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ゴルフの常識「ヘッドアップはダメ」って本当なの?

ゴルフスイングの基本として「頭を動かしてはいけない」「ボールから目を離してはいけない」と教えられたことはないでしょうか?

コースや練習場で「ヘッドアップしてるよ」と言われると、気になって1ミリたりとも頭を動かさないようにしてしまい、かえってスイングが乱れてしまいミスショットを連発!

ゴルフの常識「ヘッドアップ」ですが、実は意外に知られていないことがあります。そこで今回は「ヘッドアップNG」についてご紹介をしたいと思います。

ヘッドアップはNGなの?

ヘッドアップは「ボールから目が離れるからダメ」と考えつくゴルファーは、たぶん野球経験者じゃないでしょうか。多くの指導者は、ピッチャーが投げたボールを確実に捉えるために「最後まで目を離さずにボールをよく見ること」と、インパクトまでの大切さを教えていますよね。

ところがゴルフはボールが止まっているので、動かないボールを見ていなくても位置に変化はありません。つまり見つめることに効果は期待できないのに、なぜかずっと昔からヘッドアップはミスショットの原因とされています。

実はこの「ヘッドアップNG」は、神様と言われた名プレイヤーの名言を勘違い解釈し、それが語り継がれた結果生まれたものです。ですからボールから目を離してもミスショットには繋がらないと思います。

パットは耳で聴け!

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パッティングの神様と言われたジャック・ホワイトは、1904年の全英オープンで史上初の300ストロークを切って優勝しました。その要因は神がかり的なパッティングにあったとされています。

彼はパッティングの名手らしく「耳でパットせよ」と名言を遺しましたが、「ボールがカップに落ちる音を聞くまで顔をあげるべきではない」と、まさに“ヘッドアップに対する戒め”と解釈した人がいたわけです。

この名言の本来意味するところはパッティングスタイルを指したものではなく、「急いては事を仕損じる」というゴルファーの極意を伝えたものです。ところが著名ライターのグラントランド・ライスという人物が、「耳でパットせよ」を「ヘッドアップは禁物」に解釈変更して拡散してしまったわけです。

彼はヘッドアップに対して「ゴルフで最も重要なのに、最も守られていないのがボールから目を離していることだ」と表現し、ボールのあった位置を最後まで見ていることがパッティングの基礎的な技法と位置付けました。

その後も多くのゴルファーが拡大解釈していき、いつしか精神的な格言だった「パットは耳で聴け」がパッティングの極意となったばかりか、ついにはドライバーも含めたすべてのショットに通じる格言となっていったわけです。

ヘッドアップなど気にせずに思う存分スイングしよう!

それぞれが「神様の声」を勝手に解釈したために、ヘッドアップNGはスタンダードな技法となってしまい、1940年代から50年代まで最強と言われたあのベンホーガンでさえ、著書『モダンゴルフ』のなかで、洗練されたゴルフスタイルを得るためにヘッドアップを抑える練習法を紹介しています。

では、ヘッドアップは本当にインパクトしたボールに悪影響があるのでしょうか?

もう何度も同じようなことを書いていますが、フェイスでしっかりボールを捉えることができたら、一本足打法であれ極端なオープンスタンスであれ、どこを見ていようと影響されることはありません。

なにより名言が生まれた明治中期(1904年)とはスイング理論が変わっています。現在は個々の体形や技量に合った多様なスタイルが確立されていて、しかもスイングスピードは当時と比べて格段に速くなっています。

いまではスイング中の体重移動(右脚軸から左脚軸に移動)は普通のこととなり、昔のようにテイクバックからインパクトまで頭だけが同じポジションをキープする必要はないわけです。ヘッドアップなど気にせず思う存分スイングするほうが、きっと良い結果を生むことになるはずです。

ということで、練習場やコースで「ヘッドアップしてるよ」と言われても、気にせずブンブン振っても大丈夫です。空振りしなければ、ボールから目を離しても問題はありません。それよりも、あわてたプレーが失敗のもとになるから落ち着つくようにと薦めた『耳でパットせよ』に注意してみてはいかがでしょう。

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