PGAツアーが徹底分析!気になるアノ選手の試合前ルーチン④松山英樹編!
- 2019.04.17
- トピック
2017年5月15日。
男子ゴルフの世界ランキングで、元世界ランキング1位のジェイソン・デイ選手を抜いて、日本の松山英樹選手が3位になりました。これは、松山選手自身と中島常幸プロの持つ記録4位を抜き、日本人としては歴代最高位です。
今回の“PGAツアーが徹底分析!気になるアノ選手の試合前ルーチン”第4弾は、松山選手をご紹介いたします。
ちなみに、この試合前ルーチンのシリーズですが、2015年からスタートしていてトッププロを対象としてPGAツアーが制作していますが、ここまでランキングを上げてきた松山選手をさすがのPGAツアーも見過ごす訳にはいかなくなり、とうとう2017年にシリーズ初登場となりました!
松山選手がPGAツアーに認められ、名実共に世界のトッププロの仲間入りを果たしたようで、日本人としてとても誇りに思います。
松山選手の2016年シーズンの実績
2016年は松山選手にとって飛躍の1年となりました。そこで、試合前ルーチンをご覧いただく前に、今一度昨年の成績を振り返りたいと思います。
参加トーナメント数:25試合(PGAツアー非公認のヒーロー・ワールドチャレンジ含む)
優勝回数:5回(PGAツアー非公認のヒーロー・ワールドチャレンジ含む)
トップ10フィニッシュ:12回(優勝含む)
2試合に1回はトップ10入り、さらには5試合に1回優勝しているという計算となります!
特に圧巻だったのは日本のメジャー大会、日本オープンゴルフ選手権競技でした。難しいセッティングに各選手が苦しめられる中、5アンダーで2位に3打差をつけての勝利は多くのゴルフファンの脳裏に焼きつきました。
今回は松山選手の強さの秘密を、前回のバッバ・ワトソン選手の回に引き続き、PGAツアーが分析している“スタッツ”と照らし合わせて浮き彫りにしてゆきます!
スタッツのおさらい
前回もお伝えいたしましたが、スタッツ(stats)とはstatistics(統計)のことで、PGAツアーのスタッツは“部門別の個人成績”をランキング形式で実に詳細に分析しています。
一般的には“平均スコア”、“ドライバーの平均飛距離”、“パーオン率”、“平均パット数”などが注目されるスタッツとなりますが、前回ご紹介したように“パット部門”だけでも27項目もありました!詳しくは前回のバッバ・ワトソン編をご覧ください。
Approach-The-Green~アプローチ・ザ・グリーン~とは?~
松山選手の強さの“軸”はなんといってもショットの精度です。そこで今回は、そのショットに焦点をあてていきたいと思います。
ちなみに“ショット”はPGAツアーのスタッツでは“アプローチ・ザ・グリーン”にあたります。この項目の定義としては「パー3のティーショット、及びパー4、パー5での2打目」に関するデータとなります。
前回のパター部門は27項目ありましたが、ショットのそれは、なんと100項目にも及びます!さすがにそれを全て列挙してゆくと大変なことになるので、基本的な内容を簡単にご説明しておきます。
・貢献度×1項目
・パーオンに関するデータ×15項目
・フェアウェイからの精度に関するデータ×16項目
・ラフからの精度に関するデータ×17項目
・スコアに関するデータ×38項目
・パー4の1打目、またはパー5の2打目のデータ×6項目
・その他×7項目
計100項目。
“パー4の1打目、またはパー5の2打目のデータ”という項目は少し分かり難いのですが、つまりパー4の1打目やパー5の2打目にグリーンを狙ったか?また、その成功率は?といったデータとなります。ここまで、詳細なデータとなると記録する人も大変です!
この中で重要な項目はなんと言ってもパッティング同様、各項目の“貢献度(ストローク・ゲインド/SG)”となります。今一度おさらいしておくと、
“貢献度(ストローク・ゲインド/SG)”とは、ある大会で出場した全ての選手の平均値から、自分の平均値を引いた数字となります。
例えば“ある大会”の“あるホール”において“ある条件”からの平均のショット数が2.5打とします。そして、ある選手の数字が2.0打であれば、この大会において“あるホール”におけるこの選手の打数は出場した選手の平均よりも0.5打少ないということになります。
つまり、出場する大会や、コースのセッティングによる不公平がなくなり、勝ち負けに直結する精度の高いデータとなります。
松山選手の注目スタッツ!
松山選手の2016年シーズンの主なスタッツは次のようになります。
今回は全て各トーナメントでの貢献度を表すストロークゲインド(以下SG)でのスタッツをご紹介いたします。
SG:OFF-THE-TEE:0.527 / 17位
(パー4、またはパー5のティーショット)
SG:APPROACH-THE-GREEN:0.774 / 3位
(パー3のティーショット、及びパー4、パー5での2打目)
SG:ARROUND-THE-GREEN:0.015 / 95位
(グリーンエッジから30ヤード以内のアプローチ)
SG:PUTTING:-0.025 / 103位
(パッティング)
SG:TEE-TO-GREEN:1.315 / 6位
(最初の3つの合計)
SG:TOTAL:1.290 / 10位
(パッティングを含めた全ての合計)
このデータの数値の単位のイメージは「打/ラウンド」となりますので、松山選手は出場した試合は平均スコアよりラウンド毎に1.29打良いスコアでプレーしていることになります。つまり、4ラウンドにすると実に5.16打も違ってくることになります。
内容としては苦手としているグリーンまわりやパターを、ティーショットとセカンド、サードショットでカバーしているような分析結果となっています。
松山英樹選手の試合前ルーチン
好調な1年を送った2016年の分析内容に対して、松山選手はいったいどのような試合前ルーチンを行っているのでしょうか? 早速、ご覧ください。
いかがでしたでしょうか?
まず、驚いたのがパットの練習量ですね。実に全体の40%にあたる72球もパットに費やしていました。松山選手もパッティングの調子が勝負の決め手になることを自身でしっかり分析した上での調整なのでしょう。
そして、次に驚いたのがショットの練習です。全体的にまんべんなくクラブを使っていましたが、なんと4番アイアン、5番アイアン、7番アイアンはたった1打ずつしか打っていませんでした!パッティングと違って、ショットの精度には確固たる自信を持っているのだなあと感じました!
まとめ
PGAツアーの松山英樹選手の試合前ルーチンはいかがでしたでしょうか?2016年のスタッツを見る限り、パターが入り出したら手がつけられなくなりそうな、なんともワクワクするような予感がしてきました。
先程のスタッツでは細かくご紹介できませんでしたが、昨年松山選手は“バーディー・アベレージ”という項目で4.19をマークして4位という好成績を残しています。
これは、バーディーまたはそれ以上のスコアが何ホールに一回出るかという数字になります。つまり、松山選手は4.19ホールに1個の割合でバーディーを量産していたのですね。
最後にPGAツアー公認ではありませんが、2016年見事松山選手が優勝を果たした、タイガー・ウッズ選手が主催しているヒーロー・ワールドチャレンジのハイライトの映像をご用意いたしました。強い風の中での、安定したプレーをご覧ください。
松山選手のさらなる飛躍を期待して。
(完)