「2番は空振りしがち、3番はスライスの恐れがある。4番はトップ、5番はフック。6、8、9はダフるし、ウェッジは距離がイマイチ。やっぱり7番。間違いがない。一番安全なクラブだ。」

そう言って7番アイアンだけでバックナインを回った結果、65のスコアを叩き出し、USオープンの地区審査を突破したのはレッスンプロであり伝説を作ったゴルファー、ロイ・マカヴォイ。

と言っても、これは映画のお話。ケビン・コスナー主演「ティン・カップ」の興味深い一場面です。

今日は、この7番アイアンと文字通りあらためて向き合ってみたいと思います。

初心者にとっての基本は7番アイアン



「7番は、初めての番手」という方も多いかもしれません。

さすがにティン・カップの話は極端ですが、初心者のうちはしばらく7番を練習すべし、とはよく聞くことです。ではなぜ7番が基本とされるのでしょうか。

ご存知の通り、一般的には長いクラブほど難しく短いものほど簡単と言われます。7番は長さからしてちょうど中間に位置しており、7番を練習するとウェッジにもドライバーにも応用が利くというのがその理由です。

それともう一つ、コースでも応用の利いた使い方ができますよね。初心者のうちは、打つたび打つたびラフの上、という場合もあります。フカフカして打ちやすい!と思う事さえ。

6番アイアン基本説は?



上田桃子プロらが学んだ、あの坂田塾。やっとクラブを握れたと思ったらしばらくは6番だけ、という話はあまりにも有名で、6番が基本とされています。

しかし、アマチュアゴルファーでしたら7番からで充分です。
なぜかと言えば、“女子プロでも7番からしか入れてない選手もいるくらいだから”

女性のクラブセットは、7番からのパターンがほとんどです。実際に、ここ1~2年のツアーで、女子プロトーナメントの優勝者のクラブセッティングを確認してみましょう。

まず、6番からのセッティングの優勝者は以下の通りです。

イ・ボミ   2015年10月 スタンレーレディスゴルフトーナメント
キム・ハヌル 2015年9月 第46回マンシングウェアレディース東海クラシック
原江里菜   2015年7月 大東建託・いい部屋ネットレディス
申ジエ    2015年6月 ニチレイディス
       2015年5月 サイバーエージェントレディスゴルフトーナメント
飯島茜    2015年3月 Tポイントレディスゴルフトーナメント
鈴木愛    2014年9月 コニカミノルタ杯

以下の2人は7番からのセッティングです。

表純子    2015年9月 第43回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント
前田陽子   2015年7月 サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース

その他の選手で6番以降でのセッティングは、青木瀬令奈、香妻琴乃、佐伯三貴、堀琴音、茂木宏美プロなどがいます。(コース次第ではクラブを変えたりもしますね)

あ!忘れていました。6番アイアンからの選手といえば、片山晋呉プロ。

優勝した2014年のカシオワールドオープンでは、6番アイアンからのセッティングで話題になりました。進化した新しいクラブを使いこなし、クラブセッティングを見直し続けている選手の一人として有名です。

ですから男性だって、苦手なら無理に(意地で)5番、6番を入れておく必要もないのです。

各クラブの役割をじっくり考えてみる



さて今日のお題は7番アイアンでした。ところで皆さん、ご自身のクラブを、以下の2つに分類してみていただけますか?

    1.ボールを飛ばすクラブ
    2.ボールをグリーンやピンまで運ぶクラブ

100ヤード以内をショートゲームとすると、ウェッジ、あるいは9番くらいまでを2に分類する方が多いでしょう。飛ばすクラブのフェアウェイウッドやユーティリティは、しばしば池やバンカーに運ぶクラブと化すので注意が必要です。

クラブは長くなればなるほど、オンしてくれる率も下がります。するとクラブの真ん中に位置する7番は、微妙な立ち位置です。

クラブによってスイングを変えようと思わなくても、長さ、ロフトやライ角が違うことで、結果的にはスイングが変わります。それは、番手ごとの目的・役割が違うからにほかなりません。

では7番の役割は何でしょうか?

ちょっと、7番アイアンのクラブヘッドに向き合ってください。8番アイアンと比べるとフェース、顔つきが全然違いませんか?

8番はウェッジに近く、7番はロングアンアンの顔に近いことがわかります。7番はその顔つきからして、アプローチのようにピンを狙っていくクラブというより、飛ばすクラブに近いのです。つまり、7番で狙うのは「あそこらへん」で充分ということになります。

ちなみにタイガー・ウッズ選手は「ピンを狙うのは6番くらいまで」、池田勇太選手は「7番は距離感が優先で、8番はピンを狙っていく」と言っています。狙うのは「あそこらへん」でいいとはいえ、飛距離が安定していないのでは、「あそこらへん」さえ狙えません。まず初めに安定させたいのが、飛距離です。

7番アイアンの飛距離を安定させよう



多くのアマチュアゴルファーは、ピンまで残り何ヤードかについてはこだわるのに、番手ごとの飛距離には、あまりこだわらない傾向があります。

その理由を訊ねると
「だっていつも同じ距離飛ぶわけじゃないし」と自虐的な回答。

いやいや、安定させましょうよ!

「たまに芯に当たると、飛びすぎるんだよね」

いやいや、芯に当たるのがベスト!

「別に、シングル目指してるわけじゃないし」

そういう問題じゃないし!

残り何ヤードかわかっていても、飛距離が安定しないんじゃ、意味がありません。
また、ランを含んだ飛距離では、池やバンカーを前にしてはやはり活かせません。
キャリーで何ヤード飛ぶかが重要です。

飛距離を安定させるためには、やはり、再現性の高いスイングを身につけること。
これしかありませんよね。

スイングの再現性を高めるのに7番を使うのは、やはり基本のクラブだからです。7番でコツをつかめれば6番以上のアイアンを握った時、7番を打てているのだから打てるはず!と、さすがに自信までは湧いてこないにしても、不安感は遠のいていきます。

8番ならなおさら、7番とはシャフトの長さがほとんど変わらないので違和感なく打てます。しかもつかまりやすい顔つきをしているのです。

90を切ったことだってある。でも、ラウンド中にスイング急におかしくなり、原因もわからず。当たりは悪くても下手に飛ぶから余計に始末が悪く、あえぎながら100を叩いてしまう・・・そんな方は、ぜひ、取り組んでみませんか。

自分に合ったスイングを見つけるには



手っ取り早いのは個人レッスンです。ただご存知の通りゴルフ理論はコーチの数と同じくらい存在すると言っても過言ではありません。また、何よりゴルフはメンタルがものをいうスポーツです。

初心者でもメンタルの影響は受けるもの、と言いますか、初心者であればあるほどメンタルの影響を受けると言えるかもしれません。ですから、合わないなと思うコーチの元からは、サッサと離れましょう。メンタルに悪いです。

いいコーチに巡り合えたとしても、今は雑誌、DVDの他、動画サイトもありますね。見たら気になってしまいます。そういう時はコーチに、こういう考えはどうでしょうか?と質問し、自分に合うかどうかチェックしてもらいましょう。

骨格や関節の動きは人によって違いますし、可動域にも個人差があります。あなたなりのスイングを体に覚えさせるまで、徹底的に取り組むことが、結局は上達への一番の近道です。

レッスンは、受けただけではもったいない

現在書店には、多くの自己啓発本がベストセラーとして平積みされています。読んだことがある方は多いと思いますが、もっと多いのは、せっかく自己啓発本を読んだのに、読んで気が済んでしまい、実行に移さず啓発本コレクターになり下がってしまう人。

ゴルフも同じだなぁとつくづく思います。基礎レッスンはノウハウ(自己啓発本)に過ぎず、それを実践し、素振りや打ち込みをしてこそ身になるのです。

パターの練習だけでなく、アイアンの素振り程度のスペースなら、家でも方法はあります。段ボールの上に毛足が長めのカーペットを敷けば、あっという間に即席のフェアウェイの完成。



ゆっくりとした素振りで、グリップや手首の使い方、地面を踏みしめる感覚など、(家具が心配なので)かえって集中できていい練習になります。それが無理なら、エア素振りでもいいじゃないですか!

アドレスの作り方、テイクバック時の意識ポイントなどを決め、ルーティーンを作ります。するとテンポもつかみやすくなり、シャンクなどが出てしまった時にも、ルーティーンがしっかりしていると、解決の糸口がつかめます。

自分に合ったアイアンの選び方とは

自分に合ったアイアンを選ぶことは、初心者にとっても買い替えの方にも重要です。自分に合ったとは、値段、見た目、好きなメーカーか、構えた時の感覚など、いいと思うかどうか、です。

また選び方として、自分のレベルに合わせて優しいクラブを使うべき、と言う人もいます。優しいとは、スイートスポットに当たらなくても飛ぶという意味です。言ってみれば下手なのにクラブが誤魔化してくれていることになります。

いわゆる難しいクラブを使えば、振ったなりにしか飛ばず、誤魔化してはくれません。クラブ選びは、大げさに言えばゴルフとどう付き合いたいか、を考える大切な作業でもありますね。

自分の思いに見合ったクラブを選べば、愛着もわくというものです。思い切って好きな選手のクラブを参考にするのも、モチベーションがあがりますね。

まとめ



そんなにお金も時間もかけられないよ、と誰か言っている声が聞こえます。今まで通りでもいいのですよ。ゴルフは、「あーあ、今日こそ100切れると思ったのになぁ」とぼやくのも、楽しみの一つなのですから。

7番が相棒となったら、ティン・カップのロイ・マカヴォイのように7番だけでラウンドしてみることも面白いかもしれませんね。

でもいつものラウンドよりもスコアが良かったりしたら・・・練習の成果でしょうが、素直に喜べない気もします。