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ダスティン・ジョンソン驚異のスイングが奇跡を起こす。433ヤードのミドルでホールインワン!?

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世界が息を呑んだショット

スーパーショット動画の衝撃は瞬く間に全米のメディア、世界のファンを騒然とさせました。アメリカのゴルフウィーク.comは「ダスティン・ジョンソン…言葉が出ない」と速報。スポーツイラストレイテッドは「なんてことだ!」のタイトルに「ジョンソンは強烈なドライブを放ち、パー4のホールインワンまで数インチに迫る」と特集しました。

前年のツアー優勝者のみが出場できるセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(1月7日)最終日の12番、打ち下ろしの433ヤード、パー4でスーパードラマが生まれました。高台のティグラウンドで慎重に構えたジョンソンが豪快にドライバーを振りぬきます。スイングが風を切る音までカメラに捕らえられ、ボールは潰されるかのような音を立てて、アッという間にフェアウェイ左方向に消えて行きました。

下り傾斜で弾んだボールはそのままグリーンに届き、そればかりか止まる気配がなく、5メートル、10メートルと転がりました。その先にはピンが。ギャラリーが興奮して沸き立つ中、まさにラインに乗って一直線に進んだボールはピン手前わずか15センチで止まりました。同時にコース全体がこのスーパーショットに酔いしれました。さらにツイッターで速報された動画で興奮は世界に広がったのです。

世界ランキング1位の貫禄

今大会、2位に2打差の単独首位で最終日のスタートを切りました。前半からピンに絡むショットで前半で4バーディー。そしてこの12番でタップインイーグルを決めて独走態勢に。

「ボールが落ちるところまでは見えていた。どのように弾むかが大事だと思っていたけど、良い球筋だったので大丈夫だろうと思ったけど、タップインだとは思わなかった。このショットは100%で打ったわけではないし、90%ほどだったから」(ジョンソン)。

その後も手を緩めることなく14番からは3連続バーディーと、結局最終スコアを24アンダーとし、2位に8打差で今シーズン初勝利を飾りました。2017年シーズンを世界ランキング1位で終えた実力を遺憾無く発揮したジョンソン。なんといっても193cmの長身から繰り出される豪快なドライバーが持ち味で、シンプルながらジョンソンでしか成し得ないロングドライブを見せてくれます。

RBC Canadian Open - Round Three

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スクエアで長いインパクトゾーン

ジョンソンのスイングの特徴はダウンで早めにフェースをボール方向に向け、このスクエアにしたフェースを長いインパクトゾーンでキープさせていることです。

かなりのフックグリップのアドレスで、手首を使わないバックスイングからトップでクローズ(シャット)フェースとし、面は真上を向くほどです。このトップでひねった体を元に戻すシンプルスイングなのです。

トップからダウンへは、意識として左手甲がスイング中にずっと目標方向を向き続けます。右腕もトップのポジションのように曲がったままインパクトを迎えます。右ひじが伸びてしまうとフェースが返る動きに加速度がついてしまい、左に引っ掛けてしまいやすくなるリスクを無くしています。

Wells Fargo Championship - Round Three

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一般のアマチュア向けのスクールでは、両腕を返す動き、つまりアームローテーションのスイングを教えていますが、現在PGAツアーのプロ達はこのようなインパクトをしていません。左手甲をまっすぐ押し出し、ヘッドを上方へ向けていくフォローを意識をすることで、フェースがスクエアのままボールを長く押し出すインパクトをします。

現代のクラブは重心深度が深く重心距離も長い大型ヘッドが主流です。この慣性モーメントをフルに生かすには、手首を返してパチンと打つより、ボールを長く押し出すことで大きなパワーが生まれます。そのために圧倒的な飛距離が生まれ、方向性も良くなります。

その長いインパクトゾーンのNO.1の使い手がダスティン・ジョンソンなのです。さらにジョンソンは左手を返さないで左腰を切り、両手が通る懐を作りながら上体の回転スピードでボールを捕まえていきます。

セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズではジョンソンを含め、ジャスティン・トーマス、ジョン・ラームや松山英樹など10人が400ヤード越えショットを飛ばしました。今や、メジャーは300ヤード時代から400ヤード時代を迎えています。その旗手がジョンソンです。

改めて、ジョンソンのスイングを動画で見てみましょう。長いインパクトが良くわかるでしょう。

ジョンソンのアドバイス

ジョンソンはスイングを改造してきました。その中でジョンソン自身、重要な秘訣を3つ紹介しています。彼のコーチであるブッチ・ハーモンも指摘している、やってはいけない3点です。

①両腕を放り投げる

右サイドにタメを作り、ダウンスイングで両腕を放り投げるようにすると、腕手動になりインパクトでのタイミングが難しくなります。ダウンスイングで両腕を身体全体と一緒にローテーションさせることで、ミスがなくなります。この時、インパクトで左手甲が目標を向いていることが重要です。

②クラブを持ち上げる

テイクバックの時に両手、両腕を上に上げる急な動きは、肩のターンと腕の振りの動きが切断され、ダウンスイング後半で再度腕の振りの動きをボールに向かわせる必要があります。スイングは肩からスタートさせ、クラブヘッドは目標のややインサイドで低い位置をキープされます。両手はクラブを支えるだけです。

③後ろ側のヒザを伸ばす

後ろのヒザを伸ばすと、腰が回転しすぎるので肩のターンが終了しても両腕がターンし過ぎてオーバースイングになります。右ヒザを曲げたままにすると、バックスイングで腰の動きが制限され、肩のターンと両腕の振りが同期して連携します。

Wells Fargo Championship - Preview Day 3

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小技にも磨きがかかる

もちろんジョンソンの武器はドライバーだけではありません。ショートアイアンも磨いてきたことが、世界ランク1位を続けている強みです。ジョンソンはショートゲームの調整にもかなりの時間を練習してきました。その結果、9番アイアンからロブウェッジまで各クラブで3つの距離を打ち分けられるようになりました。彼が95%の確率で思い通りの飛距離を出せるようになった練習方法を紹介します。

各クラブのボール位置はほぼ両足の中間。フェースは目標にスクエアに構え、スタンスはややオープン。フェードを打つ意識でスイングするとフェース面をスクエアに維持できます。

バックスイングはハーフ、スリークォーター、フルスイングを使い分けます。強さではなくスイングの大きさを変えます。スイングの大小にかかわらず、ダウンスイングは同じペースでターンしてインパクトを迎えます。リストはあまり使いません。小さなスイングでもフィニッシュはフルスイングと同じように大きくフォローします。スイングを途中で止めると、飛距離のコントロールは難しくなります。

ジョンソンのクラブセッティング

2007年にプロ入りして以来、ジョンソンはテーラーメイドのツアースタッフとして、ドライバーのフラッグシップモデル9本を使ってきており、現在はM4をバッグに入れています。奇跡のティーショットもこのクラブから生まれました。ドライバー技術の改良とともに、ジョンソンのクラブセッティングも改良されてきましたが、シャフトのフジクラ「スピーダー」だけは大学時代から変えられていません。

【ドライバー】テーラーメイド M4(9.5度)シャフト:フジクラ スピーダー661 エボルーション2.0 ツアースペックX

【フェアウェイウッド】3番:テーラーメイド M4 フェアウェイウッド ロフト: 16.5° シャフト: Project X HZRDUS Black 6.5 (95X)

【アイアン】テーラーメイド P-790、テーラーメイド P-730 DJ Proto (4I-PW)

シャフト: True Temper Dynamic Gold Tour Issue X100

【ウェッジ】テーラーメイド Milled Grind ロフト: 52°、60° シャフト: KBS Tour Black 130X

テーラーメイド Hi-Toe ロフト: 64° シャフト: KBS Tour Black 130X

【パター】テーラーメイド Spider Tour Black

【ボール】テーラーメイド TP5x

(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。

シーズン最多勝も

2016 Ryder Cup - Singles Matches

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スーパーショットの衝撃を伴った初優勝で、今季のジョンソンの活躍がますます注目です。プロ入りからジョンソンを見守っているテーラーメイドのツアーオペレーション部門のバイスプレジデント、キース・スバーバロ氏はすでに昨年から「ジョンソンはあのスイングだけですでに大きな強みを持っている。フェースをスクエアにしたまま、あれほど遠くまで飛ばせるという点において、おそらく彼は最高のドライバーショットの持ち主だろう。これまでツアーで戦ってきたプロの中で、最長、かつ最もストレートなショットを打つことができる」と今年のさらなる活躍を予言していました。

もはや成熟さを感じさせる33歳。これまでのシーズン最多勝は2000年、タイガー・ウッズの9勝。まさに、ジョンソンは大記録に向かって歩み始めました。

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