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香妻琴乃の2015不振は何?攻撃的なクラブセッティングは来季爆発するか?

香妻にとって今季ラストとなった大王製紙エリエールレディスオープン最終日の11月22日。18番ホールをパープレーで終了すると、香妻はホッとしたかのような笑顔を見せました。

この大会22位タイ。これで年間ランキングを48位とし、来季のシード権を確保しました。これで、2年連続シード権確保でシーズンを終えました。

しかし、香妻はこんな成績で満足している選手ではありません。昨年は優勝こそなかったものの、2回のプレーオフなどで優勝争いを演じ、積極的なプレーを展開しました。残念ながら、今季はそんな香妻の姿が見られませんでした。

2014年はサマンサタバサ・ガールズコレクションと、ミズノクラシックでプレーオフの末に惜しくも2位2回の他、トップ10入りが7回。2011年にプロ入りして初のシード権獲得。アイドル、モデル並みの容姿も話題となって、菊地絵理香や藤田光里らと共に、新しい女子プロゴルフのスター街道が約束されているも同然でした。
オフシーズンも取材、イベント、スポンサーまわりなどで大忙し。何度も記事、動画で紹介されました。トップ選手並みの情報があふれていました。

2015年シーズンに向けて、宮里藍しかサポートしていなかったJALやメルセデス・ベンツ日本と、未勝利選手には考えられない大手との契約も決まり、順風満帆で迎えたはずのシーズンでした。

えっ?こんな珍事も

11月13日に開幕した伊藤園レディスのマンデートーナメントに、香妻の姿が。この年にシード権を持っている香妻にとって出場権をすでに持っているのに、なぜマンデー出場?

実は、香妻本人がエントリーを忘れたため。マンデーは難なく通過したものの、シード選手がエントリーを忘れてマンデーから出場するのは稀。ゴルフ関係者も「聞いたことがない」という珍事でした。今年の香妻選手にいったい何があったのでしょう?

今年の不振はちょっとしたことから

本人も自覚していますが、何より昨年の人気沸騰からオフシーズンがハードスケジュールに見舞われたのが一番の原因だったようです。初めてシードを得たシーズンを迎えるにあたって、身体やゴルフの調整が不十分のまま開幕を迎えてしまったのです。
さらに持病の腰痛が悪化。グリーンでラインを読むためにしゃがんで立つたびに、腰が痛みリズムが狂い、プレー全体のルーティーンを守れなくなってしまいました。そのため精神的にもネガティブになる悪循環。スコアがまとまらない試合が続きました。

宮崎で英才教育

鹿児島県鹿屋市出身の香妻は、父の影響で3歳からゴルフを始めました。宮崎県宮崎市にある横峯さくらの父が主宰する「めだかクラブ」に入り、レッスンを受け徐々に頭角を現してきました。

香妻父と、横峰父は香妻が将来日本を代表する女子ゴルファーに成長すると確信して小さい時からかなりハードな練習を課していました。

中学校からジュニア、アマの大会で好成績を上げ、高校時代はJGAナショナルチームとして海外の国際大会にも出場しました。

2011年、プロテスト合格し、2014年に優勝争いを演じるようになり初のシード権獲得。そんな香妻選手が初めてぶつかった壁が今季でした。

「飛ばし」の香妻のクラブ・セッティング

得意なクラブは「ドライバー」という香妻選手のセッティングを見てみましょう。

・ドライバー:ダンロップ ゼクシオエイト ロフト8.5°
(シャフト アッタスG7 45インチ フレックスS)
・3番ウッド:ダンロップ ゼクシオエイト ロフト15°
(シャフト アッタス5GOGO5 フレックスS)
・7番ウッド:ダンロップ ゼクシオエイト ロフト20°
(シャフト アッタス5GOGO5 フレックスS)
・4番ユーティリティー:スリクソンZH45 ロフト22°
(シャフト アッタスHY350-65 フレックスR)
・5番ユーティリティー:スリクソンZHU545 ロフト25°
(シャフト NSプロ950G フレックスR)
・アイアン:6番からPW スリクソンZ545
(シャフト950GH フレックスSR)
・PW:クリーブランド588RTX2.0プレシジョンフォージド ロフト48°
(シャフトNSプロ950GH フレックスS)
・AW:クリーブランド588RTX2.0プレシジョンフォージド ロフト52°
(シャフトNSプロ950GH フレックスS)
・SW:クリーブランド588RTX2.0プレシジョンフォージド ロフト58°
(シャフトNSプロ950GH フレックスS)
・パター:オデッセイプロトタイプiX#1

※プロは頻繁に調整を行う為、実際使用するものと異なることがあります。

身長157cmながら、平均飛距離250ヤードのドライバー。ロフトは女子プロには珍しい8.5°を使用しています。

スピン量が少なく、シャフトが短くても飛距離が出るメリットがあります。香妻プロ自身では「自分はボールが上がりやすい方なので、8.5°を使っている」と話しています。

アッタスのシャフトは手元でしなるので、スイング時のタイミングが取りやすくなっています。シャフトの蛍光オレンジのロゴが、ワッグルをした時に視覚の中に残像として残り、スイングプレーンを意識してクラブを始動できる感覚をつかみやすくなっています。

また、ドライバーからFWまでのシャフトは香妻自身の好きな色、ピンクでそろえたオリジナルカラー。おしゃれで女性らしいセンスです。

アイアンは5Iを抜いて6Iからのセッティング。UTはウッド型ではなく、アイアン型を2本入れているのは攻撃的なゴルフスタイルの香妻らしいチョイスです。

シャフトもドライバーとFWはボールを捕らえやすく飛距離が稼げるゼクシオを使い、UTとアイアンは方向性を重視したスリクソンを選んでいます。

アイアンの5番やユーティリティの5番はコースに応じて使い分けています。自分のゴルフスタイルに応じたクラブ構成とシャフトの相性を考えているところは、アマチュアのゴルファーも参考にしたいところです。

気持ちが先走った香妻のこれから

怒ってないのに

昨年の香妻のプレーは、強気に戦う気持ちが全身から発するスタイルでした。グリーンオンを狙うにも、グリーンを読むときでも、真剣な眼差しが印象的。もともと美人なだけに、逆にその強い視線は「クールビューティー」。怖いほどでした。
本人は真面目に取り組んだ結果の「怖さ」でしたが、今季は自分では思うようにならない腰痛などの影響で、周囲には「怒っている」と見られたほどでした。本人もコメントしています。

9月のツアーでは、キャディーから、「負のオーラはマイナス。コースの中でもこうなりたいってポジティブに考えなさい」と指摘されたそうです。本人も「怒ってはいなかったけど、笑ってもいなかった」と気が付いたそうです。

「マイナス思考」より「笑顔」へ

シーズン当初は、腰痛を防ぐための筋力トレーニング中心だった練習を、中盤からショット練習を増やすことでようやくスコアも安定してくるようになりました。さらに、10月になって自然と笑顔が出るようになって、10月始めは2週連続でトップ10入りを果たしています。

目標はさらに高く

今季シーズンをすべて終えた香妻。来季に向けて、今度こそオフシーズンの調整に気をつけて、来季の復活を期待したいところ。だが、香妻はさらに将来を見ています。それが、2020年東京五輪が開催される時のゴルフ代表となること。
五輪イヤーには26歳となる香妻にとって、ゴルファーとしてピークを迎える年齢となります。

日本全国が熱狂するその時、日の丸を背負ってプレーする。

それが、これまで自分を見守ってくれたファンへの恩返しや、国内の未来のゴルファーにとって自分の使命と考えています。

来季は今季を席巻したストップ・イボミと、自らのツアー初優勝を目指し、緑のコースでピンクのシャフトが生き生きと躍動する姿が見たいものです。

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