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3番アイアンの使用率はプロでも26%!ロングアイアンの使用実態報告

14本のクラブをどのようにセッティングするかは、そのプレーヤーのプレースタイルが垣間見えて、興味深いものです。特に飛ばし屋と言われている方は、ドライバーはもちろんですが、ロングアイアンにもこだわりがあるのではないでしょうか?

3番・4番アイアンなどは、やはりアマチュアゴルファーには難しく、ゴルフバッグに入れていない方の方が多いでしょう。

現在、新しくアイアンセットを購入しようとすると、男性用では番手が5番アイアン~PW(ピッチングウェッジ)まで、女性用では6番、または7番アイアン~PW、SW(サンドウェッジ)までという構成のセットがほとんどです。

つまり、3番、4番アイアンは、わざわざ購入時に別途追加で購入しなければならないのです。

これは最近の傾向として、5番アイアン以上の距離はUT(ユーティリティ)やFW(フェアウェイウッド)を使用する方が増えているためです。

しかし、ロングアイアンで芯を捉えた時の感触がたまらないという方や、アドレスした際のなんとも言えないかっこよさが捨てがたいという「ロングアイアン愛好者」がいるのも事実です。

確かにロングアイアンは、上級者こそが使いこなしている難しいクラブのイメージです。初心者や、アベレージゴルファーには、憧れですらあります。

こういった難しいイメージのあるロングアイアンの特徴をまとめてみると、

・低弾道である(球が上がりにくい)
・方向性に優れている(クラブコントロールがしやすい)
・スイートスポットが狭いため、ミート率が低くなる(ミスショットが多くなる)

などになります。きちんと当たれば、思い通りの所へボールが飛んでくれるクラブです。

しかし高重心で球が上がりにくいため、ヘッドスピードが不足していると充分な飛距離が得られないまま、ボールが落下してしまいます。ミスショットの場合は、ゴロになってしまうこともしばしばですね。

こういった難点を解消するために考えられたのが、UT(ユーティリティ)です。

また、海外では一般的に「ハイブリッド」という呼び名で定着しています。ウッドに近い形状で構えやすく、さらにロングアイアンに比べ低重心のため、ボールが上がりやすいのが特徴です。そのため、比較的容易に、番手に合った飛距離が望めます。

また、FW(フェアウェイウッド)よりもヘッドがコンパクトなので、抜けが良く、ラフでも使いやすいです。つまり、FW(フェアウェイウッド)とロングアイアンのメリット、デメリットをうまく融合したクラブです。

UT(ユーティリティ)の種類は実にさまざまで、ウッド形状に近いモデルとは別に、アイアンに近い形状のアイアン型ユーティリティも存在します。UT(ユーティリティ)に人気が集まり、利点ばかりが挙げられがちですが、ロングアイアンとは、長所と短所の裏返しでもあります。

ざっくり分別すると、高確率の高弾道で、だいたい思い通りの所へ打てるUT(ユーティリティ)と、高度な技術を要するけれど、ピンポイントで狙った地点へ打つことができるロングアイアンと思っていただければと思います。

このような便利なクラブが普及するようになってからも、どうしてもロングアイアンの方が好き!という方がいらっしゃると思います。

では、ゴルフを極めたプロ達は、ロングアイアンについてどのような選択をしているのでしょうか?ここでは、番手ごとの使用率から、その傾向をみてみたいと思います。

※ロングアイアンを2、3、4番・ミドルアイアンを5、6、7番と位置付けています。

男子プロの3番アイアン使用率は26.4%

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これは、JGTOツアー参戦の男子プロ125名のクラブセッティング内容から、アイアンの使用傾向を調べたものです。つまり、ゴルフバッグの中に何番アイアンから入っているか?というデータになります。

※2015年度のデータですが、プロは頻繁にクラブセッティングを変更しますので、プロによっては、現在のものと異なる場合がありますので、ご留意ください。

以前、石川遼選手が0番アイアンを使用して話題になったことがありましたが、今回の統計では、3番アイアンからのセッティングがスタートとなっています。

では、順を追ってご説明していきます。

3番アイアンの使用者は33人

約4分の1の選手が3番アイアンを使用しています。これを多いと考えるのか、少ないと考えるのかは人それぞれだと思いますが、プロでこのぐらいの割合なのですね。

主なプロは、近藤共弘選手、宮里優作選手、武藤俊憲選手、宮本勝昌選手、金庚泰選手、松村道央選手などです。同じ3番アイアンからでも、クラブセッティングには違いが見受けられます。

近藤共弘選手は、ロフト角21°のUT(ユーティリティ)と3番アイアンをコース状況によって使い分けていますし、宮本勝昌選手は2番のアイアン型ユーティリティを入れることによって、より攻撃的なセッティングとなっています。

4番アイアンからの使用者は54人と最多

次は4番アイアンからの使用者です。ここが一番多いゾーンとなりました。主なプロは、岩田寛選手、藤田寛之選手、池田勇太選手、谷原秀人選手、金亨成選手、藤本佳則選手、石川遼選手、松山英樹選手などです。

岩田寛選手は3番アイアン型ユーティリティを入れていますし、藤田寛之選手は21°のユーティリティで、3番アイアンの範囲を補っています。

松山英樹選手は、調査時点では4番アイアンの上の距離範囲用に5番FW(フェアウェイウッド)を入れていましたが、コース状況によって、ユーティリティを使うこともあるようです。

 

5番アイアンからの使用者は32人

3番アイアンとほぼ同じ、32人が5番アイアンからの使用者でした。主なプロは、竹谷佳孝選手、小田孔明選手、小田龍一選手、B・ケネディ選手、山下和宏選手などです。

ここからは、ロングアイアンを使用しない選択をしたプロという事になります。そして、このあたりになると、クラブセッティングにかなり個人差が出てきます。

 

例えば、小田孔明選手は5番アイアンの上に3番4番のアイアン型ユーティリティを入れているので、ほとんど見た目はロングアイアンなのですが、B・ケネディ選手はそのロングアイアンを抜くことによって、ウェッジをPW、50°、54°、60°と充実させています。

 

14本をいかに効果的に構成するか、プロの考えが見え隠れしますね。

6番アイアンからの使用者は6人

最後に6番アイアンです。さすがにぐっと数が減り、6人でした。主なプロは、言わずと知れた片山晋呉選手です。

 

ユーティリティを自在に操るイメージですが、実に18°、21°、24°、27°の4本のユーティリティを入れています。トッププロとしては異質ですが、クレバーな片山選手らしいセッティングです。

そして、これは多くのアマチュアゴルファーにとって、非常に参考になる考え方になるはずです。「歳だから…」「力がないから…」ではなく、戦略としてロングアイアンを使わないというチョイスをしてみるのもおすすめですよ。

では、次は女子プロの場合をみてみましょう。

女子プロのロングアイアン使用率は4.2%!

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これはLPGAツアーに参戦している女子プロと、米LPGAへ参戦している3名を加えた計96名のデータになります。こちらも2015年度のものですが、現在セッティングを変更している場合もありますので、ご容赦ください。

4番アイアン使用者は4人のみ

いわゆるロングアイアンといわれる番手を使用するのは、わずかに4人でした。渡邊彩香選手、リ・スエド選手、服部真夕選手、三塚優子選手です。

女子プロがロングアイアンを使いこなす姿は、素直にかっこいいと思います。そして、そのロングアイアンを入れているプロの中で注目は、現在の女子プロ界において、屈指の飛距離を誇る渡邊彩香選手です。クラブセッティングをみてみましょう。

 

1W(ドライバー)はブリヂストンゴルフJ715 B5(フレックス X・ロフト9.5°)で、以下15°FW(フェアウェイウッド)、21°UT(ユーティリティ)、4I ~PW、49°、52°、58°、PT(パター)の計14本です。自慢の飛距離を活かした男前!なセッティングですね。

しかし、14本の中にロングアイアンを入れるのは、女子プロでは非常に少数派だという事が判明しました。

5番アイアンからの使用者は47人

女子プロについては、5番アイアンからのセッティングが最多となりました。主なプロは、イ・ボミ選手、テレサ・ルー選手、成田美寿々選手、藤田光里選手、大山志保選手、森田理香子選手、宮里美香選手などです。

2015年の賞金女王を確定させたイ・ボミ選手は5番アイアンの上の番手として、ロフト角25°のUT(ユーティリティ)を入れています。

 

ロングアイアンを入れないことによって、FW(フェアウェイウッド)2本、UT(ユーティリティ)2本を入れたり、またはウェッジを充実させたりすることができます。現在主流の方法といえるでしょう。

6番アイアンからの使用者は39人

6番アイアンからのプロも数多くいました。現在、一般に販売されている女性用アイアンセットは6番、または7番からPWまでが多いので、非常に参考になると思います。

主なプロは、申ジエ選手、イ・ナリ選手、原江里菜選手、宮里藍選手、横峯さくら選手です。

 

宮里藍選手のセッティングをみてみましょう。

1W(ドライバー)ブリヂストンゴルフJ715 B3(フレックスR1・ロフト9.5°)で、以下15°、21°のFW(フェアウェイウッド)、22°、25°、28°のUT(ユーティリティ)、6I~PW、52°、58°、PT(パター)の計14本です。

前述の渡邊選手とかなり違いがみられますね。それぞれのプレースタイルが表れた興味深いセッティングです。現在不振が続く宮里選手ですが、元世界ランク1位の底力に期待したいと思います。

7番アイアンからの使用者は6人

最後に7番アイアンからのプロをご紹介します。主なプロは、表純子選手、前田陽子選手、北田瑠衣選手です。さすがのベテラン勢が顔を揃えました。

表選手はFW(フェアウェイウッド)3本、UT(ユーティリティ)3本を入れています。

 

ロングアイアンだけでなく、ミドルアイアンすらほとんど使わないスタイルは、女性にとってお手本になるのではないでしょうか?

今回はロングアイアンの使用傾向について調査してみましたが、結果、ユーティリティ使用調査のようになってしましました。

まとめ

3番アイアンなどのロングアイアンを使うことはプロにとって当然なのかと思いましたが、そうではないという事が分かりました。

ただ、アイアン型のユーティリティは、いわばアイアン風のユーティリティなので、見た目はほとんどアイアンです。ロングアイアンに限りなく近いイメージで、ロングアイアンより比較的打ちやすいクラブという位置づけなのだと感じました。

逆に、FW(フェアウェイウッド)に近い距離出しや弾道がイメージできるのが、いわゆる普通のユーティリティです。ですから、プロも多くの方が双方を利用しているのです。

さらにプロの場合は、ロングアイアン、ユーティリティのそれぞれの特徴・利点を活かして、コースによって、もしくは日によって(天気など)クラブを選びます。そうした決断の基本となるのが、ロングアイアンとユーティリティの関係なのかもしれません。

しかし、一般的なアマチュアゴルファーには無理な話です。ですから、ここは好みでいかがでしょうか?

様々な要望に応える、様々なスタイルのユーティリティがあります。そうしたユーティリティを使うのもいいでしょう。まさにユーティリティ(役に立つもの)です。

ですが、ロングアイアンの姿かたち、打感にトキメキを感じる方は、是非ロングアイアン道を極めてください。

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