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ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる⑭~人生で最高の誕生日プレゼント!~

あなたがもらった誕生日プレゼントで一番嬉しかったものはなんですか?

そう言えば、と思い出してみると子供のころにもらったモノが頭に浮かんできませんでしたか?男の子であれば小学生になって初めての誕生日に買ってもらったグローブや、女の子だったらお人形などが強く印象に残っているかもしれません。

大人になってからも家族や知人から誕生日に贈り物をいただく機会はあるでしょう。でも、子供の頃に抱いていた誕生日プレゼントへのワクワク感は大人になるにつれて少しずつ薄れていってしまうものです。

ヨーロピアン・ツアーの上品な遊び心に触れる第14弾の主人公は、ゴルフ大好きちびっこのアーロン君。この日はアーロン君の9歳の誕生日。アーロン君は熱狂的なヨーロピアン・ツアーのファンなのですが、その中でも特に大好きな4人の選手がいることをお父さんは知っていました。

アンドリュー“ビーフ”ジョンストン選手
ジャスティン・ローズ選手
ヘンリック・ステンソン選手
マーティン・カイマー選手

そしてお父さんは前もってヨーロピアン・ツアーに依頼をし、アーロン君に生涯忘れることのできない素適なプレゼントを準備していました。それは、私たちにも子供の頃の気持ちを優しく呼び起こしてくれる素敵なサプライズでした。

人生で最高の贈り物

この日、アーロン君はお父さんとBMW PGA Championshipが行なわれるWentworth Clubへと向かおうとしていました。ゴルフが大好きなアーロン君はヨーロピアン・ツアーのトーナメントに行けるだけでも大興奮です!アーロン君は、ウキウキしながら待ち合わせの場所でお父さんとお迎えの車を待っていました。

すると、そこへ彼らを迎えに来たのはなんとアーロン君の大好きな選手の一人アンドリュー“ビーフ”ジョンストン選手でした。

「ウェントワース・クラブに行くんだろ?だったら、送っていくよ!」

アーロン君は突然の出来事に空いた口がふさがりません。後部座席に乗り込んだアーロン君の目がキラキラと輝きだします!

「今日はアーロン君の誕生日なんだろ?これは、僕からのプレゼントだよ」

“ビーフ”からキャップを受け取ったものの、まだ緊張気味なアーロン君は小さな声で“ありがとう…”と言うのが精一杯です。そんな、アーロン君の緊張を察して“ビーフ”がアーロン君にプレゼントのお返しを要求します。

「お返しに、大きな声で僕の応援してくれないか?」

少し緊張していたアーロン君も、ここは気合を入れて叫びます!

「ビ~フ!」

「ワハハッ!こんなに、大きな声で応援してもらったのは初めてだよ。次は一緒にいくぞ!せーの!」

「ビ~フ!」

ドライブの途中に“ビーフ”がアーロン君に尋ねます。

「君もいつかはヨーロピアン・ツアーでプレーしたいのかい?」

アーロン君は答えます。

「はい」

「僕も子供のころは、君と同じでゴルフが大好きだったよ。だれでも頑張れば夢は叶うんだよ」

ジャスティン&ヘンリックの登場!

ゴルフ場へ向かう途中で“ビーフ”の電話が鳴ります。

「おはよう、ビーフ!」

「おう!どうした?!」

「今日は、俺も拾ってくれるんだろ?」

「もちろんさ、今そっちに向かっているところだ」

後部座席で会話を聞いていたアーロン君がソワソワし始めました。どうやら、まだ他の人がこの車に乗ってくるらしい。まさか…。

“ビーフ”が車を止めると、その車に乗り込んできたのは、なんとジャスティン・ローズ選手でした!やっと“ビーフ”に慣れたばかりなのに、リオ・オリンピックの金メダリストがアーロン君の隣に乗り込んできます。

「こんにちは、僕はジャスティンだ」

「ハイ…」

またしても、アーロン君は緊張してしまいます。そこで“ビーフ”が助け舟を出します。

「ジャスティン!今日はアーロン君の9歳の誕生日なんだよ」

「マジかよ!おめでとう!それにしても、スゴイ誕生日だね。“ビーフ”がゴルフ場まで送ってくれるなんてさ!」

「うん」

アーロン君はまだ緊張していて、黙ってうなずくのが精一杯。そこをローズ選手がたたみかけます。

「ああ、そうだ“ビーフ”。言い忘れていたけど、ヘンリックも乗せてって言ってたよ」

「OK、任せておけ」

そこで、アーロン君の瞳が嬉しさのあまり、輝きを増します!

―ヘンリック?!まさか?!

そう、その“まさか”です!次に“ビーフ”がピックアップしようとしていたのは、昨年の全英オープンチャンピオン、ヘンリック・ステンソン選手だったのです!

ヘンリックの所へ向かう道中、ローズ選手がアーロン君に質問をしました。

「君の好きな選手は誰なんだい?」

「えっと、あなたと“ビーフ”とステンソンとカイマーです」

「ほんとに?!嬉しいね!」

そうこうしているうちにステンソン選手の所へ到着です。ステンソン選手は車に乗り込む時に、アーロン君に頼みごとをします。

「すまないけど、少しこれを持っていてくれないかな?」

緊張気味のアーロン君は、小さな声で“ハイ”と答えて“ソレ”を受け取ります。ステンソン選手が無造作にアーロン君に預けたものは、全英オープンの優勝カップ“クラレット・ジャグ”でした。

すると、ローズ選手も負けじとポケットから何かを取り出します。

「これは去年のオリンピックで貰ったものだよ。ヘンリックも同じ形のものを持っているけど、色が少し違うんだ」

コレにはステンソン選手も苦笑いです。ステンソン選手もリオ・オリンピックに出場していて、銀メダルを獲得していましたね。

右にローズ選手、左にステンソン選手、運転手は“ビーフ”、知らないうちにアーロン君にとって夢のような空間が出来上がりました!そして、膝の上には金メダルとクラレット・ジャグ。アーロン君の想像を遥かに超えた夢のような情況に、頭の中はパニックです!

そんなアーロン君に気を使ったローズ選手が“ビーフ”に注文です。

「ビーフ!なんか音楽でもかけないか?」

「了解!」

“ビーフ”とステンソン選手、そしてローズ選手と一緒に音楽をノリノリで楽しんでいると、車がウェントワース・クラブに到着しました。

お出迎えはマーティン!

そして、車がゴルフ場に到着すると、ドアを開けてくれる人がいました。

「お誕生日おめでとう!」

「ありがとう!」

マーティン・カイマー選手がアーロン君をハイタッチでお出迎えです!さあ、これで役者は揃いました。

「アーロン、18番ホールでパットでもしてみるかい?」

ここでも、大好きなカイマー選手と会ってアーロン君は緊張を隠せません。

「いずれ、君も自分の力でここに来るんだろ?」

アーロン君が、5フィートのパットに挑戦します。パットは入りませんでしたが、最後は5人で記念撮影をして、アーロン君のハッピー・バースデイ・サプライズは無事終了となりました。

グリーンを後にして夢の世界から現実に戻る時、アーロン君がお父さんにつぶやきます。

「これまでにお父さんがくれた中で、最高のプレゼントだったよ!」

まとめ

アーロン君は、この日の事を生涯忘れることはないでしょう。そして、できればアーロン君が次の世代に夢を与えられるようなプロ・ゴルファーへと成長して、ウェントワースへ戻ってきてもらいたいものです。

それにしても、アーロン君はプレゼントを嬉しそうに受け取る天才ですね!あんなにキラキラした目で感謝を表現してもらったら、お父さんもサプライズを仕掛けた選手達も嬉しくなってしまいますよね。

誰かからプレゼントをいただく時に、アーロン君のように素敵に嬉しさを表現できるような心を今一度持ってみたいと思ったのは筆者だけでしょうか。

(完)

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