複雑なゴルフコースのハンデのシステムをちょっとだけ勉強してみよう
- 2016.10.01
- 知識向上
ゴルフをする方なら、必ず見聞きする『ハンディキャップ』という言葉。「ゴルフをします」と言うと、「ハンデはいくつ?」と聞かれた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
各ゴルフクラブの倶楽部メンバーとして入会し、所定の手続きを踏んで申請すれば、ハンディキャップを取得することができます。しかし、現在はこうしたゴルフ会員権を購入せず、ビジターとしてゴルフを楽しむ方も増えてきていますので、ハンディキャップを持たないゴルファーも数多く存在するのです。
「競技に出たい場合は別だけど、通常ゴルフを楽しむ場合は、ハンディキャップなんて必要ないし、コンペでもダブルペリア(新ぺリア)があるから、問題ないよ。」と考えているかもしれませんね。
そもそもハンディキャップとはどのような意図で設定され、どのように決められ、そしてどのように使われるのでしょうか。そこで今回はちょっと面倒なイメージの『ハンディキャップシステム』について勉強してみたいと思います。もしかすると、ハンディキャップに少し興味が湧いてくるかもしれませんよ。
ハンディキャップシステムの意義
そもそもゴルフには何故、ハンディキャップのシステムがあるのでしょう。それはゴルフのスポーツとしての特性が関係します。ゴルフは老若男女や、ゴルフのレベルを問わず、誰もが一緒にプレーが楽しめるスポーツだということが大きな魅力であり、特徴のひとつだからです。
その特性を活かしたまま、たとえ実力のレベルに差があっても、同じ土俵で競い合えるように考えられたのがハンディキャップシステムなのです。『楽しむ+競う』という2つの要素をどちらも大切にしたゴルフならではのシステムですね。
また、ゴルフは当初はほとんどマッチプレーで行われていたこともあり、当事者間で話し合いの上、ハンデをつけて競い合うことは当然のように行われていました。しかしその後、ストロークプレーが主流となってからは、多数の競技者間で競い合うことになりますので、公平かつ納得のできるハンディキャップの計算方法が必要となったのです。そのため少々面倒な手順や基準を設ける必要があり、ハンディキャップシステムが複雑になってしまっているのですが、これはある程度致し方ないので、どうぞご理解ください。
また、こうしたいわゆる公式のハンディキャップシステムとは別に、簡易的にハンディキャップを算出する方法が『ダブルべリア(新ぺリア)方式』などの略式のハンディキャップシステムです。公式のハンディキャップを持たない初心者から上級者までが揃うようなコンペでも使えますので、非常に使用する機会が多いですね。
これは該当ラウンドの18ホールに対して隠しホールを設定し、その隠しホールのスコア合計からハンディキャップを算出する方式で、非常によく考えられたシステムではあるのですが、それでも自分が参加したコンペなどで、ダブルペリア方式で算出されたハンディキャップの数値が低すぎて、泣かされた経験をお持ちの方も多いでしょう。
やはりダブルペリア方式などの略式のシステムでは、実際の技量に応じた納得のいくハンディキャップを算出するのは難しいと言わざるを得ません。ですから公式ハンディキャップを管轄するJGA(日本ゴルフ協会)では、より多くの方にできるだけ公式ハンディキャップを取得してもらい、ハンディキャップを利用して誰もが納得できる条件でゴルフを楽しんでもらいたいと画策しています。
そうした背景を頭に入れてから、どのようにハンディキャップが算出されているのかをご説明していきましょう。
2014年から世界共通のハンディキャップに
実は2014年より、日本ではハンディキャップシステムが大きく変更されています。それまでJGAが独自にJGAハンディキャップとして査定していた方式を、USGA(全米ゴルフ協会)の方式に準拠することによって、統一したJGA/USGAハンディキャップ規定として導入することになったのです。これにより、ハンディキャップインデックスの公的な信頼度が増すこととなり、世界基準でその数値が認められることになりました。
つまりこのJGA/USGAハンディキャップインデックスを取得していれば、自分のゴルフ技量の国際証明書のような役割を果たしますので、海外でのゴルフがスムーズになるというメリットもあるのです。(※海外でプレーする際には、プレーヤーのハンディキャップの提出が必要の場合がありますので、その際に非常に有効です)
また、もちろん日本でもこのハンディキャップを持っていれば、(認定されたゴルフ場であれば)『コースハンディキャップ換算表』を利用して、自分のハンディキャップを各ゴルフ場の難易度に則したハンディキャップに置き換えるということが可能になります。これは、“スクラッチゴルファーにとっての難易度を示すコースレーティング”だけではなく、“ゴルファーの技量によってコースの難易度が変動することを数値化したスロープレーティング(標準難易度113)”のシステムを利用した、新しいゴルフの楽しみ方です。
とても分かりづらいので簡単にご説明すると、「いわゆるコースレートの高い難しいコースは、シングルプレーヤーのような上級者にとっても難しいものですが、ごく一般的なボギーゴルファーにとっては、さらに難しくなってしまうだろうと考えます。そのためコースの難易度によって各ゴルファーのハンディキャップも変動(対応)すべきだろう」という考え方です。
こちらの詳しい内容については、よろしければ以下の記事もご参考ください。
『ゴルフコースの難易度はコースレーティングよりもスロープレーティングで見極めよう!』
このハンディキャップシステムを使えば、たとえ各プレーヤーがバックティー・レギュラーティー・フロントティーというように異なるティーグラウンドを使用してもハンディキャップを変換することで対応でき、また男性・女性が一緒にプレーしてもそれぞれに則したハンディキャップが割り当てられるようになっています。つまり、ハンディキャップが変動することによってゴルフ場ごと、ティーグランドごとに完全に対応してくれるのです。これでしたら誰もが納得できますよね。
倶楽部メンバーでいらっしゃる方の中には「そういえば2、3年前にハンディキャップのシステムが変わるという連絡があったなぁ」と思い出されるかもしれません。このようにハンディキャップの世界は、色々と変化しているのだということがご理解いただけたらと思います。
ハンディキャップを取得するには
では、簡単にハンディキャップの取得方法についておさらいしておきたいと思います。
ハンディキャップとは標準難易度(スロープレーティング113)のコースにおけるプレーヤーの潜在技量を示した尺度で、小数点第1位までの数値で表示されます。その数値の上限は男子で36.4 、女子で40.4です。このハンディキャップの差を利用して、異なる技量のプレーヤーたちが同じ環境下で競い合うことを可能としています。
そして日本で唯一のオフィシャルハンディキャップであるJGA/USGAハンディキャップを取得するためには、まず認可を受けたゴルフ倶楽部や組織・団体※に所属する必要があります。(※公益財団法人日本ゴルフ協会(JGA個人会員、JGAジュニア会員)/8地区ゴルフ連盟/都道府県ゴルフ競技団体/公益社団法人日本パブリックゴルフ協会の加盟倶楽部等)
上記のゴルフ倶楽部や組織・団体を通じてJGA/USGAコースレーティング及びスロープレーティングがあるコースでラウンドしたスコアカードを提出します。そして5枚以上のスコアが登録されると毎月1日にインデックス(ハンディキャップ)証明書が発行される仕組みとなっています。これまでは、ゴルファーはどこかのゴルフ倶楽部のメンバーとなり、その後ハンディキャップを取得して月例などのクラブ競技などに出場するというのが一般的な使い方でした。
しかし、メンバーになるためには会員権を購入しなければならず、ハンディキャップ取得は一般ゴルファーにとって敷居の高いものだったのです。しかし、そうした倶楽部や組織・団体に所属しなくてもハンディキャップが取得できる方法があります。それはGDO(ゴルフダイジェストオンライン)や楽天GORAを通じてJGAハンディキャップ倶楽部へ入会し、ネットでスコアを記入・申請し、ハンディキャップを取得するというやり方です。
所定の手続きを踏めば、手軽で無料もしくは安価にJGAの公式なハンディキャップが取得できますので、おすすめです。(GDOはJGA会員の年会費として¥2,592の料金が必要と記載されています)また、すべてがネット上のデータ入力で完結しますので、スコアカードの提出などのわずらわしさもありません。
これによりJGAが主催するハンディキャップインデックスが必要な大会などにも参加が可能となり、ゴルフの楽しみ方がぐっと広がる可能性があります。今までハンディキャップは縁がないものと思っていたゴルファーの方でも、是非検討してみてはいかがでしょうか?
おわりに
プロのトーナメントの世界にはハンディキャップはもちろんありません。実力だけが勝負を決める世界ですから、当然ですよね。
しかし、私たちがゴルフを楽しむ時でも、『勝負』という楽しみ方をしたいとは思いませんか?その楽しみ方を、始めたばかりの初心者でも、練習がままならない休日ゴルファーでも、ゴルフに熱中するシニアゴルファーでも同じように権利が与えられるのがハンディキャップです。
あなたもハンディキャップを取得してみませんか?