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イ・ボミV3を阻むのは同じ韓国勢!?女刺客5人②全美貞

  • 2017.03.17

プレーオフ1ホール目、2打目をグリーン左奥に載せた全が下り7mのラインを読み切り鮮やかなバーディー。韓国勢では最多の25勝目を挙げ、生涯獲得賞金も10億円を突破しました。

実はプレーオフは苦手意識がありました。昨年はCAT Ladiesでイ・ボミに、マンシングウェアレディース東海クラシックではテレサ・ルーにプレーオフで敗れました。2015年はTポイントレディースでプレーオフで6ホールも戦って飯島茜に敗れています。

昨シーズン後半で自身が優勝したNOBUTA GROUPマスターズでは全が先に17アンダーでホールアウト。笠りつ子、鈴木愛が1打差で追うのを練習グリーンで待つ間、「どうせなら抜いて。プレーオフはやりたくない」と思ったほどでした。それが今回あっさり1ホール目で決めたのは、2012年賞金女王の貫禄でした。

Yokohama Tire PRGR Ladies Cup - Day 3

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右手首じん帯の怪我で不振に

ゴルフを始めたのは15歳から、と遅咲きでした。それでも猛練習を自らに課し、わずか4年で韓国でプロ入り。物事に打ち込むと真面目な性格がプロゴルファーとして開花します。

2005年から日本ツアーに参加すると、賞金ランキング12位で初めてシード権を獲得、翌年の2006年には年間賞金ランキングで2位に入っています。これ以降、毎年賞金女王争いに顔を出し、2012年には年間4勝を挙げ念願の賞金女王に輝きました。

ところが、2014年以降は右手首じん帯を損傷し、それをかばうために右肩が痛むなどからフォームを崩し、不振に陥りました。

LPGA Tour Championship Ricoh Cup 2016 - Day 1

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長身を活かした美しいスイングが持ち味

身長175センチの全のスイングは「精密機械のように正確なスイングプレーン」と評されました。シンプルで美しく、再現性の高いフォームです。

例えば、アドレスとインパクトを比べると、左肩や左膝の位置がほとんど変わっていません。つまり、アドレスからバックスイング、トップからインパクトに移行しても、体の軸はほとんどぶれていません。

また、バックスイングのプレーンとスイング時のプレーンもほとんど変わりません。まったく同じプレーンの軌道をたどってインパクトに向かいます。従って、クラブフェースが一定になり、ボールの方向性が良く曲がりにくいスイングです。

韓国プロの中で初めて日本語のスイング教本を出したほど、定評のあるスイングでした。

全美貞のクラブセッティング

<ドライバー>
キャロウェイGBBエピック スター ロフト9.5度

<フェアウェイウッド>
テーラーメイドM2 3番(ロフト15度) 5番(ロフト18度)

<ユーティリティ>
キャロウェイ ビッグバーサ アルファ815(ロフト20度、23度)

<アイアン>
本間ゴルフ TOUR WORLD TW737V(6番~10番)

<ウェッジ>
タイトリスト ボーケイTVD(ロフト50度、52度)、ボーケイデザインSM6(ロフト56度)

<パター>
スコッティキャメロンGSS

<ボール>
スリクソンZ-STAR プロトタイプ

特に気に入っているのが、パターのスコッティキャメロンGSSです。GSSとはジャーマン・ステンレス・スティールの略で、ヘッドの素材です。

このタイプはメーカーがプロだから誰でも支給するわけではなく、全もスコッティキャメロンを2013年から使い続けて認められやっと提供を受けました。

ボールをヒットした時にしっかり音はするのですが、打感が柔らかいのが特徴でそのフィーリングが気に入っているようです。角ばったソールも構えた時の安定感があります。

引退も考えた

怪我の悪化でゴルフがうまくいかなくなると、すっかりゴルフが嫌になっていました。コーチで義兄の金鐘哲さんに「辞めて(韓国に)帰りたい」と何度も漏らしました。その度に、「大丈夫、やればできる」と励まされ、クラブを握ってもさらに嫌になり、の繰り返しでした。

韓国に戻った時に姉に「辞めたい」と打ち明け、「辞めてもいいよ」と言われました。「じゃあ辞めて何をしようか」と、考えた時、「自分にできることはゴルフしかない」と改めて気がつきました。

Yokohama Tire PRGR Ladies Cup - Day 3

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怪我も良くなってきた昨年7月のサマンサタバサガールズコレクションレディースで、3年ぶりの23勝目を挙げました。韓国女子プロの先達、具玉姫の23勝に並び、10月のNOBUTA GROUPマスターズで24勝目を挙げトップにたちました。

新たな韓国のレジェンドとして

このオフは1月からアメリカ・カリフォルニアで40日間の合宿を行いました。スイングの修正に取り組み、インパクトで振り抜く感覚を養いました。ゴルフに対して積極性が戻った全美貞。開幕戦11位に続いての優勝と、好スタートを切りました。

イ・ボミら韓国若手の台頭を好ましく思いながら、自身の新たな目標も確実に捉えました。「通算30勝を挙げ、永久シード権を得る」。まさに今季は2度目の賞金女王のタイトルにも迫る勢いを見せそうです。

 

この記事を書いたライター

スポーツ新聞記者、デスク17年。ゴルフ取材も経験したが、ゴルフはなかなかうまくならないため楽しむものと決めうち!
皮肉にもその後、スコアが上がったとか・・・

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