初心者が知って得するゴルフのマナー実践編(3)~トラブル時~
前々回、前回に渡って、ゴルフのエチケット&マナーのお話をさせていただきました。
もうおわかりいただけたでしょうか。
ゴルフのマナーの基本は、コース上にいるすべてのプレーヤーが、プレーに集中できるような気遣い、けがをしないための配慮、気持ちよくプレーできるようにする心配りを、当たり前にするだけ、といえます。
ラウンドを楽しむために自分がされたら嬉しいことを、相手にも思いやりを持ってすればいいだけなのですね。
同伴者に「次も一緒に回りたい」と思ってもらえるゴルファーを目指していきましょう!
今回は、初心者が同伴者と1日ラウンドを楽しむために実践したい、トラブル時のマナーについてお話します。
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目次
トラブルショットに備えるため、ショットはしっかり見守る
同伴者とは、まる1日ゴルフコースを一緒に回る運命共同体です。同伴者がボールを打つ時は、おしゃべりやよそ見などせず、しっかりとボールの行方を見守ることがマストといえます。
同伴者の打ったボールがフェアウェイ(芝生が短く刈られたボールの通り道。ボールが打ちやすく転がりやすい)をキープするショットであれば「ナイスショット!」と声をかけ、さっさと前進するのみですが…。
もし、ラフ(フェアウェイよりも地面が荒れていたり、芝生の背丈が不ぞろいな場所。ボールが打ちにくいことが多い)や林に打ち込んでしまった場合、一緒に探すことがマナーです。
そのためにも、ボールの行方を目で追いかけ、おおよその位置を把握しておく必要があります。
また、OBエリア(プレー禁止区域。白杭や白線の外側)やロストボール(打ったボールを探しても見つからない場合、紛失球となる)の可能性がありそうな場合は、同伴者が全員打ち終わったあと、暫定球(ボールの位置を確認する前に、仮に同じ場所からもう1球)を打っておく必要があります。
それを見極めるためにも、同伴者のショットは皆で一緒に見守って、プレーファーストにつなげましょう。
せっかく一緒にラウンドするのですから、自分のことだけに夢中になるのではなく、他の人のショットにも関心を持って、楽しく回りたいものですね。
前組や隣のホールに打ち込んだら、まず大声で「フォアー!」
もしゴルフボールがぶつかったら、たいていの人は痛いだろうと予測がつくと思います。
ゴルフボールが飛んでくる速度は、なんと時速200km程にもなるそうです。時速200kmというと、東京⇔新大阪間の表定速度(平均速度)と同じくらい。ぶつかれば単純に「痛い」だけでは済まない、取り返しのつかない大事故になり得る速度です。
前の組への打ち込みは、故意にしたものでなくても、もっとも危険で嫌われる行為です。
ボールを打つ時は必ず、自分の最大飛距離以上、前の組が先に進んだのを確認してからショットします。
また、いつもは出ないような想定外のナイスショットで飛距離が出てしまったり、強い追い風に乗って打ち込んでしまったとしても、結果は判断ミス以外の何物でもありません。
充分に観察し、想像力を膨らませて状況を見極めてから打つことを心がけ、絶対に打ち込まないように注意を払いましょう。
万が一、前組や隣のホールなど、人がいる可能性がある場所に打ち込んでしまったら、まず「フォアー!」の一声で危険を知らせることが責務です。「フォアー!」は打球事故を防ぐ世界共通用語で、ゴルフ場で唯一出していい大声です。
そして、その場ですぐに「すみません」と言葉をかけたり、頭を下げるジェスチャーで謝罪の気持ちを表し、できるだけ速やかに相手の組まで行き、帽子を取って直接謝罪しましょう。
隣のホールは、その時そこでプレーしている組に優先権があるので、プレー中であれば邪魔にならないように待ちます。
状況を見ながら、タイミングを見計らって帽子を取って謝罪し、その組の人に許可を得て入ります。元のホールに戻せるようなクラブを2~3本持っていきますが、多くの場合は、林を越えて戻す必要があるので、高い球を打てるウェッジなどを含めましょう。
ボールを確認し、自分たちのホールにボールを戻したら、帽子を取ってしっかりとお礼をしてから、足早に出ましょう。
お互いの打球事故を防ぐためにも、ラウンド中はおしゃべりに夢中にならず、周囲からの声にも注意しましょう。「フォアー!」の声が聞こえたらすぐに頭を覆い隠し、声の聞こえる方向を確認することが不可欠です。
ラフや林などのトラブルショットマナー3箇条
1.ボールを探す時間は5分以内
ラフや林などでボールを探す時間は、5分を限度として、同伴者全員で探します。見つからない場合は潔くあきらめ、ロストボールと判断します。これはルールでもきめられています。
ただし、前のホールが空いたり、後続の組が詰まってきたら、残り時間があったとしても「お先にどうぞ」とパスさせましょう。
2.クラブは2~3本持っていく
林やラフにボールを打ち込んだ場合、芝生の深い位置に沈んでいたり、土が露出している場所に留まっている可能性があります。ボールの状況を確認してからカートへ取りに行くと時間のロスになるので、どんな状況かシミュレーションして、使いそうなクラブを2~3本持っていくことがマナーといえます。
3.意思表示をしてから打つ
林の中や斜面の下、深いバンカー(砂でできた窪地)からのショットで他の人が見えない場合は、打つ前に必ず、「打ちます」と意思を伝えてから打つようにします。
また、林の中から打つ場合、直接ピンを狙えないことがあります。やむを得ず横方向に出すときは、打つ方向を知らせてから打つことも打球事故を防ぐマナーといえます。
バンカーは低い位置から入り、出る時は平らにならす
ゴルフコースには必ずバンカーがあり、入ってほしくないと思うほど、吸い寄せられるようにはまってしまうものといえます。
バンカーに入ってしまったら、ボールに近くて低い位置から立ち入ります。この時、バンカーレーキ(バンカーを平らな状態に戻す、熊手のようなT字の道具)を持っていき、自分の近くに静かに置いてからショットします。ショット後は、バンカーレーキでボールの落下跡、ショットの跡や自分の足跡を平らにならし、入った時と同じルートで出るのがマナーです。
次のプレーヤーのために入念にならす習慣は、自分がバンカーにボールを入れてしまった時、その大切さが身に沁みます。
使い終わったレーキは、元の場所に戻してから先に進みますが、基本的にはグリーンに向かって縦方向に置いておくと邪魔になりにくいといえます。ゴルフ場によって置き方が異なる場合もあるので、スタート前に確認しておくと安心ですね。
ビギナーはギブアップも必要
初めてゴルフコースを回るとき、自分の力量ではリカバリーできない状況に陥る場合があります。プライベートのラウンドであれば、スロープレーとなって後続の組に迷惑をかけないために、ギブアップすることもマナーのひとつといえます。
正式なルールではありませんが、そのホールのパーの3倍叩いたらギブアップ、というのが一般的に多いようです。そのほかにも、バンカーは3回失敗したら、グリーンは4パットまででギブアップするなど、臨機応変な対応を心がけることが必要といえます。
しかし意識すればするほどバンカーに入れてしまう私は、コースの設計って巧みにできているものだなーと、つくづく感心しています…。