「の」が大事??飛ばし屋、小田孔明のスイングに「の」が欠かせない!?
- 2016.01.15
- 技術向上
身長176㎝、体重85kg、胸囲105cm、背筋は210kgを記録したこともあるほど。恵まれた身体の小田孔明。
高校生の時にすでにドライバーで330ヤードも飛ばしていたといいます。2015年のツアー・ドライバー平均距離は282.46ヤードでしたが、小田の飛ばし屋ぶりはツアーでも一目置かれた存在です。
何よりドローを得意としたロングアイアンも含め、飛距離を最大限の武器としたアグレッシブなプレースタイルはファンを魅了しています。
2014年は最後まで藤田寛之と争って賞金王を獲得。今後は松山英樹、石川遼ともども、海外ツアーでも活躍が期待される日本プロゴルフ界の中堅選手です。
スイング・リズムの意識
小田の強みは、ドライバー、アイアンとゴルフスイングが同じリズムで打てること。そのタイミングの取り方はとてもユニークで、実はアマチュアのスイングにもとても参考になります。
柔らかく握ったグリップ、ゆったり構えたアドレスからバックスイングが始まります。左右のスライド動作を極力避けたテイクバックから、ターン動作でクラブがトップの位置へ。
トップで一瞬タメを置いてダウンスイングに入り、インパクトから大きなフォローへと移行しています。これを小田は「シンプルにクラブを上げて、正しいトップからそのまままっすぐ下ろせば十分飛距離がでる」と表現しています。
「の」はタメを自然に生む
さらに小田はスイングの秘訣として、「四拍子でイメージする」とも言っています。
・1=アドレス
・2=バックスイング
・3=ダウンスイング
・4=フィニッシュ
この「1、2、3、4」の間の取り方で、「2」と「3」の間に「の」を入れると「ちょっとした間を作れる」(小田)。
つまり「1、2(の)3、4」のタイミングでスイングをするということです。
実際にこのリズムでシャドースイングを試してください。「の」を入れることで、トップスイングでコックがほどけるのが遅くなるのを感じませんか。このため、上体が起きることなく、スエーや体の開き、スライスも抑えられます。初心者にもわかりやすく、効果も期待できそうです。
この時のポイントとして、「右腕をリラックスさせること」があります。ダウンスイングは左腕のリードですが、右腕がリラックスしていないと「の」の間でタメが生まれません。右腕、左腕がそれぞれの役割を果たすことで、自然にタメが生まれています。
アーリーコックが可能にしている
この独特のリズムで生まれるスイングには、もう一つの秘密があります。スイング動画を見ると、小田のバックスイングではほとんどスライド動作がなく、頭を中心とした円運動を描いています。
これは小田がゴルフを始めた7歳の時、父・憲翁さんの教えは「頭は絶対動かすな」でした。額の横には父が手で持ったクラブをかざしスイングしていた、スパルタ式のスイング理論が現在の小田のスイングの根底にあるようです。
ただし、この方法でスイングをすると、普通は左手甲が自分に向いてヘッドのフェイスが上を向いてしまいます。これを防ぐため、小田はテイクバックの開始直後に左手首を折るヒンジングをすることで、フェイスが開くのを防いでいます。
一般的にテイクバックは、「左腕が地面と平行になるところでコックし、シャフトを立てていく」とされます。しかし、このコッキングはスイング動作中の微妙なタイミングで行う小さな動きなので、なかなかタイミングが難しく、正しいトップに収まらないことが多いのです。
シンプル&コンパクト
小田のスイングは“難しい動作や小さな動きは始めから決める”のがポイントです。このヒンジングによるアーリーコッキングは、その後の動きをシンプルにできるメリットがあります。
左腕、手首、クラブの関係をコッキングすることで、トップスイングであるべき形に作ってしまい、左腕をまっすぐに上げていきます。その動きによって左肩、ボディーが連動してクラブヘッドがインサイドからトップの位置に収まってきます。
このスイング方法だとタイミングに惑わされることがなく、身体のオーバーアクションも防げます。アマチュアがこの打ち方を練習するには、バックスイング始動時にクラブフェイスが開かないコッキングを決め、いったん止めてその位置を確認。そこから左腕をトップ位置まで上げて、ボールを打つ。こんな練習方法を繰り返すとシャープなスイングが得られます。
アプローチショット向き
また、このスイングはドライバーやアイアンだけではなく、グリーン周りのアプローチショットで有効です。フルショット、トラブルショット、バンカーショットと、アプローチも同じコックのタイミングで打てます。
バックスイングが小さいショートアプローチでは、コックするタイミングがとりにくくなります。手首をあまり使わない人はコックのタイミングがフルショットと変わるので、アプローチを難しく感じてしまいます。どうしても、大きめに打ってしまうのです。
アーリーコック派は早めにコックを決めてしまうことで、バックスイングの振り幅だけで、安定したアプローチの距離を出せます。
2016年は飛躍の年
海外ツアー初挑戦は2009年の全英オープン。以降、小田は思ったような成績を残せないでいます。
賞金王翌年の2015年は賞金ランキング10位。負けず嫌いの心の中には、2016年から再度海外への挑戦心が燃えているはずです。