボールを使いたい
『NEW スリクソン Z-STAR XV』が合っているのは以下のような人だと思われます。
●松山英樹プロと同じ感触を味わいたい
●しっかりした打ち応えが好き
●綺麗な弾道を描くボールが好み
●打音が大きめで、高くて澄んでいるのが気持ちが良い
●スピンがある程度は効いて欲しい
●飛距離性能に優れているボールを選びたい
●ストレートラインのパットが得意
スペック
スリクソン Z-STAR
★構造 ウレタンカバー3ピース
★カバー 高耐久0.5mm極薄スーパーソフトウレタンカバー
★ミッド 高反発アイオノマー極薄ミッド
★コア スーパーソフト E.G.G. 大径コア
★ディンプル 強弾道338スピードディンプル
★コーティング Spin Skin コーティング
★カラー ホワイト、プレミアムホワイト、ロイヤルグリーン、プレミアムパッションイエロー、プレミアムパッションオレンジ
★ボールNo. 1,2,3,4,5,6,7,8
★価格 オープン
★発売日 2017年2月10予定
スリクソン Z-STAR XV
★構造 ウレタンカバー4ピース
★カバー 高耐久0.5mm極薄スーパーソフトウレタンカバー
★ミッド 高反発アイオノマーミッド
★コア 高反発 E.G.G. 大径2層コア
★ディンプル 強弾道338スピードディンプル
★コーティング Spin Skin コーティング
★カラー ホワイト、プレミアムホワイト、ロイヤルグリーン、プレミアムパッションイエロー、プレミアムパッションオレンジ
★ボールNo. 1,2,3,4,5,6,7,8
★価格 オープン
★発売日 2017年2月10予定