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星野陸也は男子ゴルフ期待の新星。父が育てた頭脳が巧みなコース戦略を生む

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初優勝はまさにパーフェクトでした。初日に星野陸也の真骨頂を見せたのが、コース最長のパー4、5番の535ヤードでした。

ボギー、ダブルボギーと崩れる選手が多い中、1.5mのバーディーの位置につけるなどショットが好調。300ヤード以上を飛ばすパワーばかりではなく、グリーンをデッドに攻めるためティーショットの落としどころによってドライバー、ウッドを使い分けました。

その戦略がはまって3日目まで5打差と圧倒的な首位をキープ。さすがに初タイトルの重圧からか7番までに3打差に迫られたものの、8番で4mのパーパットを拾い、10番パー4では、強めに当たってしまった残り25ヤードの第3打がピンに当たって直接入るチップインバーディー。これで落ち着きを取り戻し、12番から3連続バーディーと優勝を確実にしました。

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「難しいコースは好きなので、楽しく回れました。マネジメントは完璧でした」と星野は胸を張りました。クールに大会を振り返る星野も、優勝を決めた直後、18番グリーン脇で見守っていた父・宏さん(55)、母・正子さん(46)の両親に抱き着いた時は涙をこらえることができませんでした。

父・宏さんと歩んだ初タイトルへの道

ベストスコア72の宏さんの影響で6歳からゴルフを始めた星野。その父親に負けるのが悔しくて、1日200~300球打ち込んだ、といいます。

そんな負けず嫌いの性格の星野に、宏さんはゴルフだけをさせることはしませんでした。サッカー、水泳などのスポーツ以外にも、ギター、ピアノ、書道は師範クラス。「いろんな感性を磨いて、ゴルフに活かしてほしかった。小さい時からプロゴルファーになると思っていた」(宏さん)

中でも中国と日本のハーフとなる宏さんに教わった中国将棋がコースマネジメントに役に立ったといいます。2人で対戦して盤上のコマを動かすのは日本将棋と同じでも、中国将棋はチェスと同じように取ったコマを使うことはできません。

取ったコマが復活する日本将棋は終盤が複雑になりますが、中国将棋の場合、序盤のリードが勝敗を決めることが多いのが特徴。それだけ、しっかりした最初の戦術が重要で、ゴルフのコース戦略に応用しやすそうです。星野は、2年もしないうちにゴルフでも、中国将棋でも宏さんに勝てるようになった、と言います。

魅力は飛距離

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186㎝の長身からダイナミックなスイングで300ヤードを軽々と超えてくる飛距離はまさしく星野の醍醐味です。昨年は1年間かけてスイングを改造しました。

それまではインパクト時に左足に体重がかかりすぎて、ボールを上からつぶすようなスイングのため飛球が低くなっていました。それをバックスイングで右足への体重移動と肩の捻転を増やすことで解消しました。バックスイングの始動で顔がいきなり後ろに向きます。こうすることで体が回りやすくなりました。トップではクラブが寝てオーバースイングに見えますが、上体がよく回っているので、問題ありません。

インパクトでの体のポジションがやや右側になることで、それまではインパクト時のロフトが6度程度だったのが、8~10度に。ボールコントロールが増して、振りぬきもスムーズになりました。アイアンのボールも高くあがるようになったので、ピンをデッドに攻めることができるようになったのです。

大きなバックスイングと上体の回転に比べ、下半身はコンパクトな動きです。両ひざの動きが小さいワイドスタンス。軸は体の中心にあり、体重移動も小さいので、単に飛ばすスイングではなく、正確性がミックスされているのです。

星野のクラブセッティング

中学時代にすでに身長180㎝を超えていた星野。茨城・水城高校で関東ジュニア連覇。2016年8月、日本大学を中退してプロ転向し、2017年のシーズンで31位と初シードを獲得しました。シード選手となった2018年に早くも初優勝と、人気の女子ゴルフに対して男子ゴルフ界注目の大型新人です。石川遼選手とは所属事務所が一緒です。

星野のクラブ選択は、あくまで感覚重視です。ドライバーはスリクソンを愛用しキャビティの3番アイアンを入れているのも特徴です。4番からPWはマッスルバックになっています。

【ドライバー】
スリクソンZ745(ロフト10.5度) シャフト:クロカゲXT-70 硬さX 長さ45インチ
【フェアウェイウッド】
テーラーメイドM2(3番、ロフト16.5度)、スリクソンZ-TX(5番、ロフト18度)
【アイアン】
スリクソンZ585(3番)、スリクソンZ945(4番~PW)
【ウェッジ】
クリーブランドRTX-3(50度、58度)
【パター】
オデッセイ ホワイト・ライズiX#3SH
【ボール】
スリクソンZスター XV

(注)プロは頻繁にクラブ調整を行うため、実際使用するギアセッティングとは異なる場合があります。

夢は大きく

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今季は運よく全米オープンに出場して、「世界」を肌で感じることができました。5月に国内で開催された最終選考会では上位4人に入れませんでしたが、現地ウェイティング1番で滑り込みでの出場。結果は予選落ちでしたが、星野が受けた印象は大きかったのです。

シーズン当初は75キロの体重が1か月で69キロに減っていたのが、プロテインを摂り、筋トレも導入し現在は76キロ。体を大きくすることも、「世界」を知って意識が変わった証拠です。

奇しくも畑岡奈紗とは茨城県笠間市出身と同郷。話題の畑岡の活躍に刺激を受けないはずはありません。11日に終了した三井住友VISAマスターズでは17位タイでホールアウト。星野にとっては今季の残りツアーで賞金ランキング上位へ、さらに来季へ、世界への足掛かりをつかむチャンスです。

 

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