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ウイスキーボトルを飲みきったのが18ホール目ってのはウソ?

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ゴルフにはたくさんの都市伝説みたいなものがあります。

牧童が家畜を追う間に楽しんだのがゴルフの発祥だとか、コースが18ホールになったのはポケット瓶のスコッチをティグランドでキャップ一杯ずつ飲んで空になったのが18ホール目だったからと言われています。

今回はそんなゴルフの都市伝説について調べてみました。

2つの都市伝説「牧童がゴルフ発祥」「ウイスキー瓶がホール数を決めた」

この2つの話がもっともらしい話のようですが、いずれもマユツバなお話しです。

まず、「牧童がゴルフ発祥」というお話。
スコットランドののどかな風景の中、草原の牧童がゴルフのもとになる遊びに興じるなんてありえないのです。
当時の家畜追いは遊びながら仕事ができるほど楽な職業ではありませんでした。
そんなことをしていたら自分が管理者に引っ叩かれたでしょう。

「スコッチ瓶」の話も、そうです。
ご存知の方も多いと思いますのでかいつまんで説明すると、ティグランドに上がる時にキャップ一杯のスコッチを飲んでプレイをしていたら、ちょうど18ホール目で瓶が空になったので18番ホールまでになったという、メルヘンチックなお話です。

ウイスキーボトルのキャップ1杯は7㏄程度ですから、18ホール分だと約120㏄だったことになります。
スコットランドはオンスで量りますので7オンス瓶が一般的で、それよりも小さい瓶は3オンスとなります。7オンスは約200㏄だから28ホールまで行けたはずだし、3オンスは80㏄だから11ホールで終了していたことになります。

まあ、あくまで数字上のことではありますが、つじつまが合わなくなるので、やはり信憑性は低いだろう、という結論になります。

では、これがあくまで都市伝説だとしたら。
いったいなぜ、こんな「起源神話」が必要だったのでしょうか。

ゴルフの起源

確かに近代ゴルフを作り上げたのが英国人であることは、自他ともに認めル事実。
英国が連合国家だったことは近年のスコットランドの独立騒動で再確認されましたが、ジ・オープンの発祥地として親しまれているゴルフの聖地セント・アンド・リュースはそのスコットランドにあります。
なので、発祥地はと問われると正確には英国ではなくてスコットランドかもしれません。

でも本当の意味でゴルフ発祥の地はと言われると、現在ではオランダというのが定説となっています。
現存する資料や当時の道具をもとに検証するとオランダで生まれた「コルベン」がその始まりと考えられているのです。

コルベンは現在のパークゴルフのようなもので、大きなボールを打って楽しんでいたようです。ちなみにオランダ語のKolfがGolfになったとされていることで、オランダ発祥に裏打ちした信憑性をゆるぎないものにしているようです。

それでも現在までの世界的流行を築いたのは英国ですから、英国人にとっては英国発でなければ我慢ができなかったのでしょう。
スコットランド人がどう思うとも英国人はスコットランドを自分の領地だと思っていたのですから、誰とは特定できない「牧童」がゴルフを始めた最初の人に仕立て上げ、英国発祥のスポーツとしたかったのではないかな、と推測しています。

18ホールが決まった本当の理由とは

スコットランドのお酒スコッチを飲みながら…。
なんてロマンチックでお洒落なお話を考えついたのでしょう。

前述の通り酒瓶の話には無理がありますが、仮にゴルフのルールを決められるほどの意思決定権を持つ人がそうしたのなら、誰が18杯飲んでいたかくらいは分かるものだと思います。この話はよくできていて、「スコッチウイスキー」を前提にすることで、ゴルフが英国発だということを世界に印象付けることができたことになります。

18ホールと決まったのは、競技の主流がスクラッチ競技からより多くの人が一同に競えるストロークプレイになってからのことなのです。
それまでは1ホールごとに勝敗を決めていたスクラッチ競技だったので、ホール数は重要ではなかったし技量を計るハンデの「シングル」なんて言葉もなく全員がハンデ0で競っていたわけです。

ではどうして18ホールになったかというと、聖地セント・アンド・リュースにその起源がありました。

当時22ホールのコースとして人気を博していたセント・アンド・リュース(現オールドコース)が借地を返還することになったのです。
あまりにもゴルフ人気がありすぎて、ついには禁止令が出るほど社会問題化したために、ケジメとして貸主のセントアンドルーズ市に4ホール分を返還し、18ホールにレイアウトを変更したが1764年のことです。ところがホール数を削ったことで素晴らしい評価をうけることになり、他所でも真似してやがて18ホールがスタンダードなコースレイアウトとなったのです。

ちなみにハーフの「アウト」「イン」もセント・アンド・リュースが付けた呼び名です。
このコースにはもうひとつ特色があって、テレビ中継などでは解かり難いのですが、基本的に1つのグリーンに2つのピンが立っていて、アウトは白色の旗、インは赤色の旗がなびいていますが、こちらは他所のコースには波及しなかったようです。

英国人は起源が好きな国民性を持っている

ゴルフがスポーツになったのはずっと後のことで、それまではゲームとして楽しんでいたわけです。そのころは水鳥の羽根を丸めてボールにしていて、男女を問わず楽しんでいましたし、もちろん子供もゴルフで遊んでいたようです。

そんなゴルフがいくら面白いとはいえ熱狂しすぎて禁止令まで出るようになったのは、トランプ・花札・麻雀などと同じ理由があったからです。
勝ち負けを競うのは賭けているモノがあるからで、しかも強いものだけが勝つとは限らない自然が作り出す不公平さが、賭ける人にとっては公平なものとなる屋外で興じるゴルフの面白さとして人気は増大していきました。

賭け事を禁止すると、残ったのはジェントルマンとしての賭けない精神だったのです。
ジェントルマンが大事にするもののひとつに、連綿と続く歴史の踏襲があります。いつしかゴルフの発祥にまつわるお話として、たくさんの想像の翼が広がったのかもしれません。

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