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小平智のスイングが世界に羽ばたく!1gの違いも見破るその精度とは?

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米ツアー4連戦のラスト、5月31日に開幕したザ・メモリアルトーナメント(オハイオ州ミュアフィールドビレッジゴルフクラブ)、2日目までで小平智は3オーバー、94位と振るわず2試合ぶりに予選落ちしました。さすがに初挑戦の米ツアー、転戦の疲れや猛暑、何よりすべてが初めてのコースに、4連戦の疲れが出た様子です。

それでも、フォートワース招待初日(5月24日、コロニアルCC)では、10番スタートでの折り返し1番ロングでアルバトロスを達成しています。565ヤード、パー5でティーショットを324ヤードの飛距離を披露。残り234ヤード、3番アイアンでの第2打はグリーンをとらえると、そのままピン方向へ転がりカップに吸い込まれました。

自身、日本ツアーを含めても初体験のアルバトロス。予選2日間を3位タイで通過しましたが、決勝ラウンドでスコアを落とし、通算6アンダー20位タイ。アルバトロス達成の喜びよりも、スコアを崩したことに悔しさをにじませました。

日本人最速の米ツアー優勝

小平自身、米ツアー挑戦を目指していました。2014年にツアー予選会に挑戦しましたが不合格。それでもあきらめず、米ツアーで出場権を得られた大会に参戦していました。昨年は全米オープンや全米プロにも出場し、手ごたえを感じています。

今季はマスターズ出場権を得るために世界ランキング50入りを目指し、新年早々からアジア、メキシコ、アメリカを転戦し世界46位とし、出場資格を獲得。本番でも初出場ながら28位と健闘しました。

ここから小平の米ツアー挑戦のプランは、出場資格が得られる大会にスポット参戦し、スペシャル・テンポラリー・メンバーを経て、正式メンバー入りとのステップでした。

ところが、マスターズ翌週のRBCヘリテージで初優勝を成し遂げ、いきなり米ツアーメンバー入りを果たしてしまいました。日本人で米ツアーで優勝してツアー資格を獲得したのは、青木功、丸山茂樹、今田竜二、松山英樹に次いで5人目です。

プレーオフ3ホール目で初優勝を獲得

RBC Heritage - Final Round

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マスターズ翌日の月曜日、チーム小平の4人とともに車でジョージア州オーガスタからサウスカロライナ州ヒルトンヘッドへ移動。この週に行われたプロアマ戦には出られなかったので、練習ラウンドは火曜日に1日だけで予選に臨まなければなりませんでした。

初日はコースに慣れていないせいもあって、ショートパットを外しまくり、2オーバーの73で82位。2日目に8バーディー、ノーボギー、通算6アンダーとスコアアップし13位で予選通過を決めます。「10位以内に入って、翌週のツアーに出たい」(小平)。

最終日は7バーディー、2ボギーで通算12アンダー。小平がホールアウトした時点で首位のキム・シウーは14アンダーでしたが、キムは残り4ホールで2ボギーを叩き、小平と並びます。プレーオフは米ツアー2勝のキムへの応援が多く、アウェー感の中、始まりました。

2ホール目まで二人ともパー、3ホール目のパー3で、キムが6mにつけ、小平は7.5mのバーディーパットを決め、対するキムはバーディーパットをショートして勝負あり。小平は優勝賞金120万6000ドル(約1憶3000万円)を獲得しました。

準備不足のまま本格参戦のチーム小平

RBC Heritage - Final Round

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スポット参戦でいきなり優勝してツアーメンバー入りした小平には、長いツアーに挑戦する準備期間がありませんでした。チーム小平はベテランキャディの大溝雅教さんに、小平の身の回りを世話するマネージャー、ウエアと米転戦移動の担当、用具担当の計4人です。

英語が堪能なスタッフはいませんが、チームはまとまってどんどん米ツアーに順応してきています。小平にとっては、奥さんの元賞金女王、古閑美保さんの存在も大きいようです。

スポット参戦からのツアーメンバー入りには、ジョーダン・スピースがいます。スピースは2013年に米ツアー参戦。スポンサー推薦枠や、トップ10以内で翌週の出場権獲得の可能性にかけた綱渡り。同年7月のジョンディア・クラシックで初優勝して、正式メンバー入りしています。

小平のスイングのこだわりが世界レベルへ

Leopalace21 Myanmar Open - Practice

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2017年に小平が愛用していたクラブのヘッドが割れてしまいました。それからのエピソードが、彼のスイングへのこだわりを表しています。「割れた」といってもフェースに1.5cmの細い線の傷跡があるだけですが、もちろんプロにとっては小さな違和感も許容できるわけではありません。

割れたドライバーヘッド、フェース面の中心にある打球痕は直径1cm。国内男子のプロゴルファー平均は直径2cm以上が一般的と、小平のインパクトの正確性とこのドライバーとの相性を示しています。

機械で生産しているとはいえ、アマチュアでは感じることができない微妙な差があります。小平がメーカーに依頼したのは同じモデルのクラブヘッド30個。それぞれ打感を確認して5個に絞り、さらに改良していきました。見た目、弾道のわずかな違いを分析して追求したのです。

ヘッドの中にグルーという粘着剤を注入し、内部の位置を変えることで、重心を0.5mmずつずらしながら確認していきます。小平のドライバーはシャフト、グリップを入れて340g程度ですが、道具担当の中村好秀さんによると「(小平は)1g以下の違いも見破るんですよ」と苦笑する。

中村さんは2014年から小平との付き合いが始まりましたが、当時から彼の異才ぶりに注目していました。「彼はドライバーでボールのスピン量をコントロールして、ドロー、フェード、高い球、低い球を打ち分け、風に軽くぶつけて5ヤードほど曲げて、フェアウェイに置くことができた」(中村さん)。この中村さんも現在のチーム小平の一員です。

次なる勲章へチーム一丸

RBC Heritage - Final Round

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5月21日時点で小平の世界ランクは29位。開幕4週間前の世界ランク60位までに与えられる全米オープン(6月14日、ニューヨーク州シネコック・ヒルズGC)の出場権を獲得しています。

今週末は休養し、リセットして全米オープンを目指す小平。右へ左へとボールをコントロールする希代のショットメーカーがメジャーで爆発するか、長い米ツアーで再び優勝するのも遠い日ではなさそうです。

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