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「俺様はどなた様?」言いたいけど言えないゴルフ場スタッフの本音のお話

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ゴルフ場には毎日さまざまなタイプのゴルファーが来場されます。ゴルフというスポーツの特性から、全体的にはマナーの良い行動をしてくださる方が多いのですが、中には困ったお客様も…。

そこで今回は実際にゴルフ場で働いている、キャディをはじめとするゴルフ場内のスタッフがお客様に「言いたくても言えない」ひとことを中心にお送りしたいと思います。

お客様は神様ですが、そうはいってもゴルフ場スタッフにも辛い部分もあるということをご理解いただけたらと思います。

「俺様はどなた様?」

PGA TOUR - 2005 THE PLAYERS Championship - Second Round - Rain Out

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たいていゴルフバッグは玄関でお預かりしたあと、スタート室前のゴルフバッグ置き場に仮置きされているのですが、このゴルフバッグ置き場でいきなり、「俺のゴルフバッグどこ?」とスタッフに向かって大声で叫ぶお客様がたまにいらっしゃいます。

ご自分のゴルフバッグが見当たらなかったため、イライラしている場合もあるのですが、中にはゴルフバッグ置き場に現れるなり、「俺のバッグ持ってきて!」とおっしゃる方もいます。そしてこの時、周辺にいるスタッフは全員「俺様はどなた様?」と思っています。

もちろん一番近くにいるスタッフが「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と尋ね、ご一緒にお探しするのが常ですが、『俺様』はたいてい名前を聞かれるのを嫌います。

「なんでいつも来ているのに名前わかんないの?」
「さっき、フロントで名前書いたよ!」

などとおっしゃるのです。

毎週来場されるような古くからのメンバーさんならともかくとして、お客様すべてをスタッフが覚えているというわけではありません。しかし『俺様』は自分のことをみんなが承知していると思っていることが多く、その時点でスタッフとトラブルになってしまいます。さらに『俺様』を名乗る方は、あまり来場される機会の少ないビジター様の場合が多く、お名前を探し出すことは、なお困難なのです。

しかし『俺様』はなかなか名前を名乗ってはいただけません。「自分のゴルフバッグが見つからないんだけど、探してください。○○と言います」と言っていただけるだけで、スタッフはすぐにお名前を頼りにお探しすることが出来ます。要は、言い方なのですが、お名前をお訊ねするだけで苦労する場合、ちょっと愚痴りたくなるのです。

「あなたもそのひとりですよ」

 

コースで待たされてイライラする経験は、ゴルファーなら誰もがお持ちだと思います。ですからついつい何かに原因や、理由を付けて怒りたくなるのも分かりますが、フロントやマスター室にそうしたクレームを入れる際に、

「なんでこんなに客を入れてるの?入れすぎなんだよ!」

とまくし立てる方がいらっしゃいます。

コースの進行がスムーズでない場合、その進行を滞らせている原因(スロープレーヤーやトラブルなど)を見つけて対処するのはゴルフ場の責任だと思いますので、その不足に対するクレームは真摯に受け止めなければなりませんが、「客を入れすぎ」と言われてしまうと、スタッフは「あなたもそのひとりですよ」と言いたくなってしまいます。

もちろんクレームをする方は、その日のコースの進行を悪化させる最たる要因ではないかもしれません。しかしプレーヤーひとりひとりには、本来スムーズにコースを進行させる義務があります。ですからその義務を怠った誰か、もしくは何かが『コースの流れが悪い原因』であって、組数が多い・少ない、という問題ではないのです。

たくさんの来場者数がある日は、プレーヤー側にもいつも以上の進行への配慮が必要になります。これを「嫌だ」とか、「なんで客が頑張る必要があるの?」と感じてしまうと「客を入れすぎ!」というクレームになってしまうのです。原因を解決しきれなかったことはゴルフ場側に責任がありますが、クレームの仕方によってはスタッフもひとこと言いたくなってしまいます。
※決してゴルフ場側が悪くないという意味ではありません。

ゴルフ場としても来場者数が多い日は、特に進行状況に気を配る必要があるのはもちろんですが、「今日はたくさん人が入っているな」と感じたら、プレーヤーひとりひとりもコースの進行を、より気を付けようと思っていただけると幸いです。

「じゃあ、いつやればいいんですか?」

PGA TOUR - 2006 The INTERNATIONAL - Final Round

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ゴルフコースを維持するためにはコースメンテナンスが欠かせません。特にグリーンは芝の手入れが重要で、たくさんの手間をかけて状態を維持しているのです。

そのメンテナンスのひとつにエアレーション(グリーンに穴をあけて通気性を高め、芝の根に効率的に栄養を行き渡らせるための作業)があります。グリーンが小さな穴だらけになりますので、ボールの転がり方がカタコトと少しふらつくような状態となります。また、その穴を埋めるように栄養を含んだ目砂を上からびっしりと撒きますので、撒いた直後はグリーンがまるで砂場のように見えることもあります。

これはメンテナンスの大切な作業ですので、年に数回は行われる必要があります。しかし、そんなエアレーションや目砂に対して「エアレーションしているから、ゴルフにならないよ!」や、「砂ばっかりでグリーンのコンディションが最悪!」と怒るお客様がいらっしゃるのです。

メンテナンスのためにコースをクローズするわけにはいきませんので、エアレーション中のグリーンを使用することはよくあることです。しかし、多くのゴルファーは、「自分のプレーの日にはやってほしくない」「せっかくのゴルフが台無し」とエアレーションに不快感を示すのです。

単純にグリーンが仕上がってない状態であることを残念に思うことだけでしたら理解できるのですが、プレー後や、ハーフ休憩中にスタッフに

「エアレーションしてるから最悪のコンディションだね!」
「なんで今日エアレーションしてるの?」
「あんなひどいグリーンでゴルフさせるの?」

と文句を言われても「じゃあ、いつやればいいんですか?」と言いたくなってしまうのです。

たとえそのお客様がいない日にエアレーションを行なったとしても、必ず誰かのプレー日に当てはまりますよね。それは構わないのでしょうか?

毎回エアレーションの時期になると、スタッフへのエアレーションに対するクレームをされる方が本当に多く、はっきり言ってうんざりしてしまいます。「申し訳ございません」と言いながらも、「なぜエアレーションをするのが申し訳ない事なのだろうか」「グリーンのためにはエアレーションをしなければならないのに、なぜ怒られなければならないのだろう?」と考えてしまいます。お客様の行き場のない愚痴であることは重々承知していますが、スタッフも愚痴りたくなるのがエアレーションのクレームなのです。

実はそんなエアレーションのクレーム対応に嫌気がさしていた時に、印象的な出来事がありました。ある有名な男子プロの方がトレーニングで来場されたときのことです。その日は生憎、エアレーションした当日でした。しかしそのプロはエアレーションした直後の目砂で真っ白になったグリーンを見て、「今日はおもしろいな」とおっしゃったのです。

「目砂がされていると、芝の目が覆われてほとんどなくなるからグリーンが速くなるし、傾斜を読み切ったらその通りに転がってくれるからね。自分は目砂がたっぷり入ったグリーンは好きなんだ。」と言うのです。

いつものお客様方のように文句を言われるのではとヒヤヒヤしていたのですが、目から鱗の発言でした。もちろん本当はエアレーション後の美しく成長したグリーンの方がいいに決まっているのですが、このように考えれば、エアレーションも前向きにとらえられるのだなと感心しました。また、プロの配慮ある言葉に救われた気分にもなりました。

おわりに

 

ゴルフ場に来場されるお客様がその日一日を楽しくプレーできるようにサポートするのがゴルフ場スタッフの役目ですが、そんなスタッフにも「言いたいけど言えない(言えるわけがない)」ひとことがたくさんあります。

スタッフが高慢な態度を取るのは問題外ですが、真摯に取り組んでいても報われない時などはちょっと愚痴りたくなることもあるのです。そんなスタッフの心の声を、何かの折に思い出していただけたら幸いです。

 

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