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全米オープン初出場を果たした小平智。期待される大器はこれを機に羽ばたけるか

全米オープン最終日(18日、米エリンヒルズGC)、35位タイから上位を狙ってスタートした小平智でしたが、3バーディー、2ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーの76とスコアを崩し、通算3オーバーの46位タイで初のメジャーを終えました。

この日前半は1打伸ばしたものの、9番パー3でグリーン奥につけてしまい、寄らず入らずでダブルボギー。さらに15番パー4ではティーショットを左の細く長い草のフェスキューに打ち込み痛恨のトリプルボギー。それでも小平は自分のプレーに納得している、と言います。

「(トラブルがあっても)落ち着いて自分のゴルフができた。1日を通してペースが乱れなかったので収穫になった。1日中ずっと攻めた」と自分のプレーを分析しました。

初の全米オープン出場は「すごい勉強になったし、自信にもなった。自分の伸ばすところは伸ばし、課題になったところはスキルアップして、またこの舞台に戻って優勝争いをしたい」と、手応えを話しました。

松山の姿が見せたものは

共に全米オープンを戦った松山英樹の姿に小平は何を感じたでしょう。松山も決して本調子ではありませんでした。

初日、パットを乱し2オーバー74。82位タイと決勝ラウンド入りが危ぶまれる中、2日目は、この日ベストスコアタイの65と爆発。3日目は71と伸ばせなかったものの、最終日6アンダー、14位タイから逆転を目指した松山は、66と再び驚異的なスコアを叩き出し、通算12アンダーとして自己最高の2位タイ、メジャー初勝利まであと一歩まで上昇したのです。

調子が悪い中での調整力、爆発力を見せた松山の姿は小平にも影響を与えたはずです。かねてから、小平は「世界は20代が活躍している。日本は遅れている」と自らも含め若手の発奮を促していた27歳。2歳下の松山が4日間もがきながらも、全米2位をつかむ闘いを目の当たりにした小平が今後、どんな姿を見せてくれるでしょう。

大器の開花は

ジュニア時代にナショナルチームにも所属していた小平のプロフィールは、2010年、20歳で日本大学を中退してプロ入りしました。2013年に国内メジャー「日本ゴルフツアー選手権Shishido Hills」でツアー初優勝を飾り、翌年には「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で2勝目を挙げます。

2015年の「日本オープン」でメジャー2勝目、2016年の「ブリヂストンオープン」でも優勝と、初優勝した2013年以来、毎年1勝づつ挙げています。ドライバーショットの飛距離とフェアウェイキープ率を合わせたトータルドライビング部門では2013年以来ランキング10位以内をキープしており、2017年は292.03ヤード、フェアウェイキープ率69.42%で、トータルドライビング部門で1位(6月5日時点)となっています。「飛んで曲がらない」のが小平の持ち味です。

イケメンプロと騒がれてきた小平も今年3月、かつての賞金女王の姉さん女房、古閑美保と結婚しました。実力があって、家庭を持ち、大器と期待されてきた小平に「年間1勝」では物足りなさを感じずにはいられません。年間複数大会で優勝し、賞金王争いに顔を出し、本人も言うように海外でも活躍する姿が早く見たいものです。

小平智のクラブセッティング

【ドライバー】
プロギアiD nable RSドライバーF ロフト角10.5度 プロトモデル
【フェアウェイウッド】
プロギアTUNE 02FW 3+w、5w
【ユーティリティ】
iD nable RS TOUR 3iu
【アイアン】
プロギア TUNE 01CB 4番-PW
【ウェッジ】
iD nable RS TOUR WEDGE 52度、58度
【パター】
スコッティキャメロン ニューポート2 プロトタイプ
【ボール】
タイトリスト プロV1xボール

(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。

飛んで曲がらない小平のスイング

小平は身体能力が極めて高く、体幹の強さ、足腰の強さと柔軟性がトータルバランスを支えています。アドレスは両足ももが張り、足の裏がまるで地面をつかんでいるようです。オーソドックスなスクエアグリップで、頭はボールの右側にセットされています。

バックスイングはアドレスで作った胸の前の両腕と両肩の三角形を崩さずに身体から遠くへ上げていきます。背中や腰回り、右サイドの強い下半身が、この動きを支えます。身長172cmと決して高い方ではありませんが、290ヤードも飛ばせるのは鍛えられた身体の賜物です。

腰周りから背中がまるで弾力のパワーを溜め込んでいるようなトップを作ります。体重は右足がしっかり受け、両肩は90度以上ねじられています。このバックスイングができるのは、日常のトレーニングを欠かさずに鍛えている証拠です。

ダウンスイングで左足は地面を踏みながらも、右側にスイングの軸を残して回転しています。そのため、インパクトでは左足が浮きます。これは頭が後方の位置でキープされているからで、まさにスイングの中心の頭が動かず、クラブヘッドが走っていくことでヘッドスピードが加速。ボールを捕まえるインパクトが長いゾーンとなります。これが、「飛んで曲がらない」秘訣です。

筋力の強さを感じさせるバックからダウンスイングに比べ、フォローでは筋肉の柔軟性を感じさせます。頭の位置がそのままクラブを振り抜けるのは、身体の柔軟性があってこそ。クラブヘッドの軌道がダウンのまま振り抜くオンプレーンの状態でスイングがキープされるので、飛距離と方向性が安定し、大きなフィニッシュへ振り抜かれます。

アマチュアにも参考になるのは、頭をスイングの中心ととらえ、スイングを右側の軸に置いてスイングすることです。一見、いわゆる「明治の大砲」ですが、フォローを大きくして手元と頭を遠く離すフィニッシュにすることでイメージがつかめます。

ただし、背中、腰の筋肉に負担がかかるので、いきなり力を入れないで、準備運動をして半分の力から始めるようにしましょう。

実力で晴らす

小平と言えば、ネットで悪い話も広まっています。タクシーに乗った際に運転手が意図的に遠回りしたと勘違いして、降車して後部座席のドアを蹴飛ばした「タクシー事件」。ある大会でギャラリーの一人に詰め寄って、「おい!お前、ケータイ」とした「恫喝事件」。

これは誤解だったのにも関わらず、謝罪はなく、日本ゴルフツアー機構に正式な抗議をしたものの、その後うやむやとなったようです。残念ながら真実ははっきりしませんが、こうしたイメージはファンあってのプロゴルファーにはマイナスです。

今年8月には世界ゴルフ選手権ブリヂストン招待(米オハイオ州・ファイアストーンCC)に2度目の出場を果たします。1度目は散々な成績だった小平ですが、「リベンジしてここ(全米オープン)の借りも返したい。これからも米国挑戦はあきらめない」と抱負を話しています。

27歳の今年、海外で、もちろん国内ツアーでの優勝を重ねることが、こうした汚名を自分で晴らすチャンスです。全米オープンでのチャレンジが、小平が成長するきっかけとなることを期待します。

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