激闘を演出したパッティング

TPCスコッツデールを埋めた大観衆は、ほとんどファウラー選手を応援していました。そんな完全アウェイで、もぎ取った勝利でした。



松山が初めて首位に並んだのは、最終日の終盤17番ホール。短いミドルで首位のファウラーがティーショットを池に入れてボギー。松山は2打目でピンそばに寄せ、楽々バーディーで首位に並びます。

18番はしびれました。松山が5m難しい下りのバーディーバットを決めると、ファウラーも3mのパットを入れ替えしてバーディー、通算14アンダーで並びプレーオフです。

プレーオフ最初のホール、2番目のホールと共に譲らずパー。3番目のミドルホールでも劇的なシーンが。

ファウラーは2打目グリーンオーバーで、3打目アプローチも寄らず。がぜん、松山有利。グリーンエッジからバーディー狙いのロングパットは惜しくも左を抜け、オーバーしたもののパー。ファウラーもプレッシャーのかかる難しい下りのパットをねじ込んで、再び分けて4ホール目へ。

正規17ホール目と同じ17番で、再びファウラーのティーショットは池へ。第3打でピン手前に寄るもパーパットが決まらず痛恨のボギー。松山はバーディーパットこそ外しましたが、短いパーパットを決めて、ついに米ツアー2勝目を手にしました。2015年に勝てなかった松山の優勝は、共にアメリカで戦う石川遼にも大きな刺激になりました。



「18番のバーディーパットはゴルフ人生で一番いいパット」と松山は勝利コメントに、パットが要所で決まったことを上げました。

松山のクラブセッティング

優勝を引き寄せたのは、

パター:スコッティキャメロン ニューポート2GSS プロトタイプ

ジャック・ニクラウスが全米オープンで使用し、一気に人気となったスコッティキャメロン。デイビス・ラブ三世、ペイン・スチュワート、中島常幸などが愛用し、松山もこのパターを愛用しています。

ドライバー:スリクソンZ745 プロトタイプロフト9.5度(8.5度と使い分け)
(シャフト:グラファイトデザインツアーAD DI-8/TX 44.75インチ、ヘッド体積430cc)

契約しているダンロップのスリクソンのクラブを使っている松山。この2014年発売モデルは、ドロー、フェードボールを打ち分けられ、高い弾道を描きます。ヘッドには独自のブースターカップフェース構造を採用し、反発力を高めています。



ただし、今大会で松山はこれまで使っていたスリクソン ZR-30 ロフト8.5度(シャフト:グラファイトデザインツアーAD DI-8/TX 44.75インチ)を使っていたようです。これまでにも、松山のドライバー選択はこの2本を使い分けることが多く、練習中のフィーリングでこちらに決めたようです。

2008年から販売されたZR-30は、パワーチャージフェースを採用して飛距離と安定性を確保。フェースよりの浅めに重心を配置し、中弾道で飛ばします。

ちなみに、シャフトの硬さは共に8TX(ツアーエックス)と、Xよりさらに硬くなっています。アマチュアは自分にあった硬さを選びましょう。

フェアウェイウッド:スリクソン ZF45ツアー プロトタイプ 3W ロフト15度

これまでこのモデルは、2個のウェイト交換による重心バランスの調整ができました。モデルチェンジでウェイトをなくし、飛距離アップを優先、3Wではスイートエリアが従来より58%広く、飛距離も約10ヤードアップしています。今大会は「テーラーメイド ロケットボールズ ステージ2 フェアウェイウッド」を使用していました。

ユーティリティ:スリクソン ZU45 ハイブリッド #2 ロフト18度
(シャフト:ダイナミックゴールド / S400 42.5インチ)

松山も「ユーティリティの方が操作しやすく、やはりグリーンで止めやすい。低い球が打ちやすい」と愛用しています。このモデルは「打音が気に入っているし、アイアン型の方が扱いやすいと思う」(松山)とコメントしています。

今大会はコース戦略上、ホンマTW727(ロフト19度)を使用していました。

アイアン:スリクソン Z945(4番~PW)
(シャフト:ダイナミックゴールド / S400)

松山はこのモデルを「打ち分けで距離感が出せるし、スイングの抜けの良さがいい。打ちやすく、高弾道が出る」と表現しています。また、一般的にプロはアイアンのスチールシャフトにはダイナミックゴールド X-100フレックスの硬いシャフトを使っていますが、松山はS-400とあまり硬くなく重いシャフトを使っています。これもフィーリング重視のようです。

ウェッジ:クリーブランド 588RTX 2.0プレシジョン フォージド(50、56、60度)
(シャフト:ダイナミックゴールド / S400)



米ツアーで戦う上で、コースによって戦略も変える必要があります。バッグに入れるゴルフクラブの選定も重視されます。今では高い弾道で飛距離を出し、グリーンで止める技術が必要とされますが、ショートゲームも重要です。

特にPGAは腰の強く長い洋芝コースで開催されるため、ラフから芝を切るようなショットをするためにはロフト60度のウェッジが武器になります。その代り、FWとUTは1本ずつにしています。

ショートゲームも光る松山への期待は3勝目、メジャー勝利

松山というと、動画で良く見る豪快なドライバーショットのイメージが印象的です。しかし、長く同じモデルを使い続けるパター、3本を使いわけるウェッジと、卓越したコース戦略を持っていることもPGAツアーで上位ランクをキープしている要因です。



「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」では堂々としたプレーで、ファウラーを破った松山。そのプレーぶりは、すぐにでも達成しそうな3勝目、また4月のマスターズや、その後のメジャーでも注目される選手になりました。

ジョーダン・スピースやローリー・マキロイらと、彼が最終日18番ホールで上がってくる光景も期待できます。今年は、日本のファンを楽しませてくれそうです。