アイアン型ユーティリティ TW-U は熱い!
“TOUR WORLD TW-U FORGED”は、見た目は大きめのヘッドの普通のアイアンですが、中空構造の軟鉄鍛造アイアンです。中空構造で重量を減らした分をタングステンのネジ型ウェイトを左右に配置しています。
初代のアイアン型ユーティリティに比べると、ヘッドの長さが短くなり、よりシャープな小顔アイアンになりました。
単なるロングアイアンの代わりではない!
“TOUR WORLD TW-U FORGED”で最初に感じたのは小顔で構えやすいということでした。
ユーティリティの欠点の一つは、目標に向かって構えづらいことです。もちろん、そのマイナスは全てのユーティリティというわけではなく、そういうクラブが多いということなのですが、目標に向けてアドレスできないクラブは、本番でプレッシャーがかかるほどミスをする確率を上げる不安要素になるので注意が必要です。
トップエッジが厚いことを嫌がるゴルファーもいますが、中空構造だからの厚みであり、上級者の中には吹き上がらないイメージと機能がリンクするので、トップエッジが厚いアイアンを好む人がいます。
“TOUR WORLD TW-U FORGED”は、ツアープロのリクエストを徹底して具現化したクラブですので、トップエッジは別としても、フェースもシェイプも通好みにできています。
試打用に借りたクラブは、カーボン製シャフトで、オリジナルの『VIZARD IB95』のSシャフトが装着していました。このシャフトは、昨年の秋にユーティリティを打ったときに、余計なことを一切しない無骨なことが好印象でした。95gという重さも丁度良いのです。
番手は3番アイアン相当ということで3が刻印されています。ロフトは21度です。
まずは、フェアウェイから使ってみました。打感は中空ヘッドで感じやすい強く弾く感じではなく、ややソフトでボールが一旦、フェースでつぶれている感じがします。
強い弾道です。ボールは吹き上がらず、やや低めな感じで飛んでいきました。ほぼストレートに飛んで、狙った所に止まったように見えました。
次のホールでは、ティーアップして第一打目を打ちました。意識して高い球を打とうと思いました。打ち出しは高くなりましたが、ウッドで打ったような棒球で高さはあまり高くならずに飛んでいきました。
色々なシーンで打ってみて、最も驚いたのは、ラフからのショットです。フェースの長さが短いせいか、きれいに抜けるのです。また、芯を外して打ってしまったときに距離があまり落ちないことも好感触でした。
すぐにわかったことは、単純にロングアイアンの代わりとして選択するのは危険だということです。ミスの許容範囲は広めで易しいのですが、ボールにあまりスピンがかからない特性があるようなので、目的が合致しないと狙い通りにボールを運べないクラブになってしまいます。
熱意系ゴルファーが安全に狙うための1本
普段3番アイアンを使わなくなって久しくなりました。4番アイアンは使っていますので、その飛距離から想定して3番アイアンは175ヤードをキャリーだと考えると、“TOUR WORLD TW-U FORGED”の3番は180ヤードのキャリーは出ていたので、飛距離性能は文句なしです。
注意したいのは、スピンがあまりかからないことです。ボールは落ちてから転がります。つまり、トータルの距離は僕でも190ヤードを越えています。グリーンを狙うショットの場合は、花道などを使わないと、良くてグリーンの奥、下手をするとグリーンをオーバーすることになります。
ただし、この問題は、僕のヘッドスピード(ドライバーで42m/秒程度)が原因である可能性があります。もっとパワーがあれば、全く結果が変わるような気がしました。
ツアープロのために作り込んだクラブでは、時々、こういうことがあります。全てのゴルファーが使えるようになっていないところが、機能の証明になることもあるのです。名器と崇められるクラブの中にも、そういうクラブは存在します。始めから、アイアン型ユーティリティを使おうと考えるゴルファーは特殊だと想定したとすれば納得できます。
諸々の可能性を考えならラウンドをしつつ、“TOUR WORLD TW-U FORGED”を使いました。スピン量を増やす意図で、ロングアイアンでは基本的にはしない打ち込むという方法も試しました。ソールの厚みもあるので、これが気持ち良く抜けるのです。
ソールが跳ねると言い換えても良いかもしれません。結果は、望むようなものではなく、無理をした分、少し飛距離が落ちるというものでした。
熱意系ゴルファーのためのアイアン型ユーティリティである“TOUR WORLD TW-U FORGED”は、具体的にどんなゴルファーに合うのでしょうか?ヘッドスピードが46m/秒以上で、しっかりと芯に当てられるゴルファーにオススメです。
僕もかつて50m/秒近くヘッドスピードがありましたが、飛距離を稼ぐためのクラブが高い球になって距離をロスしたり、風が吹くと影響を大きく受けたりすることが多々あり苦しみました。ロングアイアンも易しくなる傾向にあり、ユーティリティやショートウッドも同様の傾向があります。
そういう中で、思いっ切り振っても吹き上がらない球がオートマチックに打てるクラブが欲しいというゴルファーもいます。それこそが、熱意系ゴルファーの真ん中にいる人たちなのかもしれません。
スピンがかかりづらい機能は、同時にボールが曲がりづらいという利点にもなります。これも使いようによっては、安心感を倍増させるのです。曲がらないから狙えるという単純さと、構えやすさがリンクすることで力は発揮されます。
“TOUR WORLD TW-U FORGED”は、熱意系ゴルファーのロングゲームを楽にするための1本です。全く逆で、非力ながら確実に芯に当てて、低い球で転がしてコースを攻略するゴルファーにも良いかもしれません。
吹き上がらないボールを打つスイング理論はありますが、実践するハウツーは乏しいのが現状です。そういう部分を用具で解決するのは、古今東西賢いゴルファーのセオリーなのです。
20世紀末。『いつかは本間』と憧れの的だったクラブは、21世紀になってもスペシャルな輝きを放っています。“TOUR WORLD TW-U FORGED”は、そういう意味で魅力に溢れるクラブです。
スペック
TOUR WORLD TW-U FORGED
★発売日 2017年7月6日
★番手・ロフト #2/18° #3/21° #4/24° #5/27°
★シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 (硬度 S) ※3は乗数
VIZARD IB (硬度SR、S、X 重量IB85、IB95、IB105) ※硬度SRはIB85のみ)
★価格 N.S.PRO MODUS3 TOUR 105 ※3は乗数
1本 22、000円+税
VIZARD IN
1本 28、000円+税
VIZARD IB
1本 29、000円+税