新しいスリクソン Z シリーズの『波動で飛ばせ』は本物だ!/ゴルフの最前線から情報発信!
ゴルフコースに、ドライバー3本、フェアウェイウッド2本、ハイブリッド3本、アイアン型ユーティリティー1本、アイアン8本を持ち込んで、18ホールをプレーしてみました。
結論から書きます。2016年9月10日に発売されるスリクソン Z シリーズの飛距離性能はトップレベルでした。そして、方向性に関しても、驚異的な機能を発揮したのです。
ドライバー3種類の個性
まず最初に打ったのは“Z 765 Limited Model”です。
ロフトは9.5度。シャフトは“Miyazaki Kaula MIZU 6”の硬度S。試打する僕はヘッドスピード43m/秒、持ち球はドロー、スピン量が多めで、ドライバーは220ヤード打てれば十分と考えています。使用したボールは、ブリヂストン“TOUR B330X”で、ラウンドしたコースは、年間20回以上プレーしている庭のようなコースです。
構えると、スッとフェースを目標に合わせることができるのは、練習場と同じでした。ややドローを狙って、フェアウェイの右端を狙って、気持ち良く打ちました。手応えは良かったです。
ボールは低めの弾道で、棒球でしたが…… 全く左には曲がらず、完全にストレート。飛距離は自分のドライバーとほとんど同じでした。ショットしてはなんら問題なかったのに、この結果ということは、やはり43m/秒ではパワーが足りません。もう少しボールを上げられれば、と思いましたが、この1球で諦めました。
実は、ヘッドスピード48m/秒のフェード打ちのゴルフ仲間に同行してもらって、打ってもらいました。過去5年で100ラウンドぐらいはご一緒しているので、弾道も、飛距離もよくわかっています。
便宜上、先輩と呼ぶことにしますけど、先輩の使用クラブはテーラーメイドのM1で、まあまあの飛ばし屋です。先輩にも打ってもらいましたが、ボールをとらえ切れていない感じで、狙いより右に行ってしまうようです。
フェード打ちの場合、48m/秒でもこの特別注文のドライバーは手に余るようでした。まさに、打ち手を選ぶドライバーでした。
次に打ったのは“Z 765”です。
ロフトは9.5度。シャフトは“Miyazaki Kaula MIZU 6”の硬度S。期待を込めて打ちました。アドレス時の構えやすさは、通して有効でした。
こちらのほうは適度な高さまでボールは上がりました。しかし、やはりドローはかかりません。けっこう、しっかりと振れていて、芯でとらえているのに残念でした。
飛距離は、自分のドライバーより少し飛んでいると感じました。そういうものだと使い続けることはありだと思いますが、やはりオーバースペックのような気がしました。僕はドライバーをマン振りするタイプではないので、そう思いましたが、とにかく、叩きたいタイプのゴルファーなら同じくらいのヘッドスピードの人でも使いこなせるかもしれません。
何より、ここで一つ発見をしました。打っても打っても、同じ球しか出ないのです。強い直進性と左には行かない特性を感じました。
先輩は“Z 765”がドンピシャでした。M1とほぼ同じ距離を打てているのに、フェードしかでないのです。先輩の悩みは、時々、ドライバーで逆球のドローが出てしまうことなのですが、10回ぐらい使用して、1回も逆球は出ませんでした。
先輩は、このドライバーの発売が楽しみだとニヤニヤしていました。このドライバーはロフトが10.5度のものあります。そちらであれば、僕のパワーでも使えるのかもしれません。
そして、“Z 565”です。
ロフトは10.5度。シャフトは“Miyazaki Kaula MIZU 5”の硬度S。練習場で打ったときに、悪くいえば、ボールが暴れる感じ、良くいえば、色々な弾道が打てると感じたので、自分には合っていないと思っていました。
僕がドライバーに求めるのは、同じ弾道をいつも打てることだからです。しかし、完全に裏切られました。狙い通りのドローが打てました。球の高さも高すぎず、低すぎずに良い感じでした。
更に、あきらかに15ヤードは普段よりも飛んでいました。4ホールで使用しましたが、全てで飛距離は出ていました。また、少し芯を外してもクラブが仕事をしてくれます。低スピンで、前に前に進もうとする理想的なボールが出ます。
一番驚いたのは、想像以上に球の高さが抑えられることです。ボールをとらえやすいドライバーは、ミスをすると高弾道になってしまうものが少なくありませんが、そういう挙動はしませんでした。練習場で感じた悪い部分は、全く出ませんでした。
ドローの曲がり幅が小さいのも好感触でした。
先輩は、逆球が出て“Z 565”は1回しか打ちませんでしたが、それも決して大きな曲がりではありませんでした。このドライバーは、多くの人の武器になると確信しました。
3つのドライバーは、それぞれに個性的でした。
総じていえるのは、低スピンと高低で変な球が出ないということです。出球の高さが安定しているドライバーは、それだけで魅力があります。シャフトなどで変わる部分はあると思いますが、基本的な性能はヘッドの力です。
クラブが勝手に仕事をするのではなく、使い手の技術に応えてくれるものは、飛距離性能が劣るというのが定石でした。新しいスリクソン Z シリーズのドライバーは、使い手の技術に応えて、飛距離も出るドライバーだといえます。
悩ましいフェアウェイウッドとハイブリッド
フェアウェイウッドの“Z F65”は以下のスペックを打ちました。
#3は、ロフト15度。シャフトは“Miyazaki Kaula MIZU 6”の硬度S。
#5は、ロフト19度。シャフトは“Miyazaki Kaula MIZU 5”の硬度S。
今回、コースで打った中で、“Z F65”のスプーンには心底痺れました。ティーショットで使用したのも含めて7回打ちました。
まず、最初に驚いたのは、普通に打つとストレートにしか飛ばないことです。打ち出したら、そのままの方向に真っ直ぐに飛んでい行きます。ティーアップすれば、それなりにドローが打てますが、地面から3回打ったのですけど、いずれも、ストレートなボールしか打てませんでした。
僕のヘッドスピードではオーバースペックなのかもしれませんが、浮力は最小限で、地面から打つ場合は低い球しか出ませんでした。しかし、このちゃんと打てていないはずの弾道のボールが、飛ぶのです。普段の自分のスプーンより20ヤードは飛びます。厳密にいえば、転がるのです。
巷にも低スピンで飛ばすフェアウェイウッドはありますが、どれも、フェースのどこに当てるかで、飛距離を犠牲にしても球を上げたりすることはできるものです。それが、飛んだり飛ばなかったりで、ゴルファーを戸惑わせているのですけど、“Z F65”のスプーンは、低スピン用というほど飛距離性能に特化しているようです。
僕の場合、現在使用しているドライバーよりも、このスプーンのほうがトータルでは飛びました。慣れれば、強烈な武器になる予感がするスプーンでした。構造としては#4も同じカップフェース構造なので、こちらも同じような特性があるのかもしれません。
市場で売られているスプーンは、流行もあってボールをとらえて高さを生み出す理屈で設計されています。このスプーンは全く次元が違います。
このくらい曲がらないのであれば、強振してドローがかかりすぎることを怖がらずに使えそうです。先輩もこのスプーンの距離性能には驚いていました。
#5は逆にボールを楽に挙げることが可能で、グリーンに止める球も打てます。同じブランドでありながら、構造も違いますが、性能が全く違います。一般的には、#5がフェアウェイウッドとして活躍しそうです。
ハイブリッドの“Z H65”は、以下のスペックでした。
#2は、ロフト16度。シャフトは“Miyazaki Kaula 7 for HYBRID”の硬度S。
#3は、ロフト19度。シャフトは“Miyazaki Kaula 7 for HYBRID”の硬度S。
#4は、ロフト22度。シャフトは“Miyazaki Kaula 7 for HYBRID”の硬度S。
アイアン型ユーティリティーの“Z U65”は、以下のスペックでした。
U3は、ロフト20度。シャフトは“Miyazaki Kaula 7 for UTILITY”の硬度S。ハイブリッドは、どの番手もアドレス時にピタッと方向を合わせられます。これが以外に大事なんです。市場にはアドレスがしっくりこないハイブリッドがけっこうあるからです。
#2と#4を重点的に使いました。#2は、期待した通りに色々な球が打てました。ドローも、フェードも打てます。ボールの高低の打ち分けもある程度はできます。これはラウンドでは完全に把握はできませんでした。もっと打ちたいと思いました。
なんといっても、飛距離性能が魅力です。一定の条件下であれば、かなり飛ばすこともできました。芯で打つ技術がしっかりしていれば、使いこなせると思います。
#4は、期待していたよりも大人しい印象でした。Z シリーズのハイブリッドは#2から#6まであります。ちゃんと番手差の距離を打てることを優先した設計になっているのだと思います。
個人的には、飛ばしたり、飛ばさなかったりできることを期待していたのですけど、#2ほどには#4は多様には使えないようです。しかし、それは距離のミスが出にくいクラブということで悪いことはありません。
アイアン型ユーティリティーの“Z U65”は、ボールが上がりやすいのにちゃんとロフトなりの飛距離が出ます。それでいて、左に行きづらい特性もあるので、助けられるゴルファーも多いと推測します。
先輩はロングアイアンの代わりとして気に入っていました。長い距離を打つフェアウェイウッドとハイブリッドは、貧打で苦しむゴルファーにとって重要なクラブです。自分に合うものを常に探し続けるものです。
市場のトレンドに惑わされずに、Z シリーズは飛距離性能、方向性能共に、挑戦していることを実感しました。
アイアンはスコアを作る道具だから……
今回使用したアイアン“Z765”はセミキャビティー。スペックは以下の通りです。
#5/25、#6/28、#7/32、#8/36、#9/41、PW/46、AW/51、SW/57(数字はロフト)
シャフトはDynamic Gold DST、硬度S200
アイアンで最も大事なのは、番手ごとに距離をしっかりと打ち分けられるかどうかです。ロフトなりのキャリーが出るのか?という基本について“Z765”は楽々クリアしています。ボールは高すぎず、低すぎず、狙い通りに飛んでいきます。飛ぶアイアンではありませんが、強い弾道をイメージできるアイアンです。
強いて、気になることが一つありました。打感がやや重い感じがしました。打感は好みなので、機能には直結しないものですが、こだわる人にとっては高い優先順位となっています。重い打感が好きな人は、実は打感ではなく、手応えを求めています。“Z765”は、手応え十分でした。
セミキャビティータイプのアイアンですけど、正直に書くと簡単なアイアンではありません。芯を左右に外した場合に、クラブはあまり助けてくれずにミスショットとなります。この辺りの味付けは、まさに上級者モデルです。
その代わりに、上下のミスヒットには強い傾向を感じました。ソールの形状なども影響していると思いますが、ダフったときなどの許容範囲は想像よりも大きかったです。
スピン量なども、オーソドックスにできています。しっかりとスピンがかかったボールはグリーンでボールを止めるのに十分です。
ちょっと面白かったのはPWです。弾道や距離は普通なのですけど、どういう訳かはわかりませんが、スピンがPWだけかなり効くのです。
上りの傾斜に落ちた場合で、4ヤードぐらい。平らな所に落ちても2ヤードは戻っていました。他の番手のスピン量は普通だったので、ちょっと驚きました。
7番アイアンです。トップブレードに厚みがあるのは、キャビティータイプのアイアンの特徴です。構えたときに違和感は一切ありません。狙い通りにボールを打てるような気持ちになれました。
ロフトを見ると面白いのですけど、PWの前後だけ5度刻みになっています。これはこのアイアンが、トッププロのためだけではなく、多くのアマチュアゴルファーの使用を前提としている証拠です。
アイアンはこの数十年、番手ごとに4度刻みを基本として、ロングアイアンに近くなると3度刻みとしてきました。最近になって5度刻みの番手差があるアイアンが増えてきたのは、遅いヘッドスピードでも10ヤードごとに番手差が出るようにしたからです。女性用のアイアンは6度刻みのものも多くなってきました。
昔のままのロフトは、ヘッドスピードが速いゴルファーだけが番手ごとの適度な距離を得られて、非力なゴルファーは番手差が10ヤードを切ってしまうのです。
“Z765”はショートアイアンを5度刻みにしたことで、非力なゴルファーでも使いやすいようにしたのだと推測されます。
ちなみに、“Z965”も“Z565”も、ショートアイアンは5度刻みです。実際に使用してみて、ショートアイアンは距離差が明確に出ると感じました。見た目以上に使い手を選ぶアイアンです。マッスルバックの“Z965”と難易度は変わらないと思います。
アイアンはスコアを作る土台になる道具です。使っている満足感を得られることは、機能より有効だったりもします。18ホール全てのホールで使うのがアイアンで、いつも一緒だからです。
まとめ
1本だけ選ぶのは難しいですけど、個人的には“Z F65”のスプーンが面白かったです。距離性能に驚かされました。
思ったよりも良かったのは“Z765”です。見た目よりもシャープで尖ったアイアンですけど、僕のヘッドスピードでも使えます。番手差もちゃんと出ます。慣れとかは不要で、そのまま使えると思いました。そのまま使えることは魅力であり、欠点でもあります。現在使用しているアイアンと変わらない、という意味でもあるからです。
ドライバーも、飛ぶというものほど期待を裏切られるものですけど、“Z 565”を始めとして本当に飛びました。飛距離性能は目立ちますけど、むしろ注目すべきは、方向性と弾道だと感じました。
飛ぶけど曲がるのではないのです。同じ弾道の再現がしやすくて、結果として飛距離も出るという印象です。
ハイブリッドは、完全に個人的な趣味なので参考にならないかもしれませんが、構えた通りにボールが飛ぶだけでも十分だと思います。もっと打って検証を続けたいと考えてしまいました。距離性能に乏しいハイブリッドが多い中で、しっかりと飛びます。
スリクソンファンにとっては、スリクソン Z シリーズは、待望のクラブになると思います。また、今までスリクソンに関心がなかったゴルファーにも徐々に広まっていくことでしょう。単に飛ぶだけではなく、“使い手を選ぶクラブ”ということが良いのです。選ばれたプライドというオマケはプライスレスです。
スリクソン史上最高の距離性能は、本当だと感心しました。そして、方向性や弾道なども、妥協を一切していない性能の高さも体感しました。使いたいと検討しつつあるものもあります。9月10日が楽しみです。