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あなたのスライスはどのタイプ?スライスする3つの原因と史上最悪のスライサーのお話

ゴルフ雑誌には、巻頭企画の2大鉄板ネタというものが存在する。それは『飛距離アップ法』と『スライス防止』である。それだけ少しでも飛ばしたいゴルファーとスライスに悩むゴルファーが世の中にいるのだろう。

逆にパッティング上達法やアプローチショットなどのショートゲーム企画は、2つの企画と比べると、読者の食いつきは薄い。

さて、今回のテーマはゴルファーの9割近い人が悩んでいるという“スライス病”の話である。先日、日本人がまたノーベル医学賞を受賞したが、スライス病を治すことができたら、世界中の数千万人のスライス患者からノーベル賞候補にノミネートしろという運動が起こることだろう。

ゴルフ雑誌のレッスンページを熱心に読むのは、ビギナーからアベレージクラスであるから、大半がスライサーである。私自身、これまで数十人のプロゴルファーをスライスを直すレッスン取材をしてきたが、この世からスライサーがいなくなるという気配は一向に見えないのはなぜだろう?

スライスの原因は突き詰めると3つしかない

あるプロは言う。

「実際にスライスに悩むアマチュアのスイングを見なければ、スライスは直せないよ」。

それほど、スライサー一人一人、右に曲がる原因が違うというのである。ある者は打ち急ぎだろうし、アドレスで左を向いている人もいる、脇が空いている人もいるだろうし、ウィークグリップの人もいる、ボールの位置が正しくない人もいるだろうし、その要因は限りなくある。

スライスというのは、ご存知の通り、ボールに右回転のスピンが与えられることによって起こる。つまり、ボールをクラブフェースが捕らえるインパクト時に、右回転のスピンが与えられているのだ。もっと分かりやすく言えば、ボールを斜め右上から左下に向けてコスるようにクラブフェースが接触しているからなのである。

ゴルフスイングは右から左にクラブを振っていくのと同時に、上から下に向かってもクラブを振り下ろしてボールを打つ。そのボールをコスるように、つまりアウトサイド・インのカット打ちというのが原因のひとつである。

もうひとつ、クラブフェースの向きによって右回転のスピンが与えられることもある。それはクラブフェースが開いた状態でボールをヒットしたときだ。

ボールをヒットするとき、クラブヘッドの軌道がボールをコスっていなくても、クラブフェースが開いていれば、ボールに右回転を与えてしまうのである。こちらの原因のスライサーのほうが、アウトサイド・インのカット打ちスライサーよりも多いというプロもいる。

また、クラブのシャフト寄り、つまりヒール側でボールを打ったときもボールに右回転のスピンがかかる。これは「ギア効果」といって、クラブフェース面にはバルジという丸みがつけられていることと、クラブヘッド内の重心が後方近くにあることによって起こるのである。ちなみに先端寄りのトウ側でヒットしたときには、左回転のフック系のボールになるのである。

自分のスライスが3つの原因のどれなのかを知らなければ、いつまで経っても、忌々しいその右曲がりは直りませんぞ。

スライスは3種類。曲がり方であなたのスイング癖が分かる

まず、初心者に多く見られる打った直後に左に飛び出し、大きく右に曲がるいわゆる“バナナスライス”とも呼ばれる引っ掛けスライサー。このタイプのスイング軌道はアウトサイド・イン、クラブフェースはオープンになっていることが原因である。

次に、ボールの出だしは真っすぐだが、途中から右に曲がっていくスライスボールを打つタイプ、スイング軌道は正しいインサイド・インなのだが、惜しいかなクラブフェースが開いてヒットしているのだ。

最後に右に飛び出し、さらに右へ曲がり、ОBゾーン一直線という最悪のプッシュスライサーのスイング軌道はインサイド・アウト、クラブフェースも開いた状態でヒットしているのが原因である。

さぁ、あなたはどのタイプのスライサー?自分のスイングの悪癖が理解できたことでしょう。これで次に練習場に行くテーマが分かれば、その右曲がりのボールは徐々に真っすぐ飛んでくれるはず。

史上最悪のスライサーのお話

さてさて、我こそは史上最悪のスライサーと自負する人もいるだろうが、世界にはとんでもないことをやってしまったスライサーがいることを紹介しよう。

それは1987年の出来事である。イギリスからコットンの買い付けに西アフリカのベナン共和国にやって来たゴルフ狂のマシュー・ボイヤーさんだが、この国にはゴルフコースがなかった。毎日、国から持参したキャディバッグからクラブを取り出しては、「あ~、ゴルフがやりてぇ…」なんて呟いていたはず。

そんなある日、同僚が「空軍基地の近くにドライバーを引っぱたいても大丈夫なくらいの広い原っぱがあるよ」と教えてくれた。

その場所に車を飛ばしていくと、ベナン唯一の空軍基地の滑走路に沿って、広大な草原が広がっていた。その光景を見て、狂喜乱舞のボイヤーさん。バッグからドライバーを抜き取ると、うっぷんを晴らすようにショットを放った。その3球目に悲劇は起こった。

もともと自他ともに認める折り紙付きのスライサー、思い切り打ったボールは大きく右に曲がって、基地のフェンスをオーバーして、鳥の群れに突っ込んでいった。

運の悪いことに、滑走路にはフランス製の新型ミラージュ戦闘機が離陸の準備に入っていた。パイロットが風防窓を閉めようとした瞬間、ボイヤーのスライス弾の直撃を受けた鳥がコックピットに飛び込んできたのだ。パイロットはパニック状態、鳥は外に戻ろうと大暴れ、風防窓は完全にシャットアウト…。

操縦不能となったミラージュは滑走路を迷走する。やがて目の前には4機のミラージュがある格納庫が近づいてきた。「やばっ!」っと、パイロットは緊急脱出のレバーを引いた。風防ごとふっ飛ばして、パイロットは空中に舞い上がり、パラシュートが開き、無事脱出成功だったのだが、乗っていたミラージュはそのまま格納庫に突入、大音響とともに4機のミラージュも炎上した。

その知らせを聞いたベナンの大統領は半日もの間、放心状態だったという。ベナン空軍には5機の戦闘機しかなかったのである。それも乏しい財政をやりくりして、世界銀行に10年ローンを組んで購入した戦闘機だった。

ボイヤーに悪意のないことは明白だが、裁判の末、戦闘機5機分の賠償命令が下された。全額完済まで約15万年ほどかかるというそうだが…。

ボール1個失くすぐらいの損失なら、あなたのスライスは安いもんですよ。

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