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ジャスティン・トーマスのクラブセッティング!今季若手有望株の新スイングとは?

今年の1月15日、ソニーオープン・イン・ハワイのラウンド初日を「59」との驚異的なスコアを叩き出したのが、トーマスでした。会場を埋めたギャラリーも騒然となりました。その勢いは止まらず、64、65、65の計253、27アンダーで2位に7打差、ぶっちぎりの優勝を飾りました。

「253、27アンダー」は72ホールのPGAツアー個人最小ストローク記録となりました。それ以前の記録も実はトーマス自身が2015年のCIMBクラシックでマークした26アンダーでした。

また、ソニーオープンでの優勝は前週のSBSトーナメント・オブ・チャンピオンズで2位の松山英樹に3打差のリードをつけて優勝した2週連続だったばかりか、その時点のシーズン6戦目の試合出場で3勝と圧倒的な力を見せたのです。

マスターズこそ最終日22位タイで終わりましたが、今季トーマスの活躍は間違いないでしょう。

生年月日は1993年4月29日の23歳。ケンタッキー州ルイビル出身で、ジョーダン・スピースと同期。プロ転向は2013年、PGAツアーの上位ランクに入り始めた2015年にCIMBクラシックで初勝利、続いて2016年の同大会も連覇し、2017年はすでに3勝とまさに急上昇中のホープです。

タイガー・ウッズによってゴルファーも陸上やアメフト並みのトレーニングをする選手が当たり前になり、そのタイガーを見てゴルフを目指した世代です。ジェイソン・デイ、リッキー・ファウラーらライバルも含め、今年最も期待される1人です。

タイガーこそマスターズで復活はなりませんでしたが、まさに若いタイガー世代が現在のゴルフ界の中心となっています。

トーマスのクラブセッティング

ソニーオープン初日に記念すべき「59」を出した時のトーマスのクラブセッティングです。ちなみに、トーマスは23歳8ヶ月14日で「60」を切り、PGAツアー史上最年少選手となりました。

ドライバー
タイトリスト917D3(ロフト角9.5度) シャフト:三菱ケミカル ディアマナBF 60 フレックスTX

フェアウェイウッド
タイトリスト917F3 3番(ロフト角15度) シャフト:三菱ケミカル S+ Limited Edition 80 フレックスTX

タイトリスト915Fd 5番(ロフト角18度) シャフト:フジクラ モトーレ・スピーダー VC7.2 フレックスX

アイアン
タイトリスト716MB(4I-9I) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド・ツアーイシュー フレックスX100

ウェッジ
タイトリスト ボーケイ SM6(ロフ角ト46度) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド・ツアーイシュー フレックスX100

タイトリスト ボーケイ SM5(ロフト角52度、56度) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド・ツアーイシュー フレックスS400

タイトリスト ボーケイ SM6(ロフト角60度) シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド・ツアーイシュー フレックスS400

パター
スコッティキャメロン Futura X5 Flow Neck Prototype

ボール
タイトリスト プロV1x

飛ばし屋のトーマスはギアにユーティリティは使っていません。代わりにウェッジを4本とショートゲームにも対応できる構成です。スタッツでは4.89でバーディー率は1位です。(4月16日現在)

「地面を蹴る」スイング

2016年のWBCブリヂストン招待2日目でトーマスは414ヤードという驚異的な飛距離を記録しています。この時は追い風の影響があったとはいえ、そう簡単に400ヤードは飛ばせません。

その爆発的な飛距離の秘密は「左足」にありました。これは同じ飛ばし屋、ローリー・マキロイと共通するものです。

トーマスの動画スイングを見ると、スイングスピードの速さにまず目が行きます。それは腰のキレ、返しの速さと連動するようです。このスピード、実は左足が生んでいるのです。

スイングの大きな特徴は、インパクトからフィニッシュにかけて左足がまっすぐ伸びていることです。普通、フィニッシュで左足がピンと伸びている状態はヘッドアップ状態になります。ところが、トーマスのヘッドの高さは変わらないままです。

アドレスからスイングが始動し、トップからの切り返し、ダウンスイングの状態で軽く曲がっている左膝が、インパクトからは左足で思いっきり地面を蹴るような動きで膝を伸ばします。この動きがクラブを加速させます。

極端に言うと、ダウンスイングから始まる腰の左側への回転によって、スウェーしないで右足が支えた重心は腰が回るのと同時に左足へ移ろうとします。その動きに反するかのように、左足が突っ張るように力を入れることで、クラブが増速されるのです。

体の左へ重心が移ろうとする動きに対し、左足が右方向へ突っ張る。この相反する運動でヘッドが走ります。右足から左足への体重移動で飛ばすのではなく、まるで両足はそのままの位置で相反する力の作用で体だけクルッとまわるのです。

これは松山英樹の、「左足の縦のツイスト」と呼ばれるスイングとも通じるものがあります。

道具の改善と飛ばしへの改良

ゴルフのドライバーはかつてのパーシモンヘッドにスチールシャフトの時代から、チタンヘッドとカーボンシャフトの時代になり、スイングレベルも大きく変化しています。

かつては飛ばそうと思ったら、右から左への体重移動スイングが普通でした。今では、左足を蹴るような動作、踏み込むことで爆発的なヘッドスピードを生んでいます。

かつてのパーシモンヘッドでこのスイングをしたら、数試合でヘッドにヒビが入るでしょう。カーボンほど硬くないスチールシャフトでは、スイングスピードを生かしきれず曲がってしまいボールの弾道は定まらなくなります。

現代の科学が道具を進歩させ、ゴルフスイングもそれに伴って進化してショットも安定しているのです。

ただし、心配な事も。もう一度、トーマスのスイング動画を見てみましょう。この切り返しの速さは左足への大きな負担がかかりそうです。このスイングを続けていくと、左膝への悪影響も考えられてしまいます。

アマにも参考となるスイング

今やトップアスリート並みの体格がそろうゴルフ界で、178センチ、66キロのトーマスは小柄にも見えます。そんな彼でも2017年のドライバー平均飛距離は10位ながら、306.5ヤードと飛ばし屋の一員です。ちなみに松山英樹は302.9ヤードで22位です。(4月16日現在)

もちろん、トーマスや松山ほどのパワーあふれる左足踏み込みでの強烈なスイングはアマチュアには無理です。しかし、スイング論として、左足に体重移動をしなくても、左足を踏み込むことでドライバーの飛距離が数十ヤード伸ばすことは可能です。

プレー中に「飛ぶようになったんじゃない!」とコースのフェアウェイで同伴者から褒められるのは気持ちが良く楽しくなります。今年はぜひジャスティン・トーマスのメジャー舞台での活躍を期待しながら、新しいスイングに取り組んでみるのがオススメです。

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