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森田理香子の完璧なスイングが来季爆発の予感

2015年の日本女子プロゴルフ界は、イ・ボミが話題を独占しました。

今季7勝を挙げ、年間獲得賞金は2億3049万7057円、初の賞金女王を獲得するとともに、国内女子ツアー史上初となる2億円突破。なんと、同年の男子賞金王金額をも上回るばかりか、国内男子ツアーの史上最高額も超えました。イ・ボミが席巻した印象の1年でした。

一方で、日本の若手も成田美寿々、菊地絵理香、藤田光里らがその素質を開花させ、人気となりました。来年以降、「ストップ イ・ボミ」の旗手として期待されます。

さらに2015年は不振だった香妻琴乃、そしてこの人、2013年の賞金王、森田理香子も来年期待したい選手です。

燃え尽きた?

森田は2013年4勝を挙げ、横峯さくらと最後まで争って、23歳で賞金女王に輝きました。師匠の岡本綾子と安定した力強く美しい完璧なスイングを目指し、女子選手でも屈指の飛距離、270ヤードも飛ばすドライバーショットが魅力でした。

ところが、女王翌年の2014年は1勝しただけで賞金順位は16位、2015年は1勝もできず20位でシーズンを終えています。その不振について、森田は今シーズン中盤のインタビューでこう答えていました。

「昨季は燃え尽きていた部分がありました。賞金女王を獲ったことで目標がなくなって…勝ちたい、という気持ちになれませんでした」

ところが、この2シーズンは森田にとって、結果的にたっぷり充電できたシーズンになったようです。

2014年は全米女子オープン(35位タイ)、全英リコー女子オープン(65位)と海外に挑戦したものの、結果は出せませんでした。

「海外の選手レベルが高いのは、求められる技術が高いからなんだと痛感して刺激になりました。私も世界で通用する選手になりたいし、海外のコースで求められる球も打てる、と自分では思ってる」

技術を進化させたい、と思い直した森田はこうも言います。

「実際、技術的には賞金女王になった年と比較しても、昨年、今年のほうが上達しているんです」

定評のあるゴルフスイング

森田は美しく、かつダイナミックなフォームが特徴です。腕を使わず体の回転によるボディターンが上半身と下半身の捻転を生み、ヘッドを走らす強烈なパワーを生むのです。

それでは、森田のドライバーショットを分析してみましょう。動画や写真を参考にすると良く分かります。

アドレスはやや広めのスタンスに、過度な前傾、膝の屈伸もなくナチュラルな立ち姿です。ここからバックスイングに入りますが、腕を上げるとういうより、体をねじる回転から肩をまわします。

手を一番遠くに回したスイングアークを作り、体の捩じりをMAXにします。この時、重心も右足に移動しますが、決して右足側にスウェイするのではなく、意識の上では体の中心に向いている右足と反発するかのような重心移動です。

トップは大きく高く。それでも、クラブシャフトが地面と平行となっているのが分かります。決してオーバースイングにはなっていません。

ダウンでは捻じれパワーが最大に解き放たれます。大きい切り返しも、実は下半身主導で腕が付いていく恰好です。同時にフットワークが効いて、両膝が左方向に動いていき、バックスイングで右足に溜まった体重が一気に左足へ移行します。

このボディターンに後からついていくのが腕です。同時にしなやかに手首が返り、シャフト、ヘッドのスピードが加速します。

ちょうどヘッドがボールをとらえ、フォロースイングへ移行していく時の瞬間のフォームが森田のスイングの真骨頂です。

腰はすでに目標を向いていながら、体はまだ正面を向いています。この腰、つまり体幹を使った軸がぶれないスイングが飛距離を生むのです。

一見ゆったりしたスイングですが、その中心となる体幹の切れの捻りが強烈なパワーを発揮します。

ボディターンのお手本

森田自身もこのスイングは、「腕はふっちゃダメ、身体にくっつけて打つ」と話しています。

バックスイングで身体の捻じれを右足で受け止め、パワーを充填。スイングは腰主導で身体のどこよりも早く目標方向に向き、両足は右から左へ重心が移行。

この回転動作を左足が完全にブロックすることで、さらに回転のパワーが増幅。それによって、力が入っていないようでヘッドが猛烈なスピードで走り、そのままフィニッシュに。

さらに森田は、インパクト後も左目は球があった位置をとらえ続けます。これによって頭の位置はスイング当初と変わらずに維持し、ヘッドアップしません。

まさしく完成された美しいスイングです。アイアンやバンカーショット、アプローチなども、このポイントは一緒です。

ボディターンの意識、両足フットワークの使い方、腰主導の動き、最後まで揺るがない頭の位置――

美しいスイングは、アマチュアゴルファーにとってもお手本です。練習やレッスンで体主導のスイングを意識することで感覚が身に付きます。人に見てもらってチェックするとより上達します。

新たな目標

「まだまだスイングは完璧を求めたいし、よりよくしたい」と森田。

「賞金女王にもう一度なることも目標だけど、長い目標では永久シードも獲りたいし、東京五輪も出場したい。今、成績は悪くても、今やっていること信じて続けたい」

海外で活躍する日本選手も増えてきました。男子の松山英樹、石川遼、女子の宮里美香、宮里藍や、国内ツアーに戻っている上田桃子などの選手達に加わることができるか。来年の森田が楽しみですね。

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