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中国でゴルフは違法なスポーツ!?習近平が66コースを閉鎖した理由

今や米国とならぶ経済大国にまで変貌を遂げた中国。日本でも中国人観光客の“爆買い”によって、経済的にも大きな影響力をもちはじめている。

かつて、90年代前半の日本がそうだったように、景気が良くなるとゴルフ業界はバブリーに盛り上がるものであり、中国ゴルフ界にもそれを期待したいところだが、どうやら中国には、他の国では考えられないゴルフ事情があるようだ。

習近平の影響で、ゴルフ場を閉鎖に

私が最初にゴルフ場閉鎖の噂を聞いたのは、上海近郊の日本人ビジネスマンからだった。上海には多くの日本企業が進出しており、週末には、よく日本人同士でゴルフに出かけるのが定番だった。

しかし、そんな日本人に人気のコースが、昨年の春に突然コースを閉鎖すると発表したのだ。そして、コースの閉鎖は次々に中国全土に広まり、2015年の春には、一斉に66コースが閉鎖された。

このゴルフ場閉鎖は、国家主席である習近平の影響が大きいようだ。どうやら国家主席はゴルフが大嫌いであり、「中国政府高官の汚職や接待の温床の原因はゴルフにある!」と思っているらしい。だからこそ、2013年に中国の国家主席の座につくと、今まで高級コースのメンバーだった高官達も次々に会員権を売り払って、ゴルフから足を洗ったのだ。

中国政府は2004年以降、新規コースの開発を違法に!

 
ただ、実は中国では習近平だけがゴルフを嫌っているわけではなく、もともと中国政府は「ゴルフは悪!」という認識があるようだ。

2004年1月には国内でゴルフ場が増え始めたことを懸念して、正式に「新規ゴルフ場の建設禁止」を発表。さらに2006年には、中国国内の用地使用を認めないリストのなかにゴルフ場を入れ、2011年には具体的に「閉鎖させるべきゴルフ場400コース」を発表している。

しかし、中国人はそんな政府通達もお構いなしでゴルフ場を建設し続けた。ゴルフ場建設会社や工事業者は、地方の政府と結託して次々にゴルフ場を完成させていく。その結果、2004年の新規コース開発停止の時点で中国国内のゴルフコースは178コースだったが、2014年には約3倍となる500コースにまで増加してしまったのだ。

オバマ大統領にもゴルフをさせなかった!

どれだけ禁止しても増え続けるゴルフ場。そんな状況にメスを入れたのが、習近平だった。これまで、ゴルフ場の営業については法的に禁止していただけだったが、実際に政府が強制的に営業停止させるようになった。また、昨年10月には中国共産党の党員8800万人に対し「ゴルフをした者には罰則や処罰を与える」と正式に発表した。

さらにこの“ゴルフ禁止令”は、外交にまで影響をおよぼしている。2014年11月には、北京郊外で「APECアジア太平洋経済協力会議」が開催された。そこには、ゴルフ好きで有名な米国のオバマ大統領も出席しており、その会場には完成したばかりのゲーリー・プレーヤー設計の高級コースもあった。

しかし、政府はその完成直後のコースも営業停止にしてオバマ大統領や他のゴルフ好きの首相、大統領を一切プレーさせなかったのだ。

政府VSゴルフ業者の戦いは、続く!

中国では、ゴルフは富裕層のスポーツであり、ゴルフをするのは政府高官や共産党員ばかりだった。だから、そんな共産党員がゴルフをしなければ、ゴルフ場も儲からないはず…なのだが、実際には多くのゴルフコースが今も営業を続け、そこにはお客さんが入っている。

だからこそ、建設会社や工事業者は政府の目を盗んでゴルフコースを建設するのだ。まだまだ、この政府VSゴルフ業界の戦いは続いていくだろう。

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